熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

詩情豊かな京の雅・・・神坂雪佳展

2006年06月01日 | 展覧会・展示会
   6月5日まで、日本橋高島屋で「京琳派 神坂雪佳展」が開かれていて、「宗達、光琳から雪佳へ 日本が知らなかった琳派の近代――世界は見ていた。」とのサブタイトルで、京の華麗な雅の世界を展開している。

   雪佳は、明治から昭和にかけて活躍した琳派の伝統的な日本の美を追求した日本画家であり工芸デザイナーとして活躍し多くの素晴しい作品を残し、最近、海外での評判が高まり見直されていると言う。

   2001年「ル・モンド・エルメス」の表紙絵に、雪佳の代表作「百々世草」の一枚「八つ橋」が使用されたと言うことである。
   この八つ橋は、アヤメの群生を描いた渋い絵で特に目立つ絵だとは思えなかったが、光琳の雰囲気があった。
   2003年と2004年に、ロサンゼルスとバーミンガムで展覧会が開かれて人気を博し、バーミンガム・ニュース紙の記事が展示されていた。

   この口絵の「金魚玉図」は、こじんまりした掛け軸なのだが、上3分の1に白い金魚鉢が描かれていて、その真ん中一杯に正面を向いて睨み付けている金魚を描いていて、中々ユニークで面白い。
   水草のアレンジも中々モダンだが、バックの表装に葦図をあしらって涼を呼ぶなど洒落ている。
   他にも、戯画的でユーモア漂う絵や何となく笑いを誘う人や動物の表情を軽妙に描いた絵などがあり、その遊び心が愉快である。

   大作の日本の懐かしい四季の花々を描いた屏風「四季草花図」では、右隻は下部を、左隻は上部を大きく切り詰めて描くなど、斬新なデザインに宗達の流れを感じる。
   青蓮院の襖絵「四季草花図」80面の4面が展示されていたが、キキョウの青紫の微妙な色合いが美しい。
   椿と菫が描かれた絵があったが、移植したのであろうか、棒状になって立つ椿の木の上部に小さく生えた枝に咲く清楚な椿の花と、グンと下に離れて根元に隠れるように咲く可憐な菫の花の、何とも言えないバランスと空間の醸し出す雰囲気は、正に日本古来の美意識であろう。

   花月風蝶と言った日本の四季の風物以外にも、楽屋の情景を描いた華麗な絵やシックな忠度、或いは、不気味な山姥等人物画や豪奢な「白鳳図」やカタツムリを眺める狗児などの動物など色々展示されているが、やはり、日本の四季の花や野草の装いが美しい。
   沢山の茶碗や文箱などの工芸品、それに息女の為の「菊文様留袖」などの着物も展示されていて、色々な分野の日本美の素晴しさと四季の移ろいを感じさせてくれる。
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