BRIC'sは、最早、新興国ではない。この古い考え方から抜け出すために、「成長国市場 the new growth markets」と言うコンセプトを考案したのだと言う。
この「成長国市場」のメンバーは、BRIC'sの4か国と、韓国、インドネシア、メキシコ、トルコである。
次の成長国市場の予備軍は、エジプト、ナイジェリア、フィリピンであり、
残りのネクスト・イレヴンN-21は、バングラディッシュ、イラン、パキスタン、ベトナムである。
ジム・オニールは、人口動態と生産性の重要な関連性に注目しており、テクノロジーの発展によって齎されたグローバリゼーションが、万人が恩恵を得るものと考えているので、意図的に人口大国を選んで、次なる経済大国として列挙している。
そして、生産性向上の潜在的可能性は、先進国より発展途上国においてかなり大きく、また、欧米でも労働人口と労働時間の拡大が経済成長を牽引して来たので、労働力が若くて、拡大傾向にある国では、生産効率が高まるため、実質GDPが大きく増加すると考えているのである。
尤も、生産性向上に成功した国としなかった国との違いを分ける重要な要因として、安定したマクロ経済的バックグラウンド、インフレ抑制策や健全な国家財政、協力で安定した政治制度、貿易や外国直接投資にたいする開放制、最新テクノロジーの適用、高等教育などの健全な政策などを上げているのだが、N-11には、人口だけが多いだけで、このような健全性から程遠い国が加えられている。
殆ど投資家のレーダーに引っかからないと指摘するナイジェリア、バングラディッシュ、ベトナムも、夫々に異なるが、どの国も興味深い潜在力を持ち、投資家も注目すべきだとしているのだが、エジプト、パキスタン、イランなど極めてカントリー・リスクの高い国を交える等、そのままでは納得できない。
最近、BRICSと言う呼称で脚光を浴びているSの南アフリカに対して辛口評価なのは、人口が少ないからであろうか。
どの国であれ、BRIC's大国並みになるためには、膨大な人口、強い成長の兆し、高い成長環境スコアGESが必要だが、N-11の諸国には、これらを満たしていないと言う。
GESは、著者たちの編み出した成長指数で、13項目のマクロ、ミクロの経済変数を数値化したものであるが、どちらかと言うと文明が発展し成熟した経済社会環境を持つ社会への道標で、現実にも、BRIC'sの国でも、この数値は低いようであり、N-11の数値に至っては、かなり低いと言う。
ジム・オニールが、BRIC'sの中で、最も優等生だと考えているのは中国で、この宿敵中国の目覚ましい成功によって、インドの多くの政策担当者が刺激を受けて、世界経済に幅広く拘わるようになって成長し、中国の成功は、同様に、N-11諸国のいくつかを刺激していると言う。
ジム・オニールは、人類の未来については、極めて楽観的で、欧米でかなり勢力を持つ新興国危険論など一蹴して、グローバリゼーションの進展も、N-11などの台頭も、総て先進国にとっても良いことであり、2050年のBRIC's経済予測で心配なのは、飢えた新しい世界を満たすだけの資源がないことだが、これまで、マルサスの恐れた最悪の事態が一度も訪れて来なかったように、テクノロジーの発展が総てを解決してくれると考えている。
私は、BRIC'sの経済成長と大国への台頭の最大の要因は、政治革命にあると考えており、特に、その国のトップのあり方で、中国の小平、インドのマンモハン・シン、ロシアのウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン、ブラジルのフェルナンド・エンリケ・カルドーゾとルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァたちの政治的指導力と強引な改革革新が、経済改革に火を灯したのだと思っている。
それに、ベルリンの壁の崩壊とICT革命によって始動したグローバリゼーションの進展が後押しして、完全にグローバルベースで、地球経済をフラット化してしまったからである。
かって、ロストウが説いた「経済発展段階説」など今昔の感だが、私は、今こそ、政治経済学の回帰だと思っている。
この本のタイトルは、「THE GROWTH MAP」で、邦訳本の「次なる経済大国」と言う様なN-11に主眼を置いた本ではなく、N-11を取り込んだ「成長国市場」について論じた本で、BRIC'sの現状や世界経済との関わりを主眼とした経済発展マップであり、次なる経済大国への誘いを期待して読むと失望する。
この「成長国市場」のメンバーは、BRIC'sの4か国と、韓国、インドネシア、メキシコ、トルコである。
次の成長国市場の予備軍は、エジプト、ナイジェリア、フィリピンであり、
残りのネクスト・イレヴンN-21は、バングラディッシュ、イラン、パキスタン、ベトナムである。
ジム・オニールは、人口動態と生産性の重要な関連性に注目しており、テクノロジーの発展によって齎されたグローバリゼーションが、万人が恩恵を得るものと考えているので、意図的に人口大国を選んで、次なる経済大国として列挙している。
そして、生産性向上の潜在的可能性は、先進国より発展途上国においてかなり大きく、また、欧米でも労働人口と労働時間の拡大が経済成長を牽引して来たので、労働力が若くて、拡大傾向にある国では、生産効率が高まるため、実質GDPが大きく増加すると考えているのである。
尤も、生産性向上に成功した国としなかった国との違いを分ける重要な要因として、安定したマクロ経済的バックグラウンド、インフレ抑制策や健全な国家財政、協力で安定した政治制度、貿易や外国直接投資にたいする開放制、最新テクノロジーの適用、高等教育などの健全な政策などを上げているのだが、N-11には、人口だけが多いだけで、このような健全性から程遠い国が加えられている。
殆ど投資家のレーダーに引っかからないと指摘するナイジェリア、バングラディッシュ、ベトナムも、夫々に異なるが、どの国も興味深い潜在力を持ち、投資家も注目すべきだとしているのだが、エジプト、パキスタン、イランなど極めてカントリー・リスクの高い国を交える等、そのままでは納得できない。
最近、BRICSと言う呼称で脚光を浴びているSの南アフリカに対して辛口評価なのは、人口が少ないからであろうか。
どの国であれ、BRIC's大国並みになるためには、膨大な人口、強い成長の兆し、高い成長環境スコアGESが必要だが、N-11の諸国には、これらを満たしていないと言う。
GESは、著者たちの編み出した成長指数で、13項目のマクロ、ミクロの経済変数を数値化したものであるが、どちらかと言うと文明が発展し成熟した経済社会環境を持つ社会への道標で、現実にも、BRIC'sの国でも、この数値は低いようであり、N-11の数値に至っては、かなり低いと言う。
ジム・オニールが、BRIC'sの中で、最も優等生だと考えているのは中国で、この宿敵中国の目覚ましい成功によって、インドの多くの政策担当者が刺激を受けて、世界経済に幅広く拘わるようになって成長し、中国の成功は、同様に、N-11諸国のいくつかを刺激していると言う。
ジム・オニールは、人類の未来については、極めて楽観的で、欧米でかなり勢力を持つ新興国危険論など一蹴して、グローバリゼーションの進展も、N-11などの台頭も、総て先進国にとっても良いことであり、2050年のBRIC's経済予測で心配なのは、飢えた新しい世界を満たすだけの資源がないことだが、これまで、マルサスの恐れた最悪の事態が一度も訪れて来なかったように、テクノロジーの発展が総てを解決してくれると考えている。
私は、BRIC'sの経済成長と大国への台頭の最大の要因は、政治革命にあると考えており、特に、その国のトップのあり方で、中国の小平、インドのマンモハン・シン、ロシアのウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン、ブラジルのフェルナンド・エンリケ・カルドーゾとルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァたちの政治的指導力と強引な改革革新が、経済改革に火を灯したのだと思っている。
それに、ベルリンの壁の崩壊とICT革命によって始動したグローバリゼーションの進展が後押しして、完全にグローバルベースで、地球経済をフラット化してしまったからである。
かって、ロストウが説いた「経済発展段階説」など今昔の感だが、私は、今こそ、政治経済学の回帰だと思っている。
この本のタイトルは、「THE GROWTH MAP」で、邦訳本の「次なる経済大国」と言う様なN-11に主眼を置いた本ではなく、N-11を取り込んだ「成長国市場」について論じた本で、BRIC'sの現状や世界経済との関わりを主眼とした経済発展マップであり、次なる経済大国への誘いを期待して読むと失望する。