熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

手紙に自分の住所を書かないイギリス

2012年10月04日 | 生活随想・趣味
   電話帳や住所録などをなくしてしまって、友人知人の電話番号が、分からなくなったら、どうするか。

   もう、随分前になるのだが、イギリスに住んでいて、カルチュア・ショックを感じたのは、イギリス人は、手紙を出す時に、封書に、自分の住所や名前を一切書くことはないし、電話を掛けても、自分たちの名前を名乗らずに、自分の電話番号を言って応えることであった。
   プライバシーの保護と言うか、個人情報の徹底的管理と言うのか、あるいは、それ程、イギリスが危険な国であるのか、とにかく、日本人の私には、考えられないことであった。
   蛇足ながら、それ程、ブリティッシュ・メールは、信頼されている郵便システムだと言うことを付記しておきたい。

   当時、日本では、年賀状を見れば、住所や電話番号など細かいことまで書いてあったし、手紙やはがきを通して、出来るだけ個人情報を伝えようとして、表面に必要のないようなことまで書いてあった。
   今でも、電話番号やメール・アドレスなど細かい情報を書いたハンコを押して送ってくる知人もいる。
   ところが、様変わりで、最近では、私も、住所と名前だけは書くが、それ以外は、書かないようにしている。

   電話だが、ハローの声で相手が分かっていると思える場合でも、イギリス人は、絶対に名前を名乗らずに、今掛けた電話番号を繰り返すので、実に機械的無機的で、その瞬間に、味気なくなってしまうので、面白くなかったが、これが、イギリス流である。
   
   さて、問題は、今の日本も、個人情報の保護とかで、住所録を何かの拍子に失ってしまったり、パソコンの住所録を間違って消してしまったりして、知人の住所や電話番号をなくしてしまうと、昔では、年賀状を見れば分かったが、今では、どうすれば良いのか、はたと、困る。
   会社や知人の属している組織などに電話して、電話番号を聞き出そうとしても、個人情報の保護とかで、一切教えてくれないし、四苦八苦しないと、中々分からない。
   住所が分かっても、まず、電話番号簿に登録している人が少なくなったので、まず、ヒツウチの電話番号は、NTTでも教えてくれない。

   日本の場合には、一気に極端に走る傾向が強いので、個人情報保護法が施行されると、急に個人情報を得辛くなってしまった。
   昔なら、会社などに電話すれば、簡単に、教えてくれたが、今では、自分の居た会社でさえ、同僚だった知人の電話番号さえ教えてくれないケースがあるなど、とにかく、知人友人のコンタクト情報を、こまめに管理しておかないと、いざという時に困ることになる。
   嫌な時代になってしまったなあと思う。

   ところが、メールアドレスなど、すぐに漏洩してしまって、毎日、おかしなメールがどんどん入ってくる。
   gooは、極端に酷いのだが、英語では、バイアグラなどの販売や悪徳ビジネス勧誘など多種多様だが、日本語では、無修正エログロDVD,意味深な女性名からの出会い系サイト、 CS・BSが半永久で無料で視聴可能な魔法のようなカードなどと言った、どうしようもないメールばかりで、ブロックしても迷惑フォルダをすり抜けて入ってくる。
   個人情報の保護などと言って、場違いな保護をすればするほど、個人情報の価値が高くなって商売になり、悪徳ビジネスばかりが蔓延る。
   これなどは、モグラ叩きの典型で、個人情報の保護も大切であろうが、このお蔭で、良き時代の日本の公序良俗まで失ってしまったようで寂しく感じるのは、歳の所為かも知れないとも思っている。
コメント
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