
3月中の完全引退が刻一刻と迫っている京王6000系のさよなら企画は、周知の通り競馬場線2連ワンマン編成の若葉台廃車回送 (ToT;;) を経て今月から舞台を動物園線に移し、まさに最後の1編成となった6022FにHMを取り付けて通常運用に入れるというかたちで展開されています。そこで私も、○式鉄と言われようが何だろうが是非最後の雄姿を記録して走行音を楽しんでおきたいと思いまして、仕事が午後からとなる先週某日を選んで訪れてみたのですが、何と6022Fは検査……(号泣)。
しかし、早くも究極のリベンジを果たすときが到来! 昨晩は首都圏全体が急激な冷え込みと南岸低気圧の接近によって久々の本格的な雪となり、とくに多摩地方はそれなりの積雪量に! こういうときに偶然時間を確保できましたので、迷わず動物園線を訪れて6022Fと雪景色のコラボレーションを満喫して参りました♪

今回はまず高幡不動から多摩動物公園まで乗車したのですが、ズラリと全開した5扉ボディの中に一歩踏み込みますと、そこにはベージュの化粧板と明るいブラウンのモケットが醸し出す暖かみのある世界が……。最近まで7000系未更新車を含めて当たり前のように見られた車内デザインも、今や激減とともにすっかりレトロな雰囲気すら漂います。とは言え、この編成は1991年3月に新造されて以来間もなく二十歳を迎えようとしているまだまだ若い存在ですので、その間に流れた時間とセンスの変化が如何に激しかったかを改めて痛感します。そしてこの編成は……ちょうど二十歳を迎えたとき、まさに廃車解体となる運命に……。様々な理由により不発に終わった5扉車の夭逝と形容すべきなのかも知れません。
そんなことを考えているうちに高幡不動を発車した6022Fは、動物園訪問客と近場の大学に通う学生さんを僅かに乗せ、軽くモーター音を響かせながら連続20‰~の勾配を登って行きます。ほぼ空気輸送の車内からは雪晴れの住宅街のパノラマを見渡すことが出来、車内には日だまりが……。モーター音は時折勾配がきつくなると盛り上がりを見せますが、本線特急・準特急や相模原線急行として6000系が激走した際のサウンドと比較すればマイルドであることは否めず、あくまで窓際族的存在として淡々と走る姿に逆に哀愁を強く感じたのでした。そんな6022F、普段は枯れ木・枯れ草の脇をかすめて走っていますが、今日ばかりは白雪の中でアイボリーの肌をひときわ美しく輝かせ、影になる部分も雪に照らされてほの明るく、まさに別れの花道と呼ぶに相応しい大自然の演出は「粋」の一言に尽きたのです……。
何はともあれ、最後の6000系となった6022Fには、離脱のその日まで安全運行を全うして欲しいものです。なお、動物園方・クハ6722に掲げられるHMは、最初は6000系が描かれた青HM、そしてつい先日まで若葉台特製HMだったようですが、今日はストレートに「さよなら6000系」と書かれた桜上水特製HMに変わっていました。この分ですと恐らく高幡不動特製HMも用意されていることでしょう。この週替わり (?) 企画は何やら、神出鬼没で「賀正」「謹賀新年」といった特製サボが取り付けられた東急東横線8000系の最後を思い出す展開ですね……。そんな京王社員の皆様の熱い思いを汲み取って、我々ファンも節度ある訪問を心がけたいものです。