テイカカズラ(定家葛)
<キョウチクトウ科テイカカズラ属>
何と言っても藤原定家のテイカの名前を持つ花で、
思いを寄せても叶わなかった式市内親王のお墓をこの花のつるが、
抱きしめるように覆い絡みついたと言う話はこの花を見るたびに、
思い出す。
常緑のつる性で茎は長く伸び付着根を出して岩や木を這い上る。
葉は対生する。まばらな集散花序を出し直径2~3センチの芳香のある花をつける。
こんなに白い花のテイカカズラは、珍しく見た。
はじめ白色でのちに淡黄色になる。
上半部がややふくれて5裂し、スクリュウー状に捻じれて平開する。
実は弓状になって2個づつ吊り下がり、中に白い絹毛状の冠毛がある。
風に乗って飛び散る。
テイカカズラの実
花はよく見るが実には、なかなか出会えない。
(形だけ見るとやはりなかなか見つからないキョウチクトウの実によく似ている。)
綿毛
藤原定家の話のついでに、お能に「定家」というのがあるが、
式市内親王の亡霊が、旅の坊さんに定家の執念に捕らわれたこの身の助けを
乞うが、一度解けたように見えたカズラはあっという間に元通りになると言う
お話だそうです。
俳句は夏の季語に「定家葛の花」があった。
尼寺の定家蔓の夜なりけり 大石 悦子
「定家葛」の花の謂れを知って読むともっと想像が広がりますね。