年末年始で、日本人の海外ラッシュが始まっている。
口絵の衝撃的な写真は、ビルマのヤンゴンで亡くなった長井健司さんのものだが、何度もTVで放映されたので御馴染みなっている。
実に悲しい事件であり、意図した殺人事件である可能性が極めて高く、文明国である日本やアメリカは声高にビルマ政府を非難しているが、現実には、ジャーナリストがフリーパスで自由勝手にどこでも取材できる決まりも国際法規もないのが実情で、その危険については自己責任以外の何ものでもない。
ロバート・キャパの一連の写真や沢田恭一のベトナム戦争時の写真など、戦争の悲劇を告発する素晴らしい写真は貴重な記念碑だが、二人ともインドシナで取材中に亡くなっている。
あの香港を舞台にした映画「慕情」でも、ジェニファー・ジョーンズの恋人で従軍記者であったウイリアム・ホールデンが朝鮮戦争で取材中に帰らぬ人となっている。
私が言いたいのは、戦争や内乱やテロ事件でのジャーナリストの取材は、戦争で戦う兵士と同じで、戦場に臨んでいると言う認識を持つのが当然だと言うことである。
国境なき記者団やジャーナリストグループが、暴力を非難しカメラを持っていたのだからジャーナリストと分かっていた筈だと抗議していた。
しかし、TVで放映されていたようにサンダル履きの普段着スタイルで道路をつかつかと歩きながら、銃器を構えて狙い撃ちする軍隊に泡を食って一般市民が悲鳴をあげて逃げ惑う混乱模様をビデオ撮影し続けているのだから、並みの政府でも見過ごすわけには行かない光景である。
まして、アウンサン・スーチーさんを軟禁し続け、世界の世論など完全無視して、恐怖政治を敷いて国民を弾圧して続けている軍事政権であるから、人権などと言う観念そのものが欠如しており、人命尊重などと言う前に、邪魔者はすべて抹殺せよという価値観しかない筈である。
それに、常軌を逸した非常事態宣言下である。
ビルマ側は、観光ビザで入国したのが間違いで、取材するなら然るべき手続きを取れといっていたらしいが、勿論、許可される筈はなかろう。
来年は、北京オリンピックだが、中国政府が一番恐れるのは、その時点で世界の目が中国に集中し、世界中のジャーナリストが参集するので、国内に混乱や不祥事が起こることである。
治安維持と称して国内に強力な報道管制を敷き、不満分子による暴動やデモなどが起こらないように必死になって治安対策を図るはずである。
選挙さえ認められていない民主主義には程遠い国であり、官僚の腐敗は極に達しており、地方格差については目を覆うばかりだと言う。
話が脇道にそれてしまったが、治安が良く安全で安心な日本と言う国に住んでいる日本人は、一歩外へ出ると全く別な世界が存在し、絶えず危険に曝されているのだと言うことが殆ど分かっていないと言うことを書くつもりであった。
危険と言う前に、日本人の感覚でものを考えると間違ってしまう、日本での常識なり慣習が通じなくなってしまうと考えた方が早いかも知れない。
横浜の男子学生がイランで誘拐され、若い女性がオーストラリアとタイで殺害されたと言うニュースが最近入ってきていたが、大体、日本の田舎を歩くようなつもりで一人旅をやっていたのだろうと思う。
ロンドンに住んでいた時、オペラやミュージカルなどが跳ねて帰る途中に、良くソーホーやウエストエンドの繁華街の怪しげなバーやナイトクラブに、キャーキャー嬌声をあげて入って行く若い日本女性観光客を見かけることがあった。
一緒に居たイギリス人の友人が、危なくて見ておれないと言って眉を顰めていた。
何でも見てやろうとか、地球の歩き方、と言った安易な外国へのアプローチが、安心安全な筈の欧米でも、日本人観光客の危険を増幅していると言えなくもない。
駅前留学のNOVAでいくら異文化交流で英語を学んでも、外国そのものが分からなければ、どうしても自分の経験と勘、すなわち日本人的な感覚でものを考えようとするのでそれが邪魔をすることになる。
どこも日本と同じだと考えて行動してしまうのである。
自動小銃を構えて武装した兵士が立ち並ぶゲートを通って飛行機に乗ったこともあり、色々なことがあったが、注意に注意を重ねてきた。一泊以上した国が40カ国以上にもなる筈の私でさえ、いまだに、日本人そのものなのである。
全く檻の中の動物のように、日本の航空機で飛び、日本系列のホテルに泊まり、日系のみやげ物店に行き、後は、バス旅行主体で殆ど自由行動のない雁字搦めのスケジュールのパック旅行なら安心なのであろうが、これでは外国旅行の意味がないと、一寸慣れてくると自分で動き始める、これが危ない。
国際経験と国際感覚がなければ、よほどの動物的な勘と嗅覚の持ち主でない限り、平和で安全な国の住人・日本人には、外国での一人旅、一匹オオカミのビジネスは、無理なのである。
年末年始の日本旅行者の海外ラッシュ、無事を祈るのみである。
口絵の衝撃的な写真は、ビルマのヤンゴンで亡くなった長井健司さんのものだが、何度もTVで放映されたので御馴染みなっている。
実に悲しい事件であり、意図した殺人事件である可能性が極めて高く、文明国である日本やアメリカは声高にビルマ政府を非難しているが、現実には、ジャーナリストがフリーパスで自由勝手にどこでも取材できる決まりも国際法規もないのが実情で、その危険については自己責任以外の何ものでもない。
ロバート・キャパの一連の写真や沢田恭一のベトナム戦争時の写真など、戦争の悲劇を告発する素晴らしい写真は貴重な記念碑だが、二人ともインドシナで取材中に亡くなっている。
あの香港を舞台にした映画「慕情」でも、ジェニファー・ジョーンズの恋人で従軍記者であったウイリアム・ホールデンが朝鮮戦争で取材中に帰らぬ人となっている。
私が言いたいのは、戦争や内乱やテロ事件でのジャーナリストの取材は、戦争で戦う兵士と同じで、戦場に臨んでいると言う認識を持つのが当然だと言うことである。
国境なき記者団やジャーナリストグループが、暴力を非難しカメラを持っていたのだからジャーナリストと分かっていた筈だと抗議していた。
しかし、TVで放映されていたようにサンダル履きの普段着スタイルで道路をつかつかと歩きながら、銃器を構えて狙い撃ちする軍隊に泡を食って一般市民が悲鳴をあげて逃げ惑う混乱模様をビデオ撮影し続けているのだから、並みの政府でも見過ごすわけには行かない光景である。
まして、アウンサン・スーチーさんを軟禁し続け、世界の世論など完全無視して、恐怖政治を敷いて国民を弾圧して続けている軍事政権であるから、人権などと言う観念そのものが欠如しており、人命尊重などと言う前に、邪魔者はすべて抹殺せよという価値観しかない筈である。
それに、常軌を逸した非常事態宣言下である。
ビルマ側は、観光ビザで入国したのが間違いで、取材するなら然るべき手続きを取れといっていたらしいが、勿論、許可される筈はなかろう。
来年は、北京オリンピックだが、中国政府が一番恐れるのは、その時点で世界の目が中国に集中し、世界中のジャーナリストが参集するので、国内に混乱や不祥事が起こることである。
治安維持と称して国内に強力な報道管制を敷き、不満分子による暴動やデモなどが起こらないように必死になって治安対策を図るはずである。
選挙さえ認められていない民主主義には程遠い国であり、官僚の腐敗は極に達しており、地方格差については目を覆うばかりだと言う。
話が脇道にそれてしまったが、治安が良く安全で安心な日本と言う国に住んでいる日本人は、一歩外へ出ると全く別な世界が存在し、絶えず危険に曝されているのだと言うことが殆ど分かっていないと言うことを書くつもりであった。
危険と言う前に、日本人の感覚でものを考えると間違ってしまう、日本での常識なり慣習が通じなくなってしまうと考えた方が早いかも知れない。
横浜の男子学生がイランで誘拐され、若い女性がオーストラリアとタイで殺害されたと言うニュースが最近入ってきていたが、大体、日本の田舎を歩くようなつもりで一人旅をやっていたのだろうと思う。
ロンドンに住んでいた時、オペラやミュージカルなどが跳ねて帰る途中に、良くソーホーやウエストエンドの繁華街の怪しげなバーやナイトクラブに、キャーキャー嬌声をあげて入って行く若い日本女性観光客を見かけることがあった。
一緒に居たイギリス人の友人が、危なくて見ておれないと言って眉を顰めていた。
何でも見てやろうとか、地球の歩き方、と言った安易な外国へのアプローチが、安心安全な筈の欧米でも、日本人観光客の危険を増幅していると言えなくもない。
駅前留学のNOVAでいくら異文化交流で英語を学んでも、外国そのものが分からなければ、どうしても自分の経験と勘、すなわち日本人的な感覚でものを考えようとするのでそれが邪魔をすることになる。
どこも日本と同じだと考えて行動してしまうのである。
自動小銃を構えて武装した兵士が立ち並ぶゲートを通って飛行機に乗ったこともあり、色々なことがあったが、注意に注意を重ねてきた。一泊以上した国が40カ国以上にもなる筈の私でさえ、いまだに、日本人そのものなのである。
全く檻の中の動物のように、日本の航空機で飛び、日本系列のホテルに泊まり、日系のみやげ物店に行き、後は、バス旅行主体で殆ど自由行動のない雁字搦めのスケジュールのパック旅行なら安心なのであろうが、これでは外国旅行の意味がないと、一寸慣れてくると自分で動き始める、これが危ない。
国際経験と国際感覚がなければ、よほどの動物的な勘と嗅覚の持ち主でない限り、平和で安全な国の住人・日本人には、外国での一人旅、一匹オオカミのビジネスは、無理なのである。
年末年始の日本旅行者の海外ラッシュ、無事を祈るのみである。