地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

イスタンブルの古典路面電車 (2001年)

2013-06-06 00:00:00 | トルコの路面電車


 トルコがここのところ不穏……。いつもお世話になっております「ぱれっと」様のブログにおける東欧・北欧鉄道趣味大周遊記がついに最後のご訪問地であるトルコ・イスタンブル編に突入されたことから、協賛という意味を込めて13年前に訪問したイスタンブルの路面電車画像をお手軽スキャン (ライトボックスにポジを置いてマクロ撮影) しまして、ぼちぼちレタッチを進めておりました。しかしここに来て、親イスラーム的長期政権に対する世俗主義者や若者の反発が噴出するという、トルコ現代政治史上繰り返されてきた動きが現れているだけでなく、これまでの「イスラーム主義 vs 世俗主義」の対立におけるような、世俗主義の担い手である軍が一気にクーデタを起こすばかりで民衆には混乱や犠牲が余り出ないという構図を大幅に超える混乱が現れているようで、非常に気がかりであります。最近のトルコに対する国際的な注目は、イスラーム教徒が圧倒的多数でありながら自由・民主的で、高い経済成長を誇ってきたという評価と一体であり、だからこそ五輪誘致の有力株でもあったわけですが、このモデルが挫折するとなると、同じくイスラームが圧倒的に強いインドネシアの将来がどうなるのかという懸念にもつながるわけで、ひいてはジャカルタでの撮り鉄環境にも関わって来るかも知れないという……(何やら「風吹けば桶屋」という感じかも知れませんが)。



 いやいや、それ以上に何と言ってもイスタンブルというところは、遥かギリシャ・ローマ古代文明以来の歴史の香りが濃厚に漂っているのみならず、美味いメシ、そして商売っ気たっぷりながらも親切な人々が多いところだという印象がありますので、個人的には東京がオリンピックに落選したら全力でイスタンブル五輪を支持するつもりだったのであります。しかし……五輪はおろか、そもそもこのボロいけれども美し過ぎる街が大混乱に陥る光景を見たくない……。
 というわけで、イスタンブル及びトルコの平穏を願って、金角湾の北側の目抜き通りであるイスティクラル (独立) 通りにて保存運転されている古典路面電車の画像をアップしてみましょう~。この路面電車は、坂の多いイスタンブルの街における移動の便を図るため、東京よりも早く19世紀末に建設された地下鉄 (その名もテュネル=トンネル。まぁほとんど短距離のケーブルカーに近いシロモノですが) の終点から、丘の上のタクスィム広場 (トルコ共和国の父・ムスタファ・ケマルの像あり。今回の騒動の中心地) まで、10~15分に1回ほど、昔ながらの単車 (または2枚目のようにぶら下がりトレーラーが付くこともあり) が人の波をかき分けチンタラと走っており、何とも優雅な雰囲気を振りまいています。まぁこの時点では個人的に、非鉄から次第に鉄に戻り始める頃でして、撮りはしても乗らなかったという体たらくですが……(滝汗→だってぇ~、この区間を歩いてもすぐなんだもぉ~ん ^^;)。単車の後部やぶら下がりトレーラーでは、地元のガキがいつ見てもしがみついて遊んでおり、それを誰もとがめようとしないあたりには何ともノホホンとしたものを感じましたが (笑)、そこらへんもまたアジアとヨーロッパの境目にあるこの街のユルい雰囲気を象徴していたように思います。
 こんな感じで、眺めるだけでも十分楽しめるイスタンブルの古典トラムですが、車庫が何と騒乱の舞台であるタクスィム広場に隣接しており、石を投げられて電車が破損していないか非常に心配です。そのうちまたイスタンブルを訪れてみたいものですが、再びまったりと楽しめるようになると良いなぁ……と。