ニッサンの定時株主総会が、昨年同様に横浜みなとみらい「パシフィコ横浜」で開かれた。
冒頭、ゴーン社長は、新本社が会社発祥の地横浜に予定より早く、横浜開港150周年の2009年に移転することを発表した。
とにかく、ゴーン社長の総会のスピーチは、日本企業の経営者としては、桁違いに明晰で、カンニングスクリーンは目の前にあるが、殆ど無視して立て板に水、膨大な詳細数字も間違いなしにとうとうと捲し立てて持論を展開する。
昨年度は、ニッサン・バリューアップ計画の2年目に当たるので、特に目新しい計画はなく、3つの目標をクリアしたかどうかが焦点であった。
①3年間グローバル自動車業界でトップレベルの営業利益
②2008年度においてグローバル販売台数年間420万台
③計画期間中平均で投下資本利益率(ROIC)20%以上
ほぼ計画をクリアできることは間違いなさそうであるが、最近は、①と②の数字が1%刻みでダウンしており、利益率にやや陰りが見え始めている。
ニッサンの営業成績は、確かに目を見張るものがあるのは確かであるが、しかし、分母が小さいので、その分①や③の数字が高いのは必然で、むしろ今後、ダウン気味の数字をアップできるのかどうかが問題であろう。
ニッサンの再生と普通の企業としての蘇りは、コストカッターのカルロス・ゴーン社長の改革によって実現した。
目を見張るような業績の回復が成し遂げられたが、これは、コスト削減や調達・生産・販売等の経営の合理化など規定のノーマルな経営改革で実現されたものであり、特に、驚異的な経営革新でもなんでもないと思われ、これの戦略・戦術が、今後も強力な業績向上に貢献するとは思えない。
その意味で、今後興味深いのは、ゴーン社長が説明したこの目標を追及するためのブレイクスルー戦略である。
①インフィニティをグローバル・ラグジュアリィー・ブランドにし、韓国に続いてロシア、中国、ヨーロッパに展開すること
②小型商用車部門の拡大、
③リーディング・コンペティティブ・カントリー、競争力ある国からのグローバル部品等の調達、コスト競争力の強化
④地理的拡大、中国、ロシア、エジプト、インドでの生産、販売の拡大
ルノー、スズキ等とのアライアンス
これ等の施策が、トヨタ等の後追いではなく、如何に、ニッサン独自のブレイクスルー戦略となるかであろう。
私が特に気になるのは、ニッサンが、何でもって業界のリーダーになろうとしているのかと言うことである。
ニッサンがトヨタやホンダに遅れているのは、イノベーションを追求して業界をリードして行くと言う先進性の欠如、すなわち、イノベーション戦略が全く見えないと言うことである。
その点は、ニッサンにとって一番重要な筈のサステイナビリティ・レポートにおいても、技術的な取り組みと説明は、地球環境の保全と安全への配慮の項目で取り上げられているだけで、技術のニッサンとしての差別化した夢と野望が全く感じられないことからも分かる。イノベーションへの取り組みは二の次なのである。
合理化して業績が回復すれば、次は、如何にして差別化して競争に勝ち抜くか以外に道はない筈である。
大前研一氏が、最近、カルロス・ゴーン社長が、ルノーとの兼務でニッサンの経営に十分時間が割け得なくなっている事や日本での行動や奥さんの書籍出版などに触れてニッサンの経営に対してネガティブな評価をしていた。
また、株主総会でも、アフター・ゴーンについて質問があったが、私は、既に、ゴーン社長の使命は終わっていると思うので、むしろ、如何に、後継の経営者が、攻撃型の経営を行えるかが大切であると思っており、政権移譲が早ければ早いほうが良いと思っている。
冒頭、ゴーン社長は、新本社が会社発祥の地横浜に予定より早く、横浜開港150周年の2009年に移転することを発表した。
とにかく、ゴーン社長の総会のスピーチは、日本企業の経営者としては、桁違いに明晰で、カンニングスクリーンは目の前にあるが、殆ど無視して立て板に水、膨大な詳細数字も間違いなしにとうとうと捲し立てて持論を展開する。
昨年度は、ニッサン・バリューアップ計画の2年目に当たるので、特に目新しい計画はなく、3つの目標をクリアしたかどうかが焦点であった。
①3年間グローバル自動車業界でトップレベルの営業利益
②2008年度においてグローバル販売台数年間420万台
③計画期間中平均で投下資本利益率(ROIC)20%以上
ほぼ計画をクリアできることは間違いなさそうであるが、最近は、①と②の数字が1%刻みでダウンしており、利益率にやや陰りが見え始めている。
ニッサンの営業成績は、確かに目を見張るものがあるのは確かであるが、しかし、分母が小さいので、その分①や③の数字が高いのは必然で、むしろ今後、ダウン気味の数字をアップできるのかどうかが問題であろう。
ニッサンの再生と普通の企業としての蘇りは、コストカッターのカルロス・ゴーン社長の改革によって実現した。
目を見張るような業績の回復が成し遂げられたが、これは、コスト削減や調達・生産・販売等の経営の合理化など規定のノーマルな経営改革で実現されたものであり、特に、驚異的な経営革新でもなんでもないと思われ、これの戦略・戦術が、今後も強力な業績向上に貢献するとは思えない。
その意味で、今後興味深いのは、ゴーン社長が説明したこの目標を追及するためのブレイクスルー戦略である。
①インフィニティをグローバル・ラグジュアリィー・ブランドにし、韓国に続いてロシア、中国、ヨーロッパに展開すること
②小型商用車部門の拡大、
③リーディング・コンペティティブ・カントリー、競争力ある国からのグローバル部品等の調達、コスト競争力の強化
④地理的拡大、中国、ロシア、エジプト、インドでの生産、販売の拡大
ルノー、スズキ等とのアライアンス
これ等の施策が、トヨタ等の後追いではなく、如何に、ニッサン独自のブレイクスルー戦略となるかであろう。
私が特に気になるのは、ニッサンが、何でもって業界のリーダーになろうとしているのかと言うことである。
ニッサンがトヨタやホンダに遅れているのは、イノベーションを追求して業界をリードして行くと言う先進性の欠如、すなわち、イノベーション戦略が全く見えないと言うことである。
その点は、ニッサンにとって一番重要な筈のサステイナビリティ・レポートにおいても、技術的な取り組みと説明は、地球環境の保全と安全への配慮の項目で取り上げられているだけで、技術のニッサンとしての差別化した夢と野望が全く感じられないことからも分かる。イノベーションへの取り組みは二の次なのである。
合理化して業績が回復すれば、次は、如何にして差別化して競争に勝ち抜くか以外に道はない筈である。
大前研一氏が、最近、カルロス・ゴーン社長が、ルノーとの兼務でニッサンの経営に十分時間が割け得なくなっている事や日本での行動や奥さんの書籍出版などに触れてニッサンの経営に対してネガティブな評価をしていた。
また、株主総会でも、アフター・ゴーンについて質問があったが、私は、既に、ゴーン社長の使命は終わっていると思うので、むしろ、如何に、後継の経営者が、攻撃型の経営を行えるかが大切であると思っており、政権移譲が早ければ早いほうが良いと思っている。