ここしばらく注目を集めたエジプト情勢、一旦沈静化するかと思いきや、ムバーラク大統領が頑固に居座り続けているため再び混迷しつつあるようで……。私事ながら、こういうときに偶然両親がエジプト旅行をしていただけに (無事帰国)、その帰趨について固唾を呑んで見守らずにはいられないわけですが【11日午前1時半補足:ネットでアル・ジャジーラの英語放送を見ていたところ、ムバーラク抜きで開催された軍最高評議会の画像が流れ、やがてムバーラク辞任の可能性大であることを示唆する字幕とともに見出しが「The Revolution」に……まさにリアルタイムで流動的な事態を眼に出来、こりゃすげぇ!】、そこでふと気になってエジプトの鉄道事情を調べてみたところ、なかなか魅力的なボロ客車列車やトラムがてんこ盛りではないですか! (そういう問題かよ……と ^^;) カイロ地下鉄が川重・近車のお得意先であるというのも新鮮な発見です。というわけで、情勢が落ち着いたらそのうち行ってみたいなぁ……という気がもたげて『地球の○き方』をゲットした次第ですが、さっそくカイロ地下鉄の路線図を見たところ、カイロの交通の要衝・ラムセス駅最寄りの地下鉄駅は「ホスニー・ムバーラク」駅……。現役の大統領が自分の名前を駅名にしてしまうあたりからして、彼は面の皮が厚い独裁者なのだということを痛感。北朝鮮でさえ金正日駅は存在しないはず…(汗)。
それはさておき、エジプトの混乱の一因が所得格差の拡大であり、しかも官僚や軍隊の特権とも密接にからんでいるというあたり、インドネシアも他人事ではないような気がします。インドネシアは単に経済が急速に発展中であるだけでなく、スハルト政権の崩壊で民主化・自由化が実現し、いろいろな文化も共存していますので、エジプトとは同列に論じるべきではないのかも知れません。それでも、格差の現実はジャカルタという街を見るにつけ凄まじく、かつての独裁与党であるゴルカル党や官僚・軍・国営企業・華僑華人とのコネ、あるいは十分な教育経歴を持たないために、目下のインフレについて行けなさそうな人々も多数……。またイスラーム原理主義の影響で、キリスト教やイスラーム異端に対する襲撃沙汰が増えているとも伝えられ、一見サイコーにのんびり・まったりとしたインドネシアの裏側に、何やら曰く言い難いマグマがたまっているようにも思われます。
いまのユドヨノ政権はこの問題について深く自覚しているようですので、それほど心配は要らないのかも知れませんが、もし今後本当に社会不安が高まるとしたら……エジプトで金持ちの象徴であるショッピングセンターが襲撃されたのと同じように、金持ちの象徴である日本中古冷房車が怨みの対象として破壊されないとは誰も断言出来ないでしょう (-_-;)。最近KCJ (電鉄会社) は、インフレの中で設備投資を引き続き推進するべく運賃の値上げを実施し、とくに非常に安いエコノミー運賃を一気に50%以上引き上げましたが、1日後には即時撤回されたとのことで、経済発展の恩恵に必ずしも浴していないエコノミー利用者からの反発が余りにも大きかったことが想像されます。多くのエコノミー利用客は「金持ちの冷房車が増えたせいでエコノミーが大減便され、屋根にも乗り切れないほどの凄まじい混雑と値上げのダブルパンチかよ!」と思ったに違いなく……。
う~ん、インドネシアのバブル気味な経済が何とか軟着陸し、エコノミー利用客も冷房車利用客も満足を享受できますように……ということで、イスラームのシンボルカラー=緑をまとったメトロ5000系をアップしてみましょう。
メトロ5000系はジャカルタでデビューして以来、ドア小窓+戸袋窓ありという古典的な (?) スタイルと、より落ち着いた雰囲気の緑+黄帯のコンビネーションが何ともシブい雰囲気を醸し出しており、一昨年の夏に初めてジャカルタを訪れた私としても思わず嬉しくなって激写したものです (笑)。もっとも、スタイルの古さのみならず車内も古いことから、現地の皆様の評価は恐らく東急8000/8500系や東葉高速1000系 (同じ電車なのにねぇ……^^;) に及ぶべくもないと思われ、今ひとつ肩身が狭そうな雰囲気が感じられたのも確かです (^^;
そんなメトロ5000系の緑帯も、約2年ごとの検査で貼り替えられてしまうという運命に逆らうことは出来ず……昨年8月の時点では67Fのみ残っておりました (-_-)。そして67Fは、緑帯時代の花道を飾るが如く、ボゴール線のパクアン急行に入って大活躍しており、「さぁ緑帯最後の晴れ姿をガンガン撮影よろしく!」と誘われるままにシャッターを切りまくったのでした……(*^^*)。
ただ……1枚目は夕方のサワー・ブサール駅にて斜光線を浴びてギラギラしているシーンを狙ったのですが、バックに迫りつつある暗雲の先端が西日をデフューズしてしまい、ちょっとイマイチ。この直後から一気に暗くなり、凄まじいスコールがちょうど1時間降り続きました (爆)。午後の撮影は本当にギャンブルです……。
ちなみに、一昨年の夏に訪問した際には、メトロ5000系は2編成が東線~ブカシ間のエコノミーAC運用、もう1編成がスルポン線運用に入り、何とも裏方的な雰囲気すら感じられたものですので、いきなり急行運用に入っている光景には腰を抜かしそうになったのも確かです (笑)。まぁ、抵抗制御車の使い方としては適切だということになりますが、その分東急8500系が急行に余り入らなかったという問題も……(^^;)。急行運賃を払って乗る客にとっても、窓が小さく暗い雰囲気のメトロ5000系よりも都営6000系の方がマシで、東急8500系の方が全然良い、という格付けになるのかも知れません。それでもまぁ、組織改編により消えて行った「DIVISI JABOTABEK」マークを輝かせて力走するメトロ5000系急行も、ひとつの貴重な記録なのだろう……と思う次第です。