感動した丸山亜季先生のピアノ

斎藤喜博先生を追いかけ、林竹二先生を追いかけ、私は教師生活を送ってきました。

今日は勤務校の特別支援学級で研究授業があり、その講師として斎藤喜博先生と共に学校を作り上げてきた作曲家の「丸山亜季先生」をお招きしました。ご高齢ながらお元気いっぱいな亜季先生のお姿を拝見し、さらに丸山先生のピアノの生演奏を聴くことができ、私はこれまで追い求めてきた斎藤喜博先生の教育実践を、生きたものとして脳裏に刻んだ感じがしています。

斎藤喜博先生の実践は、ひとことで申し上げると「学校創り」の実践だと思います。校長として、常に子どもたちの成長を考え、そして教師に対しても温かくも厳しく指導をし、共に授業を考え、大きな教育成果をあげられた。その根本的な考え方は、どのような「授業」を行うかという一点に絞られると思います。

斎藤喜博先生の学校では、子どもたちが「勉強試合をしましょう!」と教師に投げかけてくることがしばしばあったと、著作には書かれています。勉強試合とは、ひとつの学習課題に対して、いったい何が相応しい答えなのかを、あれやこれやと討論していく授業のことを言っているようです。教え込みでは決してない。子どもたちも教師も同じ土俵に立って、真剣に意見を交わす授業。そんな真剣勝負の授業を追い求めていきたい。私のこれからの教員生活の中でも、こうした「真剣勝負」の授業をできるだけ多く実践していきたいと思っています。


さて、今日の特別支援学級の指導案の中に、とても素敵な言葉が入っていました。私はその一文字にくぎ付けになってしまいました。

それは、『霧』という一文字です。

「劇を演じたり、歌を歌ったりするとき、私たち教師の心の中にも、知らず知らずのうちに霧が漂いはじめ、心を曇らせることがよくある。そんなときに、子どもたちの「晴れやかな歌声」が私たち教師の心の中にある『霧』を晴らしていくことがある。そんな子どもたちの輝く姿を引き出したい。」

というようなことが書かれていました。

私はまったく同感だと思いました。普通学級にいる教師も児童も生徒も、みんなみんな、自分の心の中の『霧』を抱えながら学習をしている。しかし心が解放されていない中で課題に取り組んでも、力以上のものが出ることは決してありません。「解放された本当の自由な心」こそ、すべての学習にとてつもないエネルギーを与えるのです。



私は学校の教員に、「もっと特別支援学級の授業を参観してほしい」と呼びかけています。
「教育の原点は特別支援学級にある」とも言っています。
その原点とは「解放された心」のことを言っているつもりです。

心が解き放された子どもたちは、周囲の目には振り回されることなく、自分の持てる力を存分に発揮していく事に喜びを感じていきます。その姿は神々しいとも言えます。

今日、一緒に参観した新任教諭にも感想を聞きましたが、
「言葉にはならないほど感動しました。教育の原点という意味を、あの場の空気、子どもたちの生き生きとした姿、そして先生たちの動きから感じました。」
と答えてくれました。

願わくば、普通学級の子どもたちも、特別支援学級の子どもたち以上に、心が解放され、自分でも気づいていない「神々しい内面」に気づいてくれると素晴らしいのですが、これを実践することを今後の私自身の課題にしておきたいと思います。



研究協議会に参加する時間がなかったので、担任の先生には下記のような感想メモを残しておきました。

「今日の授業は、指導案にあるように、まさに霧が晴れていくような授業でした。授業を参観しながら“共育”という言葉が思い浮かびました。子どもたちの晴れやかな歌声が、大人である先生方を育てている。このことは間違いありません。もしも宮沢賢治が現代に甦って、今日の授業を見ることができたら、きっと賢治は特別支援学級の担任を希望することでしょう。今日の授業はイーハトーブの再現だったと思います。」


最後にもう一度。
丸山亜季先生は、今日の授業の中で「ゲストティーチャー」としてピアノを弾いてくれました。そっと後ろから覗いてみると、なんとなんと楽譜を使っていませんでした。それでも音を間違えずに、子どもたちが動きやすい、歌いやすいように演奏してくれる技術に、またまた感銘したのでした。


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