熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

クロッカス ホリディ

2005年03月08日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   オランダで最初の冬を迎えた時は、こんなにヨーロッパの冬が厳しいものかと感に堪えなかった。寒さの厳しさもそうだが、もっとビックリしたのは、毎日、全くリア王の世界そのままで、遅い朝が少し明るくなったかと思うと、そのままどんよりとした暗い曇り空が続き、午後になるとすぐに暗くなり、そのまま長い夜になる。ヨーロッパの暦が、「後、春まで何日?」で成り立っているのが良く分かる。
   ところが、日が少し長くなったなあと思う2月、道路沿いの草むらや公園の芝生のあっちこっちにクロッカスの花が顔を出す。ヨーロッパは梅雨がない所為か、夏越えをした地植えの球根がそのまま毎年花を咲かせるのだと言う。黄色が一番目立つが、白、紫、紫の斑入り、そんな花が、時にはビッシリと路傍に一面に咲き揃うのである。
   まだ殆ど真冬だが、クロッカスが咲き始める頃に、クロッカス・ホリディとなり、学校が休みになり、子供達は春がそこまでやって来たのを感じる。もうすぐ、運河や小川の水が温み始めると、白鳥が灰色の丸々とした可愛い雛を引き連れて土手を歩き、凍て付くような青い牧場に可愛い子羊の姿が現れ、チューリップやヒヤシンスの茎が伸び始め、寒々として寒風に吹き曝されていた落葉樹が蕾をつけて真っ黒に膨れる。春の到来である。
   キューケンホフ公園も、3月の後半から開き、世界中から沢山の花の愛好家を集める。5月のゴールデンウイークの頃には、チューリップ、ヒヤシンス、ムスカリ、水仙、皐月、桜、春の花が一斉に咲き乱れる。オランダ中が花で埋められ、家々の窓辺に美しい花々が飾り立てられて道行く人々を楽しませる。しかし、チューリップで世界最初のバブルを経験したオランダでも、花祭りの花パレードの主役は、バラであるのが面白い。
   
コメント
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