地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ハノイ以北サウナ鉄 (3) D14E単機

2016-06-20 00:00:00 | ベトナムの鉄道


 トゥーソンを朝5時半前という大幅遅延で発車したハロン行き混合行商列車……とはいっても、所詮最高速度は30km程度しか出ず、それ以上飛ばせば老朽化の極みに達した客車が凄まじい悲鳴を上げてバラバラに分解しかねません (汗)。というわけで、あちこちで工場や宅地の開発が進むバクニン 北寧 省を、脇の国道を行く車にバンバン追い抜かれながらチンタラ進むのですが、夏の朝靄の中に睡蓮の花が咲き乱れるという、何ともベトナムのイメージそのまんまな風景が広がるのは優雅な話です。もし一般ボックスシート客車・B41001が来てくれればの話ですが……。
 というわけで、B41001の代わりに旅客用として充当されているC51003はと言いますと……この客車は恐らく満鉄ハ5形を出自としており、一部は食堂車に改造されています! かつて確か、いつもお世話になっております斎藤さんがハロン線に乗車された際のレポートを雑誌で眺めて、フォー (牛や鶏で出汁をとったベトナム国民食の米粉そば) を提供する非常に簡素でボロい食堂車のありさまに、思わずゴクリと唾を飲み込んだものです……(笑)



 しかし残念ながら、食堂車としての営業は休止となって久しく、テーブルが付いたボックスシート4×6の24名分が事実上の一般客室となっています。しかも、トゥーソンで乗った時点で、計6ボックスはイェンビェンから乗っている人々によって三々五々占拠されていました。では、彼らの中に割り込んで座るべきか……? 朝っぱらから猛烈な高温多湿ですので (-o-;)、狭い空間で身を寄せ合うのはイヤ過ぎますし、何と言っても私は鉄ヲタ。自由自在に動き回って写真を撮りまくるために来たのです (笑)。というわけで、誰も座らない行商客スペースに陣取り、板張りで浅いロングシートに改造されてはいるものの、満鉄客車としての矜恃を見せつける高い屋根の空間に包まれながら、この客車がかつて満鉄や華北交通の堂々たる複線上を駆け抜けた遠い昔の日々に思いを馳せたのでありました……。
 そんなこんなで、6時半にバクザン 北江 に到着~。ここでは最初の行商荷物積み込みの波があり、かつ北京発ハノイ行き国際列車 (但し車両はドンダンで乗換し、ベトナム国内はメーターゲージ客車1~2両で運転) との交換があるはずですので、やや停車時間が長くとられています。というわけで「確か北京発は木曜だから、土曜の朝にちょうど出会えるだろう」と目論んで、ハノイ行きの通過を待ち構えたのですが……いつの間にか荷積みが終了し、駅員氏が青旗を振りながら「発車するから乗れよぉ~ (たぶん)」と私に向かって叫びましたので万事休す (泣)。あれれ……? 北京からの列車が遅れているのか、それとも余りにも国際列車の利用客が少ないので北京~ハノイは廃止となり、南寧~ザーラムが残るだけなのか……? ザーラム駅の国際列車切符売り場に立ち寄るのを忘れましたので (^^;)、まぁ真相は、そのうちCNRの5月改正最新時刻表を入手すれば分かることでしょう。
 その後も相変わらず遅延回復には一切努めずにチンタラ走り、ドンダン~ハノイ線とハロン線の分岐駅であるケップに着いたのは7時20分頃。罐の前後を付け替えて折り返し発車するのが7時39分ですので、その間に猛スピードで罐換えシーンを激写し、かつ形式写真を撮りまくりました……(つづく)。


 この日は一般旅客用のC51003車内。長旅には過酷な椅子……。



 C51001車内。この客車もどう見ても日本的な雰囲気が……。



 バクザンでの数分亭車中。一両あたりの大きさが格段にデカい中国国鉄貨車が長々と連結されており、先頭までダッシュして編成写真を撮るのは諦めました (滝汗)。