熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

庭は北向きが良い(?)

2007年04月29日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   私の家の庭は、建物の西南西方向にあって、リビングルームには、10時過ぎから日が差しはじめて夕方まで日が当たる。
   隣接して隣家が立っているので、3間くらい離れてはいるが、南側の空間は、植木2本程度の巾の狭い細長い緑地しか取れない。
   しかし、天気の良い日に、朝起きてリビングから眺める庭は、太陽の光をまともに受けて木々が輝いていて非常に美しいのである。
   これを見ていて思うのは、日本の住宅の庭は、どちらかと言えば日当たりを良くするために、南側の空間を広く取って建物の南側に庭を造ることが多いが、本当は、その逆に、北向きの庭を造る方が鑑賞目的の庭に適しているのではないかと言うことである。

   木々や花々は、殆ど南側の太陽の方角に向かって生育し花を咲かせると言う。
   フランスの田舎を車で走っていて素晴らしいひまわり畑の光景に感激したことがあるが、まさにサンフラワーで、花は総て南側に向かって咲いていて、方向を変えると様相が一変してしまう。
   あまり気付いていなくても、植物の一番美しい姿は、太陽を背にして見ないと見られないと言うことである。
   建物の北側に庭を造って木々を植えれば、木々にとっても日当たりの良い南側に広い空間が取れるので好都合であろう。

   もっとも、北向きの庭が良いと自分が思っても、一般の通念が南向きの庭を想定している以上、余程敷地に余裕がない限り、隣家に文句を言われるのがおちであり実現は不可能であろう。

   また、一方では、日本には、家を建てる時に、中国4000年の歴史とかで風水学が重要な位置を占めているので、これで建物の配置などが決まってしまう。
   風水については知識が全くないので、庭がどうなるのかなど何とも言えないが、昔、ブラジルに居た時に、日系移民の方から、「日本の風水を使って家を建てたらえらいことになりましたわ」と聞いた事がある。
   どんなことかは詳しく聞かなかったが、どうもブラジルは地球の南半球にあるので、南と北が反対だったと言うことらしかったように覚えている。
   
   ところで、ガーデニング好き、庭好きのイギリス人の場合であるが、イギリス人は、太陽の方向にあんまり執着していないようである。
   日本では陽がどれだけ当たるかと言う日照権が問題となるが、イギリスでは、rights of light, 光権と言うのであろうか、建物の窓から遮られずにどれだけ空を見ることが出来るのかと言う権利で、空が見える空間が規定の範囲をクリア出来ておれば、太陽が当たろうと、北を向いていようと、方角には一切関係がない。
   冷暖房は、といっても、今でもそうだと思うが一般家庭には冷房がない筈なので、暖房は暖房器具で取るべきで日当たりなど関係ないと言うことである。
   大体、イギリスの冬は、殆ど毎日リア王の世界で、天気の良い日など殆どないので、日中は陽の光よりも明るさが最大の問題なのである。

   話が脇道にそれてしまったが、今、野山も新緑が萌え出でて、緑の微妙な変化が本当に美しい。
   最初に、庭は、北向きにして太陽を背にして順光線で見るのが美しいと言ったが、しかし、逆行で見る木々の移り行く姿を見るのも実に美しく、写真に撮るならこの方が味がある。
   私の庭は、幸い西南西なので、時間の移動で両方楽しめるのだが、何れにしろ、一日中見ているわけでもないので、不定期に見るのなら、北向きの庭の方が何時も順光線の日当たりの良い庭を見ることが出来るので、この方が良いということである。

(追記)写真は、今満開の庭のこでまりの花。
コメント
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