熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

秋深き佐倉城跡公園とくらしの植物苑

2010年11月24日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   日差しの穏やかな秋の午後、佐倉城跡公園を訪れた。
   私の庭の紅葉が色づく頃には、丁度、この公園の紅葉も美しく輝くのだが、今回は、もみじの紅葉はまずまずであったけれど、くらしの植物苑前の銀杏並木の方は、残念ながら、殆ど散っていて、公園側の数本に黄色い鮮やかな葉が残っているだけであった。

   この公園には、桜の木のように、それ程沢山もみじが植わっているわけではないので、紅葉狩りを楽しめるスポットは限られている。
   私のいつも訪れるところは、シーズンだけオープンする公園の中の駐車場脇と本丸へ向かうオープンスペースの1本と本丸の堀の両側のもみじ群落くらいで、それも、陽が当たっていて逆光の紅葉が見える午後のひと時である。
   私は、紅葉は、逆光で鑑賞しないと、全く意味がないと思っている。
   順光で鮮やかな紅葉でも、裏に回って陽の光を仰げば、更に葉の色彩が鮮やかに美しく輝く。
   特に、望遠レンズを使って、木々の一部を切り取ってクロスアップで写真を撮るので、どうしても、逆光でないと、紅葉の鮮やかさが出ないのである。

   私が、もみじの木の裏に回り込んでカメラを構えてうろうろしているので、不思議に思った婦人客の一人が私の傍に来た。紅葉を見上げて、「きれいやわあ。」と歓声をあげた。
   友を呼んで写真を撮ろうとしたが、顔が真っ暗に映るので諦めようとしたので、「強制発光でフラッシュをたけば良い。」と教えた。
   「フラッシュを使えば、両方とも美しく写ります。」と言ったら、にっこりと笑った。
   見ていると、写真を写している婦人客の大半は、携帯を使っていて、デジカメを使っている人は殆どいない。
   私は、普段は、一眼レフではなく小さなコン・デジを持って歩いているのだが、カメラを趣味にしている人ならいざ知らず、カメラは、持ち運びに便利なものに限るので、もっと携帯のカメラ機能をアップして、コン・デジとそん色のない携帯を開発すれば、デジカメの大半は駆逐されるのはないかとさえ思っている。

   この公園の茶室の傍に、1本だけ、真っ赤に燃えるように色づいているもみじがあり、かなりの大葉なので、大盃だと思うのだが、陽が当たらないのと、茶室の庭に入れないので、近づいて鑑賞できない。
   もみじの紅葉を楽しむのなら、隣にあるくらしの植物苑にある二本のイロハモミジが、間違いなく、いつも美しい錦の紅葉を見せてくれる。
   丁度、苑内からは、逆光であり、それに、外の銀杏並木をバックに紅葉を楽しめるので、コントラスト次第だが、中々、素晴らしい絵になる。

   この城址公園でも、白い山茶花が咲いていて、華やかな紅葉と良い対照だが、くらしの植物苑には、山茶花のほかに、赤やピンクや白色の寒椿が、今盛りで美しい。
   椿と違って、花弁がひらひらと分かれていて、清楚でか弱そうな雰囲気が良い。
   今、この苑で咲いている華やかな花木は、これくらいであろうか。まだ、椿は咲いていない。

   今、くらしの植物苑では、「伝統の古典菊」展が開かれていて、丹精込めて育てられた立派な鉢植えの菊が、沢山展示されていて、見事である。
   夏の猛暑で、蕾が出来なくて心配したようだが、9月に涼しくなり始めてから回復して、綺麗な花を咲かせてくれたと言う。
   菊は、気温ではなく日照時間で生育や開花が決まるようだが、その菊でも、今夏の猛暑には参ったようで、温度にも影響されることが分かったと、園芸員の人が語っていた。
   その所為か、本来なら盛りを過ぎている筈の江戸菊など、まだ、活き活きとしていて綺麗なままである。

   新宿御苑の菊は、懸崖作りや大作りなど人口的な職人技を披露したところに特色があるが、この植物苑の菊は、古典菊の純粋な鉢植えそのもので、無造作に並べられた色々な珍しい菊を、直に触れるような感じで、菊花の美しさ華麗さを楽しめるので、非常に見ていて楽しい。
   嵯峨菊は、丁度、故郷の大覚寺での菊花鑑賞に倣って、一段高い床几の上に上って眺められるようにしつられられている。細長い直立した花弁が、竹箒を逆さにしたような形で咲いている珍しい菊の花だが、逆光に映えると美しい。

   嵯峨菊のように花弁は細くて長いのだが、柔らかくて鳥の巣のように垂れた伊勢菊、線香花火のように細い筒状の花弁が先で開いたような肥後菊、それに、良く見る丸く花弁が巻き込んだ大輪の奥州菊など、華麗な菊の花が展示されているが、やはり、一番鉢数も多くて見ごたえのあるのは、江戸菊である。
   花弁は平弁と言うようだが、見たところ、細くて長い平べったい花弁が、一方向に渦巻状に巻き込んでいるのだが、開花するにつれて、様々に芸をするのが特徴だと言うのである。
   言うならば、1ヶ月くらいの間に、最初は左巻きだと、徐々に解いて右巻きになるなると言うことらしい。

   私は、何となく気が向いたら、この佐倉城址公園を、散歩を兼ねて、いうならば、趣味と実益を兼ねて訪れるのだが、あまり長居することはないけれど、静かなひと時を楽しむことが出来る。
   若い頃は、植物園や公園を散策することなど殆どなかったが、キューガーデンの傍に住んで、多忙を極めていた仕事の合間を縫って、カメラを抱えて公園に通った習慣のお蔭で、林間を散策する楽しみを覚えた。
   時々、生活のリズムを変えると言うことは良いことだと思っている。
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