年初の不二家に始まり、ミートホープ、白い恋人、赤福、比内地鶏、船場吉兆、御福餅、それに、そうめん、名古屋コーチン、うなぎ、ブランド米、霜降り馬刺し等々、次から次へ食品偽装事件が発覚し、悲しいかな、清水寺の今年の一字は「偽」となった。
しかし、国民は、「けしからん。政府は何をしているのだ!」と声高に騒ぐけれど、何れも騙されたという程度で、実際には命に別状がないので、至って反応は鈍い。
本当は、もっと深刻なのは、自給率39%の日本の食糧安全保障の問題である。
中国の食品の管理はなっていないと言って文句を言っているが、現実に黄河が断流するなど中国の水事情が極めて悪いことを考えれば、早晩、中国から食料の輸入は困難となり、アメリカからもオーストラリアからも十分に入らなくなってくるのも時間の問題である。入ってきても、異常な高値で買えなくなるであろう。
現に、地球温暖化による気候条件が変化してあのオーストラリアのような旱魃や世界各地で起こっている飢饉等で食糧供給が悪化すると、真っ先に深刻なダメッジを受けるのは日本である。
石油はなくても辛抱できるが、食料はそうは行かず、戦中戦後の悪夢が再び蘇って来る。
アグネス・チャンが、この地球上において、24億の子供の内、11億の子供が飢餓線上で死地を彷徨いながら生活しているのだと言っていた。飽食天国日本では、考えられないことかも知れないが、我々の孫の時代にはそうならないとは言えない。
国民年金も拉致家族の問題も極めて大切だが、バカな為政者の発言の揚げ足を取って、それを天下の御旗にして政争に明け暮れている日本の政治の貧困さ、それに、世界中の為政者や政治家が地球温暖化対策に目の色を変えて奔走しているのに、殆ど何の反応も示さない日本の政治家たちの志の低さお粗末さは、どこから来るのであろうか。
今回、私が問題にしたかったのは、そんなことではなく、商品偽装に絡んで、アメリカの素晴らしいパンやケーキ、クッキーの製造販売会社である”ダンシング・ディア・ベイキング・カンパニー”の話である。
これは、ドナ・フェン著「アルファドッグ・カンパニー」に紹介されている話で、この本は、中小企業だが、群れの先頭を行くリーダー犬Alpha dogsとも言うべき極めて革新的で創意工夫に富んだエクセレントカンパニーを紹介し、その成功の秘密が解き明かした非常に面白い経営学書である。
興味深いのは、ローテクでオールドエコノミーに属する極在り来りの商売で業績を上げていることで、イノベーションとは何かを雄弁に物語っている。
ボストンの主婦の素晴らしいクッキー造りから始まり、ナショナルブランドを目指してひた走り、ブランドの構築とブランドの価値の維持管理を徹底的に追求している会社である。
販売店には、ブランドを良く理解するだけではなく、お互いに取り決めた短い販売可能期間を常に管理することを約束させて契約している。
カタログ通販と小売り大手のウィリアム・ソノマから、売上の半分に相当する大量の糖蜜クローキークッキーを販売期限4ヶ月で売りたいと言う条件で発注があったが、ブランドを守るために添加物を加えるわけに行かず、新鮮さが保てるのは3週間であったので涙を飲んで断った。
しかし、ソノマは、ダンシング・ディアとの取引にこだわり、オリジナルのジンジャーブレッド・ミックスを、求めてきたので、これは厄介な店頭販売期限の問題がないので、懸命に考えて中華風のスパイスパウダーを加えたクッキーミックスを生み出し、工夫に工夫を重ねてパッケージを造り、4日で仕上げて見本を持ち込んだ。これが休日限定の定番商品となり大量の取引に繋がったと言う。
大手DSターゲットから、初の大口注文が入ったが、納品僅かに3週間前に、納品予定のクッキーを冷凍にして欲しいと指示が来た。
ラベルには”新鮮さをお届け”と謳ってある。ラベルを張り替えて、パッケージが冷凍に耐えるかどうか試験もしなければならない。
始めての大口取引を棒に振り、その後の取引をすべてふいにするのは分かっていたが、ダンシング・ディアには選択の余地がなかったので諦めた。
3ヵ月後、この問題をすべて解決して冷凍に耐える商品を持って、ターゲットを訪れて、その後、取引が続いていると言う。
松坂大輔のいる地元ボストンのレッド・ソックスは、ベーブ・ルース(バンビーノ)をヤンキースに放出してから、80年以上もワールドシリーズ優勝から遠ざかっており(これを「バンビーノの呪い」と言う)、幸運を呼び戻す為に、ダンシング・ディアは、レッドソックスを優勝させる為に、「バンビーノの呪いを解けクッキー」を焼いて売り出した。
クッキー一個あたり5セントを地元NPO「キッズ・キャン・ドリーム基金」に寄付し、その1800ドルでホームレスの子供たちにバットやグラブを買い与えられたと言う。
このような、大義名分ブランドが、企業にとって圧倒的な競争優位を作り出すケースもあるが、今度のレッドソックスの優勝でこのクッキーが売り出されたのかどうか。最近は強くなって優勝慣れしているので、既に、別の新ブランド・クッキーが売り出されているのかも知れない。
これらは、ダンシング・ディアのエクセレントの一面だが、先ほど列記した日本の会社とどこか違っていることは事実であろう。
しかし、国民は、「けしからん。政府は何をしているのだ!」と声高に騒ぐけれど、何れも騙されたという程度で、実際には命に別状がないので、至って反応は鈍い。
本当は、もっと深刻なのは、自給率39%の日本の食糧安全保障の問題である。
中国の食品の管理はなっていないと言って文句を言っているが、現実に黄河が断流するなど中国の水事情が極めて悪いことを考えれば、早晩、中国から食料の輸入は困難となり、アメリカからもオーストラリアからも十分に入らなくなってくるのも時間の問題である。入ってきても、異常な高値で買えなくなるであろう。
現に、地球温暖化による気候条件が変化してあのオーストラリアのような旱魃や世界各地で起こっている飢饉等で食糧供給が悪化すると、真っ先に深刻なダメッジを受けるのは日本である。
石油はなくても辛抱できるが、食料はそうは行かず、戦中戦後の悪夢が再び蘇って来る。
アグネス・チャンが、この地球上において、24億の子供の内、11億の子供が飢餓線上で死地を彷徨いながら生活しているのだと言っていた。飽食天国日本では、考えられないことかも知れないが、我々の孫の時代にはそうならないとは言えない。
国民年金も拉致家族の問題も極めて大切だが、バカな為政者の発言の揚げ足を取って、それを天下の御旗にして政争に明け暮れている日本の政治の貧困さ、それに、世界中の為政者や政治家が地球温暖化対策に目の色を変えて奔走しているのに、殆ど何の反応も示さない日本の政治家たちの志の低さお粗末さは、どこから来るのであろうか。
今回、私が問題にしたかったのは、そんなことではなく、商品偽装に絡んで、アメリカの素晴らしいパンやケーキ、クッキーの製造販売会社である”ダンシング・ディア・ベイキング・カンパニー”の話である。
これは、ドナ・フェン著「アルファドッグ・カンパニー」に紹介されている話で、この本は、中小企業だが、群れの先頭を行くリーダー犬Alpha dogsとも言うべき極めて革新的で創意工夫に富んだエクセレントカンパニーを紹介し、その成功の秘密が解き明かした非常に面白い経営学書である。
興味深いのは、ローテクでオールドエコノミーに属する極在り来りの商売で業績を上げていることで、イノベーションとは何かを雄弁に物語っている。
ボストンの主婦の素晴らしいクッキー造りから始まり、ナショナルブランドを目指してひた走り、ブランドの構築とブランドの価値の維持管理を徹底的に追求している会社である。
販売店には、ブランドを良く理解するだけではなく、お互いに取り決めた短い販売可能期間を常に管理することを約束させて契約している。
カタログ通販と小売り大手のウィリアム・ソノマから、売上の半分に相当する大量の糖蜜クローキークッキーを販売期限4ヶ月で売りたいと言う条件で発注があったが、ブランドを守るために添加物を加えるわけに行かず、新鮮さが保てるのは3週間であったので涙を飲んで断った。
しかし、ソノマは、ダンシング・ディアとの取引にこだわり、オリジナルのジンジャーブレッド・ミックスを、求めてきたので、これは厄介な店頭販売期限の問題がないので、懸命に考えて中華風のスパイスパウダーを加えたクッキーミックスを生み出し、工夫に工夫を重ねてパッケージを造り、4日で仕上げて見本を持ち込んだ。これが休日限定の定番商品となり大量の取引に繋がったと言う。
大手DSターゲットから、初の大口注文が入ったが、納品僅かに3週間前に、納品予定のクッキーを冷凍にして欲しいと指示が来た。
ラベルには”新鮮さをお届け”と謳ってある。ラベルを張り替えて、パッケージが冷凍に耐えるかどうか試験もしなければならない。
始めての大口取引を棒に振り、その後の取引をすべてふいにするのは分かっていたが、ダンシング・ディアには選択の余地がなかったので諦めた。
3ヵ月後、この問題をすべて解決して冷凍に耐える商品を持って、ターゲットを訪れて、その後、取引が続いていると言う。
松坂大輔のいる地元ボストンのレッド・ソックスは、ベーブ・ルース(バンビーノ)をヤンキースに放出してから、80年以上もワールドシリーズ優勝から遠ざかっており(これを「バンビーノの呪い」と言う)、幸運を呼び戻す為に、ダンシング・ディアは、レッドソックスを優勝させる為に、「バンビーノの呪いを解けクッキー」を焼いて売り出した。
クッキー一個あたり5セントを地元NPO「キッズ・キャン・ドリーム基金」に寄付し、その1800ドルでホームレスの子供たちにバットやグラブを買い与えられたと言う。
このような、大義名分ブランドが、企業にとって圧倒的な競争優位を作り出すケースもあるが、今度のレッドソックスの優勝でこのクッキーが売り出されたのかどうか。最近は強くなって優勝慣れしているので、既に、別の新ブランド・クッキーが売り出されているのかも知れない。
これらは、ダンシング・ディアのエクセレントの一面だが、先ほど列記した日本の会社とどこか違っていることは事実であろう。