熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

簔助の阿古屋

2005年03月09日 | 観劇・文楽・歌舞伎
   2月23日半蔵門の国立劇場で、文楽「壇浦兜軍記」で吉田簔助の阿古屋を鑑賞する機会があった。左使いは、桐竹勘十郎、足使いは、吉田簑紫郎で2人ともれっきとした主使いで当然頭巾は被っていない。2人はその後、「卅三間堂棟由来」で、勘十郎は横曽根平太郎を、簑紫郎はみどり丸を演じた。
   下手から、豪華・艶麗な花魁姿の阿古屋が登場すると盛んな拍手。平家の残党景清の行方を詮議せんと愛人傾城阿古屋を詰問する為に、かねて用意していた琴・三味線・胡弓を弾かせる。弦の調べは正しさを持って調子とするとか、偽りの心では音色が乱れると言う。
   床の三味線鶴澤清介、竹澤宗助、三曲の鶴澤清志郎が演奏する三曲に合わせて、簑助と勘十郎の操る阿古屋が、最初は初々しく、そして、最後は憑かれたように一心不乱に演奏する。詮議を司る代官達の掛け合いを挟むが、殆ど、三曲の演奏で、三味線と琴、胡弓の華麗な演奏が場内を支配している。勘十郎の三味線の糸捌きをじっと見ていたが実に鮮やかで、簑助の操る阿古屋の凛とした品のある輝きと時には恍惚とした表情の豊かさに圧倒されて見ていた。裁かれていると言う恐怖がふっと頭を過ぎるのか寂しげな阿古屋の表情が胸を打つ。
   この阿古屋は、歌舞伎でも、華麗豪華に上演されるが、三曲を弾じる歌舞伎役者が居たとしても、やはり音楽は床に任せることになる。確か阿古屋は玉三郎、大分前に見たので記憶が薄れてしまったが、三曲が華麗に演奏される舞台は、歌舞伎も文楽も華やかで楽しい。
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