熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

東京文化会館小ホールのクラシック巨匠写真

2011年12月02日 | クラシック音楽・オペラ
   先日、東京文化会館小ホールのロビーの窓際の壁面が完全にガラス窓だけのオープンになり、9人のクラシック演奏家のパネルで装飾されていた。
   外の明かりや夜景がそのまま見ていて感じが良く、9枚のモノクロのパネルがしっくりと落ち着いた雰囲気で、空間にマッチしていて、以前のように、カーテンがびっしりと下りていた状態よりも良くなった。
   2011(平成23)年11月2日(水)~22日(火)の間、小ホールホワイエの壁面を飾っていた「木之下晃写真展「20世紀のマエストロ100人」」の写真を使ったパネルなのであろうと思うが、残念ながら、100人展は、文化会館に出かけた時は、夜の演奏会であったために、大ホールの入り口から遠望しただけなので分からない。

   モノクロ写真のパネルなので、非常に古い音楽家の写真なので、私のような熟年には非常に馴染みのある懐かしい巨匠たちの写真であるが、今の若い人たちにとっては、歴史上のCDやDVDだけの世界であろうと思う。
   入口から列記すると、小澤、クライバー、バーンスタイン、カラヤン、マゼール、ベーム、ブレンデル、ムラビンスキー、カラス。
   歌手のカラスと、ピアニストのブレンデルを除けば、すべて、指揮者なのだが、どんな基準で選ばれたのか気になるところだが、以前に、大ホールの入口ロビーの壁面に掛けてあったパネルも大半指揮者であったような気がする。

   私は、クライバー以外は、すべて、演奏会で聴いた巨匠たちだが、最近聴いたことのある人は、小澤征爾とロリン・マゼールだけで、ブレンデルは引退とかで、他の人は鬼籍に入っているので、殆どは、何十年前の経験である。
   一度だけしか聞いていないのは、フィラデルフィアでのムラビンスキー(レニングラード・フィル)とマリア・カラス(ジュゼッペ・ステファノとのJR)、そして、METでのベーム(ばらの騎士)であるが、夫々、私には強烈な印象が残っている。
   前2者については、このブログでも書いているので省略するが、ベームについては、カラヤン以上にファンであったので、レコードは随分買って聞き続けて居り、聞きたい聞きたいと思い続けていて、偶々、ニューヨークへの出張の途路に、幸いにも、グランド・テェア正面の一番前の席が取れたのである。
   誰が歌ったのか、アーカイブを調べれば分かる筈だが、ゾクゾクしながら華麗な舞台を楽しんだ思い出がある。

   カラヤンは、大阪フェスティバル・ホールでのベートーヴェン・チクルスで、運命と田園、それに、第九であったが、運命の途中で、バトンが折れて吹っ飛び、その後、カラヤンは、それ以後常態となった、指揮棒なしの華麗な演奏を続けた。
   バーンスタインは、万博の時大阪で、その後、ニューヨークのアヴェリ―フィッシャー・ホールや、アムステルダムのコンセルトヘボー、そして、ロンドンで何回か聴く機会があり、かなり回数は多いのだが、最後は、既に最晩年のロンドンでロンドン響を振った自作「キャンディード」のコンサート形式のオペラであった。
   強烈に印象が残っているのは、コンセルトヘヴォ―を振った「未完成」の途轍もなく美しい天国からの音楽のような音色である。

   少し前に、ロンドンの音楽専門誌が、ロイヤル・コンセルトヘヴォーが、世界一のオーケストラだと評したことがあるのだが、私が、シーズンメンバー・チケットを持って通ったのは、たったの3年間だけだが、本当に、素晴らしいオーケストラだと思っている。
   あのコンサートホールが、ウィーンのムジーク・フェラインザールと共に最も素晴らしいコンサート・ホールだと言われているが、私は、それだけではないと思っている。
   その時の指揮者は、ベルナルド・ハイティンクだったが、その後、ロンドンのロイヤル・オペラの音楽監督となって移ったので、私の5年間のロンドン生活も、ハイティンクのワーグナーなどのオペラやコンサートを追っかけて来た感じなので、一番沢山聴いた指揮者の一人だろうと思う。
   ゲオルグ・ショルティと共に、最も、印象深い指揮者だと思っている。

   もう一人のブレンデルであるが、コンセルトヘヴォーでのシューマン・チクルスは全部聞いたし、後は、何度かロンドンでリサイタルに出かけたが、リヒテルやミケランジェリ、ポリーニ、アルゲリッチと言った個性的なピアニストとは違って、非常にオーソドックスと言うか真面目な感じで、その端正さが好きであった。
   
   小澤征爾については、言うまでもないことだが、一番印象深い最高の指揮者だと思っているので、書けば書くほど蛇足となるので止めるが、一番最初は、ボストンの正指揮者となったすぐ後のフィラデルフィアでのボストン響とのブラームスである。
   オペラから、サイトーキネン、新日本フィル、随分聴かせて頂いている。

   指揮者は別として、奏者では、私は、オイストラッフ、リヒテル、ロストロポーヴィッチが最も素晴らしいと思っているのであるが、文化会館でのコンサートがなかった筈がないと思うのだが、写真がなかったのであろうか。
   どんな基準で、写真パネルを選んだのか、気にしながら、文化会館小ホールでの小休止を楽しんでいた。

(追記)口絵写真は、カラスの本のカバー写真で、記事の写真パネルとは無関係。
コメント
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