地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

伊豆箱根鉄道探訪 (1) 復活赤電!

2011-11-24 00:00:00 | 地方民鉄 (東海道)


 西武701系は、高度成長期に急激に進んだ沿線の宅地開発・輸送量増に対応するべく、それまでの釣掛赤電や601系の流れを汲む車体・ブレーキシステムと抵抗制御・カルダン駆動・コイルバネの組み合わせで1960年代に量産された車両ですが、当初クハの台車は中古のTR11を補強したものを流用していたのは余りにも有名な話。それだけ西武の車両事情が一時逼迫し、可能な限りローコストで確実に車両を供給しようとしていたことのあらわれでしょう。その後701系は冷房化・ブレーキ改造・クハの台車交換を受けてグレードアップし、80~90年代にかけて廃車となりましたが、質実剛健そのものな車体と下回りは一時代を築いた車両と呼ぶにふさわしく、一部の車両はその性能を買われ、20m級車両の2~3両編成が日常的に運用されるいくつかの地方私鉄に転じて活躍を続けて来たのは周知の通りです。
 しかし、如何せん1960年代製で、車齢は40数年となってしまい、薄暗く古い車内とガタピシ揺れまくる乗り心地の印象は、恐らく一般の利用客にとってはただのボロであることは否めないでしょう。趣味的にはハートが高鳴ることは言うまでもありませんが……。そこで、西武の子会社である伊豆箱根鉄道駿豆線で使われて来た701系あらため1100系も、既に2本が新101系あらため1300系の入線により廃車となり、残るは1本のみ……。その1本・1009Fも、来年の引退が既に宣言されており、伊豆箱根公式HPによりますと……何と1009Fを赤電復活塗装として最後のはなむけとするというではありませんか!



 というわけで昨日はリハビリ鉄としまして、大場車庫公開イベントでの赤電御披露目を見物して参りました。先行き長くなさそうな修善寺行「踊り子」に乗り、富士山を眺めつつのんびり揺られておりますと……既に人がワンサカといる大場車庫の奥に赤電が確かにいるのを確認し、余りの人出に「ドヒャー」と驚きを禁じ得ませんでした (汗)。とはいえ、「まぁどうせ地方私鉄のイベント。何のかの言って車両に近づけばそれなりにまったりと撮影できるでしょう」と思いまして、期待に胸を膨らませつつ大場駅で下車~。自宅最寄り駅からここまで絶妙な乗り継ぎで、ちょうど2時間ほどで着いてしまったのも良い気分……(^^)。
 そこで、人をかき分けお目当ての赤電の前に立ってみますと……あれれ?写真で見た西武赤電701系とは何かが違う……。かと言って、1000系と同じ伊豆箱根オリジナル赤電塗装(正面の羽根状塗り分けがポイント)というわけでもありません。仔細に見てみますと、幕板部分の塗装が下がり気味で、腰板部分の塗装がかなり上がり気味のようですので、要はマスキングが正面の行先表示器及びライト部分にかからないよう簡略化したところこのような位置になったということなのかも知れません。あるいは、これまでの青白塗装の上に赤電塗装をかぶせる以上、塗り分け目は青白塗装になるべく準拠したということなのでしょう。
 というわけで、1009Fの復活赤電塗装は純粋な西武赤電塗装の復活ではなく、さりとて伊豆箱根赤電塗装の復活でもないということで……2011年バージョンの赤電塗装と位置づけることが出来るでしょう。それでも個人的には、赤電時代の西武を利用したことがあるわけでもなく (^^;)、今の時代にこのような塗装が出現してくれるだけでも有難いと思いますので、もう無我夢中でファインダーに集中しシャッターを切りまくり♪ (*^O^*) 予想通り赤電の前はまったりとした雰囲気で(ほとんどのお子様連れはこういう電車には興味がないらしく、むしろ「いつもの」3000系を車庫で眺められることに興奮しているようでした……笑)、しかも折良く明るい曇りとなって様々なアングルで撮影出来たこともあり、リハビリ鉄として最高のひとときを過ごした次第です。今後の営業運転が楽しみですね……。