村上ファンドやホリエモンのライブドア問題で騒がれている割には、ソニーの株主総会は平穏無事というか、何時ものように、いわゆる能天気な何の面白みもないセレモニーに終わってしまった。
新高輪プリンスホテルで、会場は、メインの他3会場に分かれていて、直接ひな壇が見えない第2と第3会場はビデオを見ている感じなので、質問だけは振り向けられるが、拍手も何の反応もないだんまりの会場である。
メイン会場の映像がないので、総会の雰囲気が全く分からないし、声が聞こえるだけである。
株主を会場まで来させながら、音響機器メーカーでありながら何の工夫もせずにホテルの施設をそのまま使うだけで、よくもこれだけ株主を馬鹿にした会場設営を反省もなく続けられるものだと思うと腹も立たない。
巷には、キャパシティ十分の劇場が沢山空いているはずである。
それに、第2会場に入ると、総会終了後も30分近くもパイプ・イスに釘付けにされ待たされて外に出られない。
手土産には、銀座ソニービルの縁であろうかマキシムの菓子と乾電池、何の工夫もなく会場の設営も雰囲気も含めて毎年全く同じスタイルで株主を接遇するソニーのワンパターン総会、これだけ見ても、ソニーに対して、経営革新や再生などあまり期待できないことが良く分かる。
総会終了後に、一寸砕けた感じの株主とソニートップとの懇親会があるのだが、今回は、午後に、東大でのビジネス・ローの講演があったので失礼し、出掛けに少し時間があったので展示会場に立ち寄った。
昨年までは、まだロボットがあって面白かったが、今回は、特に目を見張るような新製品があるわけでもないので、極めて閑散としていて寂しい限りである。
念のため、新しい一眼レフSONY α100を手にとって見たが、エレクトロニクスや心臓部は多少変ったのかも知れないが、外観と操作の大半は、コニカミノルタαSeet Digitalと殆ど変らないシロモノ。
クリステンセンが、ソニーのイノベーターとしての命は1970年代に終わってしまったと言うのも良く分かる。
大体中期計画の努力目標の利益率が5%だと言うが、あれだけ世界のソニーとしてのブランド力を誇り、ハイテク技術を継承し優秀な人材を無尽蔵に持ちながら、この数字では、当初から、負け戦を宣告している様なものである。
株主に、この数字はコミットメントかと追求されていたが、経営陣を全く信用していないのであろう、ニッサンのゴーン社長のパロディ版である。
肝心の株主総会だが、ストリンガー会長主導で中鉢社長との共同議長で進められていたが、これが現在のソニー経営の実態でもあるのか、まずは上手くスムーズに進行していた。
しかし、世界のソニーとしての強烈なインパクトも溌剌とした革新性もなんの新鮮さをも感じられない普通の大会社の株主総会であった。
議題は、会社法施行に伴う定款変更、役員選任、ストックオプションに伴う新株予約権、だが、問題は、株主提案の「取締役の報酬の株主への個別開示に関する定款変更」である。
株主オンブズマンの森岡代表が提案説明を行ったが、至極当然と言えば当然の発言で、後で、別な株主からバックアップ意見が出されたが、会社側の回答が冴えない。
欧米がそうなら開示すべきだと思うがストリンガー会長の意見を聞きたいとの株主の質問に、中鉢社長は、「ストリンガー会長の経営革新(?)を・・・」と言って会長に振った。
(中鉢社長の経営革新と言う言葉だが、知ってか知らずか、極めて意味深で不穏当な発言だと思うが、今回はこれに対するコメントは避けたい。)
ストリンガー会長の回答は、要するに日本には日本の文化なり伝統があって、これを大切にするコーポレート・カルチュアを維持したいと言うことであった。
最近、ニッサンの役員の報酬の高さに世間は驚いたが、ゴーン社長の答えは、これでも世界水準から見れば低すぎると回答したが、大方のところは、報酬金額が低すぎて公表するのが恥ずかしいか洗い浚い晒したくないとか言うのが日本の上場企業の大半であろう。
役員報酬については、利益処分である役員賞与や退職慰労金に対してと同様に、株主に公表するのが本来あるべき姿だと思うが、私自身は、今回のソニーの見解どおり総額表示で十分だと思っている。
しかし、この株主提案は、今回の総会で50%近い賛成票を獲得しており、定款変更には3分の2の賛成が必要なので、何回出しても犬の遠吠えに終わると思われるものの、ソニーがオープンな会社かどうかを示す試金石であり無視できない現象でもある。
ところで、報酬だが、ブッシュ大統領の年俸は日本の大会社社長の年俸に毛が生えた程度であり、バーナンキ連銀議長の年俸などは遥かに低い。
因みに、グリーンスパンが止めて講演を行ったら、その謝礼金が年俸の何年分にもなったと言うし、ボルカー元連銀議長など生活が苦しかったので夫人が内職をしていたと自叙伝に書いてある。
ロンドンのシティのロードメイヤー(市長)やアルドマン(議員)達も無報酬で、自身で仕事を持っていてそれで補っているのだが、責務については絶対の公僕であって公明正大を肝に銘じている。
この資本主義の世の中、途轍もない発明か発見をして事業を起こすか、世間を欺いて株を操作して儲けるか、etc・・・とにかく並みのことをしていては駄目だと言うことであるが、大会社、イギリスで言うパブリック・カンパニーは、やはり社会の公器であることには間違いないと思っている。
久しぶりに総会屋が一人騒いでいたが、正論のようでナンセンスな議論なので、経営陣から一蹴されてしまった。
昨年のリストラ時点で売り惜しんだ金融関係の利益で食い繋いでいるのが現在のソニー。
株主にゲーム機部門の不振を突かれて、久多良木社長に回答を振ったが、PS3のハードとソフトの開発に投資したとの説明だけで勝算がありやなしやは分からない。
結局、何のイノベイティブで戦略的に有効な製品を持っていないソニーにとっては、PS3が唯一の虎の子、勝手をさせるのも仕方がなかろう。
コア・ビジネスのエレクトロニクス部門の目標利益率が4%と言う。
総てが急速にコモディティ化して持続的イノベーションを追及し続けなければならない、そして、利益率の低い競争の激しい世界に何故ソニーはそれほどまでに固守するのであろうか。
ソニーと言う名の会社は、ファンをワクワク感激させるような真に革新的な製品やサービスを提供すること、これ以外に生きる道はない。
歌を忘れたカナリヤではないが、イノベーションを忘れたソニーの現実は、悲しいし厳しい筈である。
新高輪プリンスホテルで、会場は、メインの他3会場に分かれていて、直接ひな壇が見えない第2と第3会場はビデオを見ている感じなので、質問だけは振り向けられるが、拍手も何の反応もないだんまりの会場である。
メイン会場の映像がないので、総会の雰囲気が全く分からないし、声が聞こえるだけである。
株主を会場まで来させながら、音響機器メーカーでありながら何の工夫もせずにホテルの施設をそのまま使うだけで、よくもこれだけ株主を馬鹿にした会場設営を反省もなく続けられるものだと思うと腹も立たない。
巷には、キャパシティ十分の劇場が沢山空いているはずである。
それに、第2会場に入ると、総会終了後も30分近くもパイプ・イスに釘付けにされ待たされて外に出られない。
手土産には、銀座ソニービルの縁であろうかマキシムの菓子と乾電池、何の工夫もなく会場の設営も雰囲気も含めて毎年全く同じスタイルで株主を接遇するソニーのワンパターン総会、これだけ見ても、ソニーに対して、経営革新や再生などあまり期待できないことが良く分かる。
総会終了後に、一寸砕けた感じの株主とソニートップとの懇親会があるのだが、今回は、午後に、東大でのビジネス・ローの講演があったので失礼し、出掛けに少し時間があったので展示会場に立ち寄った。
昨年までは、まだロボットがあって面白かったが、今回は、特に目を見張るような新製品があるわけでもないので、極めて閑散としていて寂しい限りである。
念のため、新しい一眼レフSONY α100を手にとって見たが、エレクトロニクスや心臓部は多少変ったのかも知れないが、外観と操作の大半は、コニカミノルタαSeet Digitalと殆ど変らないシロモノ。
クリステンセンが、ソニーのイノベーターとしての命は1970年代に終わってしまったと言うのも良く分かる。
大体中期計画の努力目標の利益率が5%だと言うが、あれだけ世界のソニーとしてのブランド力を誇り、ハイテク技術を継承し優秀な人材を無尽蔵に持ちながら、この数字では、当初から、負け戦を宣告している様なものである。
株主に、この数字はコミットメントかと追求されていたが、経営陣を全く信用していないのであろう、ニッサンのゴーン社長のパロディ版である。
肝心の株主総会だが、ストリンガー会長主導で中鉢社長との共同議長で進められていたが、これが現在のソニー経営の実態でもあるのか、まずは上手くスムーズに進行していた。
しかし、世界のソニーとしての強烈なインパクトも溌剌とした革新性もなんの新鮮さをも感じられない普通の大会社の株主総会であった。
議題は、会社法施行に伴う定款変更、役員選任、ストックオプションに伴う新株予約権、だが、問題は、株主提案の「取締役の報酬の株主への個別開示に関する定款変更」である。
株主オンブズマンの森岡代表が提案説明を行ったが、至極当然と言えば当然の発言で、後で、別な株主からバックアップ意見が出されたが、会社側の回答が冴えない。
欧米がそうなら開示すべきだと思うがストリンガー会長の意見を聞きたいとの株主の質問に、中鉢社長は、「ストリンガー会長の経営革新(?)を・・・」と言って会長に振った。
(中鉢社長の経営革新と言う言葉だが、知ってか知らずか、極めて意味深で不穏当な発言だと思うが、今回はこれに対するコメントは避けたい。)
ストリンガー会長の回答は、要するに日本には日本の文化なり伝統があって、これを大切にするコーポレート・カルチュアを維持したいと言うことであった。
最近、ニッサンの役員の報酬の高さに世間は驚いたが、ゴーン社長の答えは、これでも世界水準から見れば低すぎると回答したが、大方のところは、報酬金額が低すぎて公表するのが恥ずかしいか洗い浚い晒したくないとか言うのが日本の上場企業の大半であろう。
役員報酬については、利益処分である役員賞与や退職慰労金に対してと同様に、株主に公表するのが本来あるべき姿だと思うが、私自身は、今回のソニーの見解どおり総額表示で十分だと思っている。
しかし、この株主提案は、今回の総会で50%近い賛成票を獲得しており、定款変更には3分の2の賛成が必要なので、何回出しても犬の遠吠えに終わると思われるものの、ソニーがオープンな会社かどうかを示す試金石であり無視できない現象でもある。
ところで、報酬だが、ブッシュ大統領の年俸は日本の大会社社長の年俸に毛が生えた程度であり、バーナンキ連銀議長の年俸などは遥かに低い。
因みに、グリーンスパンが止めて講演を行ったら、その謝礼金が年俸の何年分にもなったと言うし、ボルカー元連銀議長など生活が苦しかったので夫人が内職をしていたと自叙伝に書いてある。
ロンドンのシティのロードメイヤー(市長)やアルドマン(議員)達も無報酬で、自身で仕事を持っていてそれで補っているのだが、責務については絶対の公僕であって公明正大を肝に銘じている。
この資本主義の世の中、途轍もない発明か発見をして事業を起こすか、世間を欺いて株を操作して儲けるか、etc・・・とにかく並みのことをしていては駄目だと言うことであるが、大会社、イギリスで言うパブリック・カンパニーは、やはり社会の公器であることには間違いないと思っている。
久しぶりに総会屋が一人騒いでいたが、正論のようでナンセンスな議論なので、経営陣から一蹴されてしまった。
昨年のリストラ時点で売り惜しんだ金融関係の利益で食い繋いでいるのが現在のソニー。
株主にゲーム機部門の不振を突かれて、久多良木社長に回答を振ったが、PS3のハードとソフトの開発に投資したとの説明だけで勝算がありやなしやは分からない。
結局、何のイノベイティブで戦略的に有効な製品を持っていないソニーにとっては、PS3が唯一の虎の子、勝手をさせるのも仕方がなかろう。
コア・ビジネスのエレクトロニクス部門の目標利益率が4%と言う。
総てが急速にコモディティ化して持続的イノベーションを追及し続けなければならない、そして、利益率の低い競争の激しい世界に何故ソニーはそれほどまでに固守するのであろうか。
ソニーと言う名の会社は、ファンをワクワク感激させるような真に革新的な製品やサービスを提供すること、これ以外に生きる道はない。
歌を忘れたカナリヤではないが、イノベーションを忘れたソニーの現実は、悲しいし厳しい筈である。