クモは、8本の足があって体の機能は分散されているが、頭を切り落とせば死んでしまう。
しかし、ヒトデは、何処から切っても、また、新しい組織が生まれてきて元の身体に戻り、切れた小片も別なあたらしいヒトデとして再生される。
現在の経済社会に存在する殆どの組織は、長を頂点に頂くクモ型の中央集権型の体制をとっているが、最近のオープンソース型のリナックスやウイキペディアなどは、組織の長が存在しない、誰もが自分自身で意思決定をして行動する分散型の開かれた組織になっている。
中央集権型の組織はもう古く、21世紀はリーダーなきヒトデ型分散組織が勝つ時代である。
アメリカは、クモ型組織の典型だが、アルカイダは、ビンラディンに指揮統率された組織のように考えられているが、実は、そうではなく、夫々のメンバーが自立したヒトデのような分散型の組織であるから、切っても切っても消滅せず、益々勢いづいて力を増すのは、この組織の特質の所為ではなかろうか。
こんな面白い問題提起を、オリ・ブラフマンとロッド・A・ベックストロームが「ヒトデはクモよりなぜ強い The Starfish and The Spider」と言う著書で行っている。
著者たちは、クモ型とヒトデ型を、アメリカ征服時代のスペイン軍とアパッチ族との戦いで説明している。
新大陸を征服した常勝のスペイン軍も、アパッチ軍だけは、ヒトデのような分散型組織を維持していたので、叩いても叩いても又別な新しい組織が蜂起して、何十年も苦しみぬき容易に征服できなかったのである。
アパッチ族には、ナンタンと呼ばれる精神的および文化的な指導者がいたが、他の部族の首長とは違って、行動で規範を示すだけで他者に何かを強要する権限は持たなかった。
この社会全体を守る唯一無二の人物が存在しないと言う柔構造のヒトデ型組織が、アパッチ族を支え続けた。
あの勇名を馳せたジェロニモは、その後アメリカ軍を相手に何十年も戦い抜いたナンタンの一人である。
中央集権型のスペイン軍は、他のラテンアメリカで成功したモンテスマ王のような指導者を殺害し金銀財宝を奪ったような強圧的な戦略を、アパッチ族征伐にも適用したが、ナンタンを一人殺すとまた新しいナンタンが登場するといった調子で、柔軟で権限を多数で共有する分権型の組織には手も足も出ず失敗の連続であった。アメリカ軍も同様であった。
余談だが、我々の子供の頃には、インディアンが被征服者として描かれた西部劇が全盛であったが、その後、人種差別・迫害等人道的な風潮が高まって消えてしまった。アメリカのフロンティア・スピリットなど言うのは、その程度に次元が低かったのである。
ところで、アルカイダだが、西欧人がムスリム文明への脅威であり戦わなければならないと言うイデオロギーによって成り立っている集団で、アルカイダ本部がテロ行動を一つ一つ計画するのではなく、イデオロギーに賛同した構成員が、前に成功したやり方を真似て独自に行動しているのだと言う。
夫々直接関係のないグループがアルカイダを名乗って行動しているので、ビンラディンを消しても、アメリカの中東政策を改めてテロの原因を根絶しない限り、永遠にテロ行動は続いて行く。
何故なら、アルカイダの組織は、全く、アパッチ族のヒトデ型分散組織と同じで、叩いても叩いても新しく強力な新細胞が蘇る。
分散型組織は、攻撃を受けると、更に権力分散の度合いを高めて拡散し続けて、益々勢力を増強して行くのである。
もう一つ気になるのは、アメリカのテロへの対応が、アパッチに対したスペイン軍と同じ様に、中央集権組織に凝り固まった頭で戦略を打ち、アルカイダをビンラディンに統率された中央集権型の組織と認識して、ビンラディンばかりを標的にしていることである。
私自身は、ウイキノミクス時代のオープンなグローバリゼーションの世界では、完全に、会社組織でも、中央集権型ではなく、何らかの形で分散化された自律性が強くて自由度の高いオープンな組織へ移行せざるを得ないと思っているので、ヒトデ型組織への回帰の重要性を認識することは大切だと思っている。
管理中枢機構をクモ型に維持しながら、末端の実務部門をヒトデ型にしているトヨタのようなハイブリッド型の組織を示唆しているのは参考になる。
著者たちは、ヒトデ型の組織の中心人物を、触媒と言う捕らえ方をして、中央集権型クモ型組織のCEOと対比して、リーダー論を展開しているが、非常にユニークで面白い。
しかし、ヒトデは、何処から切っても、また、新しい組織が生まれてきて元の身体に戻り、切れた小片も別なあたらしいヒトデとして再生される。
現在の経済社会に存在する殆どの組織は、長を頂点に頂くクモ型の中央集権型の体制をとっているが、最近のオープンソース型のリナックスやウイキペディアなどは、組織の長が存在しない、誰もが自分自身で意思決定をして行動する分散型の開かれた組織になっている。
中央集権型の組織はもう古く、21世紀はリーダーなきヒトデ型分散組織が勝つ時代である。
アメリカは、クモ型組織の典型だが、アルカイダは、ビンラディンに指揮統率された組織のように考えられているが、実は、そうではなく、夫々のメンバーが自立したヒトデのような分散型の組織であるから、切っても切っても消滅せず、益々勢いづいて力を増すのは、この組織の特質の所為ではなかろうか。
こんな面白い問題提起を、オリ・ブラフマンとロッド・A・ベックストロームが「ヒトデはクモよりなぜ強い The Starfish and The Spider」と言う著書で行っている。
著者たちは、クモ型とヒトデ型を、アメリカ征服時代のスペイン軍とアパッチ族との戦いで説明している。
新大陸を征服した常勝のスペイン軍も、アパッチ軍だけは、ヒトデのような分散型組織を維持していたので、叩いても叩いても又別な新しい組織が蜂起して、何十年も苦しみぬき容易に征服できなかったのである。
アパッチ族には、ナンタンと呼ばれる精神的および文化的な指導者がいたが、他の部族の首長とは違って、行動で規範を示すだけで他者に何かを強要する権限は持たなかった。
この社会全体を守る唯一無二の人物が存在しないと言う柔構造のヒトデ型組織が、アパッチ族を支え続けた。
あの勇名を馳せたジェロニモは、その後アメリカ軍を相手に何十年も戦い抜いたナンタンの一人である。
中央集権型のスペイン軍は、他のラテンアメリカで成功したモンテスマ王のような指導者を殺害し金銀財宝を奪ったような強圧的な戦略を、アパッチ族征伐にも適用したが、ナンタンを一人殺すとまた新しいナンタンが登場するといった調子で、柔軟で権限を多数で共有する分権型の組織には手も足も出ず失敗の連続であった。アメリカ軍も同様であった。
余談だが、我々の子供の頃には、インディアンが被征服者として描かれた西部劇が全盛であったが、その後、人種差別・迫害等人道的な風潮が高まって消えてしまった。アメリカのフロンティア・スピリットなど言うのは、その程度に次元が低かったのである。
ところで、アルカイダだが、西欧人がムスリム文明への脅威であり戦わなければならないと言うイデオロギーによって成り立っている集団で、アルカイダ本部がテロ行動を一つ一つ計画するのではなく、イデオロギーに賛同した構成員が、前に成功したやり方を真似て独自に行動しているのだと言う。
夫々直接関係のないグループがアルカイダを名乗って行動しているので、ビンラディンを消しても、アメリカの中東政策を改めてテロの原因を根絶しない限り、永遠にテロ行動は続いて行く。
何故なら、アルカイダの組織は、全く、アパッチ族のヒトデ型分散組織と同じで、叩いても叩いても新しく強力な新細胞が蘇る。
分散型組織は、攻撃を受けると、更に権力分散の度合いを高めて拡散し続けて、益々勢力を増強して行くのである。
もう一つ気になるのは、アメリカのテロへの対応が、アパッチに対したスペイン軍と同じ様に、中央集権組織に凝り固まった頭で戦略を打ち、アルカイダをビンラディンに統率された中央集権型の組織と認識して、ビンラディンばかりを標的にしていることである。
私自身は、ウイキノミクス時代のオープンなグローバリゼーションの世界では、完全に、会社組織でも、中央集権型ではなく、何らかの形で分散化された自律性が強くて自由度の高いオープンな組織へ移行せざるを得ないと思っているので、ヒトデ型組織への回帰の重要性を認識することは大切だと思っている。
管理中枢機構をクモ型に維持しながら、末端の実務部門をヒトデ型にしているトヨタのようなハイブリッド型の組織を示唆しているのは参考になる。
著者たちは、ヒトデ型の組織の中心人物を、触媒と言う捕らえ方をして、中央集権型クモ型組織のCEOと対比して、リーダー論を展開しているが、非常にユニークで面白い。