熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

大晦日雑感・・・NHK紅白歌合戦の凋落

2007年12月31日 | 生活随想・趣味
   日本人であることをしみじみ感じるのは年末年始である。
   最近では、殆ど季節感など敏感に感じなくなったが、やはり、NHKの紅白歌合戦や除夜の鐘、元旦の正月風景などの醸し出す年末年始の雰囲気は、日本独特であろう。

   私が海外で一番年末年始を感じたのは、NHKの紅白歌合戦の海外放送であった。
   しかし、サンパウロでは、大晦日の昼前、それも真夏の日中であるから全くその気になれないし、ロンドンでは、大晦日の昼過ぎなので、これも雰囲気が大分違って面食らう。
   それでも、ブラジルの紅白放送は可なり早かったが、アメリカやヨーロッパでは遅く放映が始まったので、私が海外に居た頃は、相当長い間ビデオを録って送ってもらっていた。
   あの頃は、日本からの情報が少なかった所為もあり、紅白歌合戦の放送は、正に日本からの格好の便りでもあり楽しみでもあった。
   欧米の場合には、冬休みには海外などに旅行に出かけることが多かったが、正月二日から出勤なので、元旦に自宅にいることが比較的多かったのである。
   
   ところが、この3年間くらいは、大晦日恒例の”ベートーヴェンは凄い!”と言うタイトルのベートーヴェン全交響曲演奏会に出かけるので、紅白を見ることがなくなり、たとえ録画していても見なくなってしまった。
   大体、演歌や日本の歌を聞く機会が殆どないのだから興味を持てる筈もないのだが、娘達もあまり興味を示さなくなってきている。
   演歌に至っては、NHK以外はTVで放映することも殆どないし、レコード店でも、演歌コーナーがあるのかないのか、殆ど見かけることさえなくなっている感じである。
   (余談だが、家内に頼まれて探したのだが、山野楽器やヤマハ楽器などでさえ、まともな筝曲の楽譜やCDが殆どないのが不思議であった。別ジャンルと言う扱いのようだが、これは、シアリアスな問題である。)

   紅白歌合戦だが、色々趣向を凝らして努力をしているが、どんどん視聴率は落ちていると言う。
   いくら斬新な企画を取り入れても、手垢のついた紅白分かれての男女の歌合戦で、世につれ人につれ、どんどん世の中が変化しているにも拘わらず、単細胞のワンパターンを続けているのだから、人気のでる筈がない。
   それに、自分の聞きたいのは特定の歌手の筈で、硬軟、老若、それに色々なジャンルの歌手を糾合しての歌番組だから長く見続ける気にはなれないし、民放の裏番組以外にもBSやCSなど多くのチャネルがあり、それに、大晦日の楽しみは無尽蔵にあって選択肢が広がっているので、尚更、紅白に縛り付けるのは無理である。
   それに、前述した化石(?)のようになった演歌をいまだに中心に据えて番組を組んでおり、NHKの時代感覚を疑わざるを得ないが、誰に迎合しての歌番組なのであろうか。

   年末年始の日本の伝統も少しづつあやしくなり始めている。
   わが家のおせち料理も段々簡略化されてきており、又、年末年始のしきたりのようなものも、時代と言うか生活のテンポに合わなくなって来て省略するようになったし、とにかく、年末年始と言うけじめや季節感が少しづつ希薄になって来ている。
   もっとも、これによる不都合は何もないし、生活のリズムに合っているので、私自身は気にはしていない。

   今日は、2時からベートーヴェンは凄い!が始まる。
   岩城宏之氏の意思を継いで、今年は、小林研一郎氏が、一番から九番まで全曲振るとのことだが、第九の歓喜の歌が大晦日の除夜の鐘の頃になるので、終演は、元旦の朝一時頃となる。
   少し早く上野に出かけて、雑踏するアメ横の年末風景を味わって来ようかと思っている。
コメント
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