歌丸の「塩原多助一代記~青の別れ」を聞きたくて、国立演芸場に出かけた。
4月の中席なので、特別なプログラムではないのだが、しみじみとした語り口で、圓朝を語る歌丸の話術に感動して、機会があれば、聞くことにしており、その度毎に、オチのある普通の落語とは違った話術の冴えを鑑賞して愉しんでいる。
この「塩原多助一代記」は、立志伝型人物として教科書にも出たと言う炭商人として大を成した塩原多助の物語で、
今回は、塩原多助が、義母おかめが自分を殺害までして家を乗っ取ろうとする悪巧みに耐えかねて、故郷沼田を捨てて東京に向かう途中で、愛馬:青と分かれる悲しくも切ない物語である。
実際に歌丸の語った「青の別れ」は、圓朝の作品の冒頭の「山深き奥日光」「おゑいの誘拐」「多助の辛苦」を短縮して、「青の別れ」までを纏めて語ったもので、話に淀みがなく、1時間に及ぶ名調子が、感動ものであった。
後編は、来年4月の国立演芸場の舞台で披露すると言う。
この「塩原多助一代記」は、登場人物も多くて、ストーリーも極めて入り組んでいる大作で、「青空文庫」で読めば非常に面白く、圓朝の非凡さが分かって興味深い。
ところで、この義母おかめだが、実際には、多助の実のおば(父の妹)なのである。
おかめは、実父塩原角右衛門の家来と駆け落ちするのだが、そのおかめが出奔した夫岸田宇之助を探すべく旅に出て賊に襲われているところを、ひょんなことから、多助の義父角右衛門(実父と同姓同名)が助けて家に連れ帰り、妻の死後後添えにするのである。
おかめの娘おゑいも旅の途中でかどわかさせるのだが、後に、角右衛門と出会って母子が再会するのだが、角右衛門の遺言で、多助と結婚する。
元々の話は、浪人中の実父角右衛門の仕官のために、50両を工面すべく借用するしないで義父と争っているおかめの夫岸田宇之助を、多助の実父が、誤って撃ち殺してしまう。
同姓同名も親戚の縁と、仕官すべく江戸に向かう実父に、義父は50両を用立て、代わりに、太助を沼田の大百姓の跡取り養子として貰い受ける。
義父の後添えとなったおかめとおゑい母子が、義父亡き後、役人原丹治親子と密通して、多助を亡き者にすべく画策して嫌がらせの限りを尽くすので、危険を感じた多助が、故郷を捨てる決心をして、国境で、涙を流して袖を食い千切る愛馬の青と別れて行くのである。
昨年も大変であったし、今年の正月も体調を崩して、高座から遠ざかっていた歌丸だが、舞台で見ている限りでは、至って元気で、時には膝起ちして、何時もと変わらない張りのある素晴らしい声で、昭和と平成の語り部よろしく、立て板に水、流れるように語り続ける。
歌丸ファンが多いのであろう、この日は満員御礼ではなかったが、殆ど満席で、終われば、熱狂的な温かい拍手で幕を引いていた。
4月の中席なので、特別なプログラムではないのだが、しみじみとした語り口で、圓朝を語る歌丸の話術に感動して、機会があれば、聞くことにしており、その度毎に、オチのある普通の落語とは違った話術の冴えを鑑賞して愉しんでいる。
この「塩原多助一代記」は、立志伝型人物として教科書にも出たと言う炭商人として大を成した塩原多助の物語で、
今回は、塩原多助が、義母おかめが自分を殺害までして家を乗っ取ろうとする悪巧みに耐えかねて、故郷沼田を捨てて東京に向かう途中で、愛馬:青と分かれる悲しくも切ない物語である。
実際に歌丸の語った「青の別れ」は、圓朝の作品の冒頭の「山深き奥日光」「おゑいの誘拐」「多助の辛苦」を短縮して、「青の別れ」までを纏めて語ったもので、話に淀みがなく、1時間に及ぶ名調子が、感動ものであった。
後編は、来年4月の国立演芸場の舞台で披露すると言う。
この「塩原多助一代記」は、登場人物も多くて、ストーリーも極めて入り組んでいる大作で、「青空文庫」で読めば非常に面白く、圓朝の非凡さが分かって興味深い。
ところで、この義母おかめだが、実際には、多助の実のおば(父の妹)なのである。
おかめは、実父塩原角右衛門の家来と駆け落ちするのだが、そのおかめが出奔した夫岸田宇之助を探すべく旅に出て賊に襲われているところを、ひょんなことから、多助の義父角右衛門(実父と同姓同名)が助けて家に連れ帰り、妻の死後後添えにするのである。
おかめの娘おゑいも旅の途中でかどわかさせるのだが、後に、角右衛門と出会って母子が再会するのだが、角右衛門の遺言で、多助と結婚する。
元々の話は、浪人中の実父角右衛門の仕官のために、50両を工面すべく借用するしないで義父と争っているおかめの夫岸田宇之助を、多助の実父が、誤って撃ち殺してしまう。
同姓同名も親戚の縁と、仕官すべく江戸に向かう実父に、義父は50両を用立て、代わりに、太助を沼田の大百姓の跡取り養子として貰い受ける。
義父の後添えとなったおかめとおゑい母子が、義父亡き後、役人原丹治親子と密通して、多助を亡き者にすべく画策して嫌がらせの限りを尽くすので、危険を感じた多助が、故郷を捨てる決心をして、国境で、涙を流して袖を食い千切る愛馬の青と別れて行くのである。
昨年も大変であったし、今年の正月も体調を崩して、高座から遠ざかっていた歌丸だが、舞台で見ている限りでは、至って元気で、時には膝起ちして、何時もと変わらない張りのある素晴らしい声で、昭和と平成の語り部よろしく、立て板に水、流れるように語り続ける。
歌丸ファンが多いのであろう、この日は満員御礼ではなかったが、殆ど満席で、終われば、熱狂的な温かい拍手で幕を引いていた。
