地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

さよなら鹿島鉄道 (3) 元夕張キハ714

2007-04-02 00:00:11 | 地方民鉄 (関鉄系)


 東京から半径100km以内にある非電化ローカル線のひとつがついに消えるということで、最後は大混雑に見舞われていた鹿島鉄道……。でも私個人としましては、何度も通うたびに心から親しんだ、静かな雰囲気の中をトコトコと(しかしエンジン音だけは豪快に!)走るローカル線叙情を、記憶の中で大切にとどめておきたいという思いから、2月中旬の訪問を最後に沿線には行きませんでした。そして当ブログでも、DD901解体の報せ以来、しばらく鹿島鉄道の車両たちをアップするのを控えてきました。
 しかし今や何とか無事最終日が終わり、廃止をめぐる状況も一段落したと思われることから、再びシリーズで鹿島鉄道の車両たちを振り返り、霞ヶ浦のほとりや丘陵地帯の森にエンジン音が響いていたことに思いを馳せてみることにします。



 そこでまずは、夕張鉄道の残党・キハ714です。この車両は恐らく扉と運転席の間に距離があることを理由にワンマン改造されず、長らく毎朝1往復の通学輸送が主な役目でした。そして、石岡の車庫で昼寝をする時間が圧倒的に長く、JRのホームからもよく目立つことから、側面に巨大な広告が……(-_-)。せっかく湘南窓とバス窓が素晴らしい車両なのに、この点だけは最後まで残念のひとことでした。
 でも、それは決してキハ714の魅力そのものをスポイルするわけではなく、むしろ乗ったときの痛快な楽しさは鹿島鉄道でもピカ一だったように思います。板張りの床に長ーいロングシート、ドア脇のレトロな造型のランプが点灯したのちに取っ手を握って「よっこいしょ」と横に引く重い手動ドア、床下で「ガリガリガリ」と猛烈な音をかき立てるエンジン、トランポリンのような乗り心地の台車……。もちろん、いまや決して効率的でも機能的でもなく、日常の利用客にとっても歓迎できないシロモノだったのかも知れませんが、ローカル線趣味の観点から見れば最高!な車両だったと思います (*^^*)。
 今では常陸小川に留置されているそうですが、これから果たして故郷の夕張に帰ることになるのかどうか注目したいところですね。夕張自体はやはり困難に見舞われていますので、ほとんど望み薄なのでしょうけど……せめてどこかで保存されれば、それだけで御の字なのかも知れません。