米国は、イスラエルに対して並外れた援助と外国支援を与えているが、これは、イスラエル・ロビーの存在がなさしめる業で、このような無批判かつ無条件の支援を続ける関係は米国の国益を冒しているばかりではなく、イスラエルにとっても良いことではない。
アメリカでのタブー中のタブーであるイスラエルロビー批判を真っ向からやってのけたのは、シカゴ大のJ.J.ミアシャイマー教授とハーバード大のS.T.ウォルト教授で、この本「イスラエル・ロビーとアメリカの外交」(副島隆彦訳)だが、アメリカでは出版できず、「ロンドン・レビュー・オブ・ブックス」経由で世に出たと言う。
二人は国際関係論の権威で、謂わば、東大と京大の法学部の看板教授が批判の出来ない圧力団体の国益に反する悪影響を徹底的に検証して真実を白日に曝したようなものであるから、そのインパクトは極めて大きい。
「イスラエル・ロビー」とは、イスラエルを利する方向に米国の外交を向かわせるべく、影響力を行使している諸団体や個人の緩やかな連合体のことである。
米国がイスラエルを無条件に後押しするように促し、イスラエル・パレスチナ紛争、災いをもたらしているイラク侵攻、シリアやイランとの今尚続く衝突など、様々な米国の外交政策に重要な役割を果たし、その結果、米国の外交政策は米国の国益に適っていないのみならず、イスラエルの長期的利益をも損なっていると言うのである。
メディアは勿論、大統領もその候補者も、上下両院議員の誰一人としても、イスラエル・ロビーの行為を非難するものはいない。
しかし、二人は、ユダヤ人国家イスラエルの存在は十二分に正当化されるもので、イスラエルの存在が危機に曝された時には、米国はイスラエルを支援すべきであると認識した上で、イスラエル外交に対しては、バランスの取れたフェアなものでなければならないと言っているのである。
世界中には、迫害されてきたクルドの民やバスクの人々など多くの不幸な民族がいるが、しかし、ユダヤ人ほど不幸な運命を背負ってきた民族はいないであろう。
パレスチナの故地を負われて流浪の民となり、キリスト教徒たちが、十字軍時代には、数多くのユダヤ人を虐殺し、1290年から1497年にかけて、ユダヤ人を、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガルなどから一斉に追放し、他の地域ではゲットーに押し込めた。
東ヨーロッパやロシアではユダヤ人の抹殺計画が何度も実行され、ナチスによる600万ものユダヤ人大量虐殺によって頂点に達した。
その他の反ユダヤ主義的な行為は最近まで横行し、いまだにネオ・ナチやクー・クックス・クランの動き等もあり、程度は多少緩いがアラブ世界においても抑圧されてきた。
私自身は、全くユダヤ人に対しては偏見などないし、むしろ、クラシック音楽が好きなので、作曲家は勿論、現在の指揮者やオペラ歌手など多くの音楽家はユダヤ人なので親しみを感じている。
ノーベル賞受賞者の30%以上はユダヤ人だと聞いたこともあるし、学問芸術の世界でユダヤ人の残した足跡は偉大である。
ところで、この米国のユダヤビイキであるが、48年のイスラエル建国を後押ししてからは、米国はずっとイスラエルとアラブに対しては中立を守っていたと言う。
しかし、1976年の第三次中東戦争、ソ連のアラブ諸国への武器供与などイスラエルが存続の危機に曝され、米国内の親イスラエル派諸団体の影響力伸張などによって、米国のイスラエルへの急速な傾斜が進行して行った。
したがって、最近40年くらいの短い間でのイスラエルとの緊密な関係なので、過去の宗教的信念や過去の米国の中東への関与と言う理由では、歴史的には、現在の特殊な関係を正当化できないと言うのである。
(追記)ユダヤ人の友の思い出やアメリカのユダヤ音楽事情などのエピソード、ユダヤ人に対する私見を、このブログの2006年2月7日に、「チューリップやシクラメンの故郷イスラエル・・・平山郁夫の花の旅」で書いている。
アメリカでのタブー中のタブーであるイスラエルロビー批判を真っ向からやってのけたのは、シカゴ大のJ.J.ミアシャイマー教授とハーバード大のS.T.ウォルト教授で、この本「イスラエル・ロビーとアメリカの外交」(副島隆彦訳)だが、アメリカでは出版できず、「ロンドン・レビュー・オブ・ブックス」経由で世に出たと言う。
二人は国際関係論の権威で、謂わば、東大と京大の法学部の看板教授が批判の出来ない圧力団体の国益に反する悪影響を徹底的に検証して真実を白日に曝したようなものであるから、そのインパクトは極めて大きい。
「イスラエル・ロビー」とは、イスラエルを利する方向に米国の外交を向かわせるべく、影響力を行使している諸団体や個人の緩やかな連合体のことである。
米国がイスラエルを無条件に後押しするように促し、イスラエル・パレスチナ紛争、災いをもたらしているイラク侵攻、シリアやイランとの今尚続く衝突など、様々な米国の外交政策に重要な役割を果たし、その結果、米国の外交政策は米国の国益に適っていないのみならず、イスラエルの長期的利益をも損なっていると言うのである。
メディアは勿論、大統領もその候補者も、上下両院議員の誰一人としても、イスラエル・ロビーの行為を非難するものはいない。
しかし、二人は、ユダヤ人国家イスラエルの存在は十二分に正当化されるもので、イスラエルの存在が危機に曝された時には、米国はイスラエルを支援すべきであると認識した上で、イスラエル外交に対しては、バランスの取れたフェアなものでなければならないと言っているのである。
世界中には、迫害されてきたクルドの民やバスクの人々など多くの不幸な民族がいるが、しかし、ユダヤ人ほど不幸な運命を背負ってきた民族はいないであろう。
パレスチナの故地を負われて流浪の民となり、キリスト教徒たちが、十字軍時代には、数多くのユダヤ人を虐殺し、1290年から1497年にかけて、ユダヤ人を、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガルなどから一斉に追放し、他の地域ではゲットーに押し込めた。
東ヨーロッパやロシアではユダヤ人の抹殺計画が何度も実行され、ナチスによる600万ものユダヤ人大量虐殺によって頂点に達した。
その他の反ユダヤ主義的な行為は最近まで横行し、いまだにネオ・ナチやクー・クックス・クランの動き等もあり、程度は多少緩いがアラブ世界においても抑圧されてきた。
私自身は、全くユダヤ人に対しては偏見などないし、むしろ、クラシック音楽が好きなので、作曲家は勿論、現在の指揮者やオペラ歌手など多くの音楽家はユダヤ人なので親しみを感じている。
ノーベル賞受賞者の30%以上はユダヤ人だと聞いたこともあるし、学問芸術の世界でユダヤ人の残した足跡は偉大である。
ところで、この米国のユダヤビイキであるが、48年のイスラエル建国を後押ししてからは、米国はずっとイスラエルとアラブに対しては中立を守っていたと言う。
しかし、1976年の第三次中東戦争、ソ連のアラブ諸国への武器供与などイスラエルが存続の危機に曝され、米国内の親イスラエル派諸団体の影響力伸張などによって、米国のイスラエルへの急速な傾斜が進行して行った。
したがって、最近40年くらいの短い間でのイスラエルとの緊密な関係なので、過去の宗教的信念や過去の米国の中東への関与と言う理由では、歴史的には、現在の特殊な関係を正当化できないと言うのである。
(追記)ユダヤ人の友の思い出やアメリカのユダヤ音楽事情などのエピソード、ユダヤ人に対する私見を、このブログの2006年2月7日に、「チューリップやシクラメンの故郷イスラエル・・・平山郁夫の花の旅」で書いている。