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東北地方の民鉄は周知の通り、少子化などによる長期的な乗客凋落傾向に加えて今年の大震災が重なって何処も大変な苦境にあるといわれており、支援の輪はたとえば相鉄がこの夏休みに合わせて「相鉄&東北ローカル線 スタンプラリー2011」を開催するなど様々なかたちで展開されつつありますが、やはり鉄道ファンのはしくれとして出来る最も基本的な支援は、直接乗りに行くことを擱いて他にないでしょう。そこで、何とか東北遠征の機会をうかがっていたところ……何と!海の日連休に合わせて十和田観光電鉄で旧型車両が走り回るというではありませんか! 個人的にこれまで十和田のイベントはなかなか予定が合わず、さりとて三沢~七百間でのフォトラン (1往復1万円とか) を自分で挙行するほどの決心もつかず (^^;)、結局十和田の旧型車が走るシーンをナマで楽しむ機会は皆無……(滝汗)。しかし今回は予定が目出度く合ったことから、京都出張から帰って来た土曜日の夜には夜行高速バス「シリウス号」の客となり (国際興業と十和田観光電鉄の共同運行ということで、往路も運賃収入に貢献!)、一路北へと向かったのでした。
そして沿線には……琴電イベントに匹敵するほどの人人人!! 七百での撮影会やその後の貨物列車運行などは、「ここが大都会から遥か遠く離れた場所とは思えない!」というほどのパニックぶりで (JR東日本パスの利用可能期間と重なったことも大きいでしょう @_@)、折からの蒸し暑さもあって超ヘロヘロになりましたが (^^;)、いや~これほど昔気質な釣掛式電車を満喫したのは久しぶりです♪ 公式HPによりますと、参加者は何と延べ1000人とのことですが (@o@)、運営自体は良く練られてスムーズで、気持ちの良いイベントだったと思います。ご尽力下さった関係者の皆様に、一参加者としてこの場ながら心よりお礼申し上げます m(_ _)m
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さてさて、今回スポットライトが当てられた十和田の旧型電車&ELのうち、個人的に超!楽しみにしていたのは、もと東急デハ3655を両運転台化したモハ3603が動く!ということ (*^O^*)。
東急3650形は、戦時合併によって大東急が誕生してから最初にクハとして新造され、のちに電装化された戦時型車両ですが (相棒のデハ3550形として構想された車両は結局井の頭線に投入され1700形に)、製造された昭和17年はまだまだ資材面で余裕があった (?) ためか基本的なつくりはしっかりとしたものがあり、それ故に張り上げ屋根化(俗にいう海坊主化)や腰ライト化・室内アコモ大幅改良などをうけて昭和60年代までしっかりと池上線の主力の一端を担ってきたという歴史があります。しかし、名車の誉れ高くタマ数も多い3450形や3500形と比べれば、数の少なさゆえ圧倒的に地味な存在であることは否めなかったような (汗)。とはいえ……時代はさらに流れて、恩田のヌシであったデワ3043 (もとデハ3498) も解体されてしまった今となっては、モハ3603は現役で稼働できる最後の東急3000系列車両となっています。しかし、4年前に七百車庫を訪れた際には、3603はボロボロに塗装が剥げ落ち、車内も物置的な雰囲気となっており……いくら動態保存車とはいえ地方の小私鉄が老朽化著しい戦時製車両を維持するのは難しいことなのだろうかと痛感し、それまで来なかったことを激しく後悔したのでした。
ところがどっこい!今回のイベントに合わせて3603が化粧直しを受けているシーンを公式HPで眼にしまして、もういてもたってもいられない気分に……♪♪ そして、本当に動いているシーンを乗って撮って楽しんで、もう心の底から感激したことは言うまでもありません……!! 車内の雰囲気は80年代の目蒲・池上線そのままでしたし、走行音もひときわデカい!! かつては3450形が来ると喜び、3500形や3650形が来ると「ちぇっ、海坊主かよ」と思ったものでしたが、そんな不明を心の底から恥じつつ (^^;)、「最後の東急3000系列」となった3603が放つあらゆる魅力に心酔したのでした……。
もっとも、懸念材料もないわけではありません。まず何と言っても……車体の満身創痍ぶりは既に言語に絶するレベルに達しており、もし今後も保存するとすれば単に塗り直すだけでは済まないでしょう。そして何よりも……十鉄自体の経営状態が心配されるところです。やはり、この電車の少しでも永い保存を願うならば、個人でフォトランをお願いして浄財を供出する必要があるのかも知れません。