熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

椿に魅せられて

2005年03月07日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   我が家の庭には椿の花が咲いている。小公子や太郎冠者の様なピンク色の侘助や天が下、あらじし、ト伴、それに、紅妙蓮寺などは昨秋から咲き続けている。赤地に鮮やかな白で縁取られた玉の浦も咲き始めた。小さな鉢には、ほんの2センチ程の小輪・印旛雀が咲いていて、意宇の里がピンクの花を開き小鳥を呼んでいる。
   今の家に移ってから最初に植えた椿は乙女椿で、もう20年になり毎年沢山ピンクの花を付ける。蘂のない優雅なダリヤの様な花で、東京の古くからの庭園に多く植えられている。私が小さかった頃、関西で見る多くの椿は、蘂が大きく黄色でしっかりした赤花を付ける典型的なヤブツバキであった。学生時代に、京都や奈良の古社寺を歩きながら、五弁や白斑、覆輪、絞りなど色々な椿の花があることを知った。
   ロンドンの我が家の庭には、大きなサクランボの木の隣に、可なり大きな椿の木があり、毎年赤い花をタワワニつけて楽しませてくれた。名前は分からないが、さつま紅に似ていて、覆輪の花弁が交互ではなく一列に並んでいた。帰国の時に、一枝でも持ち帰り、挿し木をすべきであったと後悔している。
英国の王立植物園等で椿の木を見たことがあるが、大抵、ヨーロッパ人の好みであろうか、花はバラのように大きな覆輪で派手なものが多い。ユリも皐月も、そして椿も、日本固有の花は総てバラのように品種改良されてしまったのである。
   まだ、残念ながら椿の里・大島には行っていないが、これからは京都や奈良の古社寺の椿が美しくなる。奈良の法華寺で尼さんが小さな小皿に色とりどりの椿を浮かべて仏に供養していたのを思い出す。緑の苔の上に重なった真っ赤な落ち椿が旅情をそそる。
   私の庭の椿もこれから咲き乱れる。崑崙黒、ナイトライダーやブラックオパール等の黒椿が咲き始める。中国のりんご椿も黒い蕾が動き始めた。友人が丹精込めて焼いてくれた荒砂を鏤めた備前の様な渋い輝きを持つマアルイ大きな花瓶を贈ってくれた。早く、たわわに咲いた真っ赤な椿を生けてみたいと、今から楽しみにしている。
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