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2008/11/6
何だと思いますか?
あけびやムベみたいですが、ポーポーpawpaw、またはポポーというものです。
ポーポーは、北米原産で、温帯でも生育する数少ないバンレイシ科の樹木だそうです。町で食べるものではなく、森に入って、自然に落果した瞬間の果実を食べるものだと、本で読んだことがあります。日持ちがしないとか。
バンレイシ科の樹種で代表的なのが、釈迦頭(カスタードアップル)、チェリモヤ、アテモヤ(釈迦頭とチェリモヤの交配品種。台湾では鳳凰釈迦とも))があります。
(ウィキペディア:ポーポー バンレイシ)
釈迦頭、鳳凰釈迦を食べたことがありますが、熟れた洋梨に似たねっとりしたクリーム状の甘い果肉で、黒くてツルツルの大きめの種が入っています。
釈迦頭は、酸味がほとんどないのですが、鳳凰釈迦の方は甘酸っぱく、味も洋梨に似ています。どちらも独特のいい香りです。
どちらもとてもおいしくて、大好きなので、日本で育つあの系統のフルーツがあると知って、ずっと興味があったのでした。
以前検索したら、外見の写真はあったけれど、断面の写真があまりなく、謎でした。
とうとう実物が目の前に!
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つけ根
果実のつけ根に、吸盤状のものが。
数個の果実が放射状になるようです。
そして懸案の断面は・・・。
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黒い種がみっちり
上が縦断面、下が横断面です。黒い、変形碁石のような種がかなりぎっしり詰まっています。
果肉はカスタードクリームのような色と柔らかさです。
種は、柿の種のようにしなやかで少し丈夫な袋に包まれています。
この袋の部分もおいしいです。袋ごとしゃぶって、外側を食べて、種をぺっと吐き出すような感じです。
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切りにくい・・・
味は、とても甘くて濃厚で、酸味はあまりなく、ちょっとドリアンのような香りがしました。
洋梨というより、マイルドなドリアンのようです。とってもトロピカルな味で美味い!
こんなのが日本で採れるとは!!!
クリーミーで濃厚で、日本の他のフルーツとは全く違う系統です(原産地も違うし当たり前ですが)。
ドリアンもそうですが、このアケビサイズ1個程度の量でも、結構な満足感があります。
日持ちがしなさそうなので、一部はピュレ状にして冷凍にしてみました。
ポーポーシャーベット、絶対おいしいはず。
黒くてツルツルのきれいな種、とりあえず洗って干したのだけれど、蒔いてみたい方いらっしゃいませんか?
郵便封筒に入れてお送りしますが・・・・。
ただし花の香りは「腐臭」がし、自家不和合性なので、2株以上育てないと受粉しないそうですが・・・。
『くだもの百科』(斉藤 義政, 1964, 株式会社婦人画報社)という本に、ポポウのことが載っているようでうす。
(この本は、今は日本果物商業協同組合連合会のHPで見ることができます)
ポポウのことは、世界のくだものの章の最後、そして原木巡礼の第九番にあります。
(興味深いのでご一読下さいませ)
明治30年代初めに米国から宛名不明の荷物が届き、開けてみたら苗木だったので京都府立農業試験場に託されたのが、ポポーの最初の苗木だそうです。
戦前のこと、放置されるままだったこのポポウを、この著者(銀座千疋屋の初代社長)が試験場長さんの協力を得て、「京都産珍果」として銀座千疋屋で1個80銭で売り出したそうです(温室メロンが一個2円から2円50銭)。
その後愛知の種屋さんが、種1個2円で売り出し、千疋屋はほとほと困ったとか。
戦争に突入するとバナナの入荷が不如意となり、ポポウの人気が高まったのだそうです。