熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

朝日デジタル:ロシア車、新型なのにエアバッグもABSもない

2022年06月22日 | 政治・経済・社会
    朝日新聞デジタルが、「ロシア車、ソ連時代に逆戻り? 新型なのにエアバッグもABSもない」と報じた。
    ウクライナ戦争で、欧米の強烈な経済制裁を受けて、世界から孤立するロシア経済が、「ソ連化」の道を突き進んでいる。自動車産業はプーチン政権主導で国産化を急ぐが、性能面の低下は隠せない。かつてのソ連は、国による計画経済が欧米の資本主義経済に「敗北」して崩壊の道を歩んだ。
   「最新の快適装備や安全機能が一つも用意されていない」 ロシアの自動車最大手「アフトバズ」が今月公開した主力車「ラーダ」の最新モデルへの驚きを、ロシアメディアはこんな見出しで表現した。 新型にもかかわらず、先進国では当たり前となったエアバッグやABSなどの装備はない。エンジンの排ガスも、最新の規制には適合しない。と言うのである。ベルリンの壁崩壊直後、東ベルリンやブダペストで、プラスチックボディのガタガタのポンコツ車「ラーダ」が走っていたのを思い出した。
   先日、NHKのニュースでも、モスクワのタクシー運転手が、安全機能も何もついていない車で困っていることと、新車が生産されないので、これからどうなるのか、お先真っ暗だと語っていたのを放映していた。半導体やワイヤーハーネスなどの基幹部品の供給不足どころか、そもそも、自動車を製造する部品そのものが揃わないので、新車が生産できないのである。

   半導体不足で、ウクライナの家庭から強奪した洗濯機や皿洗い機から取った半導体を、ロシア軍の戦車に転用しているというのであるから、ロシアの製造業の苦境は手に取るように見えてくる。

   航空機でも、深刻な問題を抱えている。
   既に、エアバス・ボーイング・エンブラエルは、ロシアの航空会社への部品やサービスの供給を停止しているので、欧米機の機体を違法に保持していても、在庫が補充されず必要部品等が手に入らなくなったので、ロシアが運用する旅客機は、安全性に懸念がある状態で運航されている。これを回避するために、航空機の定期検査を、通常国内のエアラインが海外企業に委託している整備・補修・オーバーホールなどを、その作業が可能とみられる現規則では認知外の第三者の国内企業に認める方針だと言うのだが、信用などは出来ない。
   一説には、現有の機体を解体して部品を分離して取りだして、再利用するので、機体が半減するという情報もある。
   また、国産機の一部も、ルフトハンザテクニックなど外資に業務を委託しているので、影響は国内航空にも及んでいて、仮にこれまで通りの整備基準とした場合、運航停止が相次ぎ、国土の広いロシアで国民の移動手段に影響が出るのみならず、整備面での妥協は、極めて危険な行動であり、大惨事を招くのは必定であろう。

   ロシアの鉄道も問題である。
   シーメンスは、
   「ウクライナ戦争が始まって以降、シーメンスはロシアとベラルーシにおける新規事業、ならびに他国から両国への物品納入をすべて一時停止しました。包括的かつ国際的な制裁措置、および現在や将来に起こり得る対抗措置は、ロシアにおけるシーメンスの事業活動、特に鉄道サービスおよび保守事業に影響を及ぼすものです。」 と報じていて、ニュースになっている天然ガスのパイプラインのメインテナンスよりも、鉄道のメインテナンスの方が重大問題だと言うのである。
   とにかく、ロシアでは、飛行機にも鉄道にもタクシーにも乗ってはダメだと言うことである。

   いずれにしろ、濡れ手に粟の石油と天然ガスの輸出で得たあぶく銭に胡座をかいて、経済の近代化や産業の合理化発展に手を抜いて、自立不可能なモノカルチュア経済に酔いしれたプーチンロシアの自業自得、
   アメリカのGDPの14分の1の経済弱者のロシアが、グローバル経済のサプライチェーンから切り離されて孤立化すればどうなるか、
   早晩、ロシア軍の誇りである戦闘機も、戦車も、ミサイルも、在庫が尽きれば、安全装置のない車のように、真面な製品は製造できなくなるはずである。

   尤も、これらの推論には、中国がロシアを助けなければと言う前提がつく。
   最悪だと言われている米中関係は複雑であるが、
   アメリカは秋の中間選挙が近づいていて、バイデン政権としてはインフレを抑えるためには、中国に対する貿易制裁を緩めることが必須であり、一方、中国でも、秋の共産党大会で習近平が第3期の任期を確定するためには、米中関係を改善することが必須であり、両者の利害が一致している。
   バイデン大統領と習主席の首脳会談が実現すれば、台湾情勢や関税をめぐる問題、それにウクライナ情勢などが議題となろうが、少なくとも貿易問題では何らかの前進が期待されので、中国もアメリカに逆らえなくなり、ロシアへの肩入れがトーンダウンする可能性が出てくる。と考えられる。

   今回の記事と関係ないかも知れないが、AFP時事が、
   ウクライナと国境を接するロシア南部ロストフ州で21日、ロシア軍のスホイ25攻撃機1機が計画された飛行訓練中に墜落。17日にも、ウクライナに隣接する西部ベルゴロド州でスホイ25攻撃機1機が飛行訓練中に墜落したばかり。こちらも機材トラブルが原因とみられている。と報じている。
   メインテナンス不備の恐ろしさを物語っている。
コメント
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