
恐ろしく動きが遅い台風13号は、八重山地方や台湾に散々被害をもたらしながら、これから本州を縦断するそうで……とくに台風に長時間巻き込まれた台湾では各地でまれに見る大洪水が発生し、大きな被害が出ている模様です。驚きなのは……西部縦貫線のうち山線の単線区間(三義=后里間)を廃する代わりに約10年前に開通した新線区間のうち、大甲渓を渡る豪華複線高架橋が大洪水の洗礼を受けて土台露出という惨状となってしまったこと……。このまま何も手を加えずに営業を続けるとすれば倒壊しかねないということで、新幹線の開業後も依然として(とくに新幹線が通らない都市間を結ぶ手段として)大きな存在感を持っている西部幹線にとって危機一髪のようです (-_-;)。また、7月の台風被害で運休が続いている阿里山森林鉄道も、今回の台風でさらに大ダメージを受けて運行再開が遠のいたとのこと……。同じ風水害や地震に見舞われる島国として、台湾の状況は日本にとっても無視できないでしょう。一刻も早い修復を祈るばかりです。
さて、そんな台湾における中距離都市間輸送の要は、これまで台鉄の各種優等列車や国道客運(高速バス)が担ってきたわけですが、新幹線開通で長距離需要を失った台鉄は、最近ますます中距離輸送にテコ入れを図っており、とくにその重点を「台鉄捷運化」に置いています。要するに、「汽車型」の運行体系をとってきたこれまでの台鉄を、これからはまさに「JR台湾」さながらに (爆)、都市型通勤電車主体の頻繁運転輸送へとシフトさせようというもの。そこで、「汽車型」輸送を象徴する客車列車・キョ光&復興をどんどん減らし、代わりにセミクロスシートのEMU700形を大量導入……。↑の車両がまさにそのEMU700形です……。

このEMU700形は、タロコ号=TEMU1000と同じく日本の技術によっており、まず日本車輌が1~2編成を試作・輸出したのち、日本車輌と台湾の鉄道車両メーカー・唐栄鉄工が中心となって設立した新メーカー「台湾車輛」にて続々と量産されています。そして、キョ光号や復興号の本数を減らす代わりに新設された、復興号&区間車運賃の快速列車「区間快車」を中心に、台湾の全電化区間を股にかけて走り回っています。最近の大量生産技術を台湾に持ち込んだということで、台湾版「走るんです」と呼ばれることもあるようですが、個人的には日車の技術ということで、台湾版「小田急3000」ではないか、と勝手に解釈しております (^^;)。
EMU700は、台湾人から見てこの顔がスネ夫に似ているとかで、台湾ではさっそく各方面で「スネ夫(阿福)号」と愛称されており、しかも乗ればそこそこ快適、早くも台鉄利用者のあいだにすっかり融け込んでいるようです。それでも個人的に、この正面のデザインだけはどうしても馴染めないんだよなぁ……と (-_-;;)。
そこで、これまではほとんどどうでも良い存在に過ぎなかった韓国製VVVF通勤電車・EMU500・600形の存在が、撮り鉄の際に限って俄然赤丸急上昇! (苦笑) まぁ、乗れば別に大した感動などあろうはずもないのですが、デザインセンスが基本的に「昔の台鉄」の延長である点がステキです。とくに、中央に貫通扉が付いた青いマスクを眺めていますと……今はなき支線区用旧型DC(戦前の日本が残した旧型DCの車体載せ替え版)の雰囲気を思い出します……(^^;;;;)。
ここでふと妄想を思いつきました。今回は結局乗ったり撮ったりしなかった現行のローカル支線用DC・DR1000形を青一色+白帯にラッピングすれば、ただでさえローカル線の旅が超人気となっている台湾において、さらに熱い注目が集まるのではないかと思います (笑)。そして出来れば、この電車も真っ青にラッピングして欲しいです……って無理でしょうかね~(^^;;
以上をもちまして、約半年にわたってお送りしてきました08年春の台湾一周撮り鉄シリーズは完結です。お楽しみ頂きましてありがとうございました。
そして……あーまた早く台湾に行きたい……。結局台湾から帰ってきてこのかた、長い休みが全く取れず、集集線のSLも撮りに行けず……。鉄も美食も最高な台湾にしばらく行けないとなりますと、ホントにストレスがたまります (汗)。