諸々の報道によりますと、現在カンボジアにて開催されているユネスコの会議において、本日午後にも富士山の世界文化遺産登録が決まるとか。あの膨大な数の登山者から垂れ流される物体の処理の問題が到底不徹底であるがゆえに、当初の狙いである自然遺産としての登録がフイになり、戦略を変えて山岳信仰や文化的インスピレーションといった側面をくっつけることによってはじめて世界文化遺産としての面目が立ったというオチではあります。
何はともあれ、本朝最高峰が世界遺産に登録されたのは、日本国民のはしくれとして誠に目出度いと思う反面、「やれやれ、これでさらに登山客や観光客殺到かよ……@_@;;」と思うのも確かです。個人的には、リアル中坊のときに登頂を果たして以来しばらく富士登山とは御無沙汰ですので、丹沢塔ノ岳の頂上、あるいは三島~富士界隈を走る新幹線の車内から、富士山がドッカーンと聳え立っているのを眺める度に「登りてぇ……」と思ってはいるものの、結局毎年7・8月はあっという間に過ぎて行くという始末。しかしそうこうしているうちに、近年は所謂山ガール (最近山屋に復帰して以来、これは都市伝説ではないことを目の当たりにしてオドロキ……) の大量参入もあって富士登山は凄まじい人出となっているようで、これに加えて世界遺産登録記念登山殺到間違いなしでしょう。「これでもう吉田口と富士宮口からは登る気がしねぇぜ……須走口すら混み合いそうだ。イヤ待て。そういやぁ須走口は途中で吉田口と合流するんだった! つーわけで、ヲトコは黙って地獄の御殿場口から登るしかねぇべ」と思っているのは私だけでしょうか?
そんな中、最も鼻息が荒いのは、地元の公共交通網を一手に担っている富士急であることは論を俟たないでしょう。とりわけ、マイカー規制期間中の富士登山の足はかねてから富士急バスのドル箱であり、今後は山麓一帯でも渋滞を避け公共交通を利用するよう呼びかけが強まるごとに富士急の存在感も増すことは間違いなし。そこで、世界文化遺産登録が内定した云々というニュースが流れた直後、富士急の株が大幅にアップしたそうですが、さらに報道で伝え聞くところによると、かねてから話が出ては消えていた五合目までの登山鉄道建設にも富士急が改めて乗り気になっているとかいないとか……。しかも何と、決してラックレールや箱根登山並みの特殊装備を必要とするものではなく、あくまでも現在の富士急鉄道線の延長として (40~50‰程度の勾配で?) 建設可能であり、都心から五合目まで直通可能とか何とか……(@o@)。建設の過程では一時的に山腹の一部の環境をいじることにはなるものの、完成後は現在の道路を廃止することにすれば、確かに排ガスはゼロになって環境負荷が減るのも確か……。
というわけで、そんな野心的な計画やら観光やらをめぐるカネが凄まじくうなり始める予感がする中 (爆)、去る2月に撮影した富士急雪見画像の続きとしまして (大幅に時間が開きすぎ……^^;)、165系パノラマエクスプレスアルプス改めフジサン特急2000系のうち展望顔の画像をアップしてみましょう。
もともと165系がパノラマエクスプレスアルプスとして改造された80年代半ばの時点で、既に新造からはそれなりの年数が経っており、さらに約15年を経た2001年に富士急入線、それからさらに今日まで既に約12年が過ぎている……ということで、いつの間にかこの (どう考えても小田急7000を意識しているとしか思えない) 顔も約27歳の年増 (爆) となり、車齢全体でみれば40数年となってしまったわけですが、それでもフジサン特急を見かけると「ををっ」という気になるのは、ちょいとアレな塗装にもかかわらず堂々とデラックスな内装、そして何と言っても「165系であること」の重みの成せる技であると言えましょう。そして今回の世界遺産登録を機に、この夏はますます多くの観光客を乗せて急勾配を登り下りすることになりそうですが、しな鉄169系や日光線107系がついに引退した現在、果たして最後の現役165系たるフジサン特急2000系が何時まで持ちこたえるのか……とりわけ世界遺産商戦に伴う新型車両投入も今後は大いに視野に入りうるだけに要注目なのかも知れません。