地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

十和田の熱過ぎる夏 (1) 元東急モハ3603!

2011-07-20 11:31:00 | 地方民鉄 (東北)


 東北地方の民鉄は周知の通り、少子化などによる長期的な乗客凋落傾向に加えて今年の大震災が重なって何処も大変な苦境にあるといわれており、支援の輪はたとえば相鉄がこの夏休みに合わせて「相鉄&東北ローカル線 スタンプラリー2011」を開催するなど様々なかたちで展開されつつありますが、やはり鉄道ファンのはしくれとして出来る最も基本的な支援は、直接乗りに行くことを擱いて他にないでしょう。そこで、何とか東北遠征の機会をうかがっていたところ……何と!海の日連休に合わせて十和田観光電鉄で旧型車両が走り回るというではありませんか! 個人的にこれまで十和田のイベントはなかなか予定が合わず、さりとて三沢~七百間でのフォトラン (1往復1万円とか) を自分で挙行するほどの決心もつかず (^^;)、結局十和田の旧型車が走るシーンをナマで楽しむ機会は皆無……(滝汗)。しかし今回は予定が目出度く合ったことから、京都出張から帰って来た土曜日の夜には夜行高速バス「シリウス号」の客となり (国際興業と十和田観光電鉄の共同運行ということで、往路も運賃収入に貢献!)、一路北へと向かったのでした。
 そして沿線には……琴電イベントに匹敵するほどの人人人!! 七百での撮影会やその後の貨物列車運行などは、「ここが大都会から遥か遠く離れた場所とは思えない!」というほどのパニックぶりで (JR東日本パスの利用可能期間と重なったことも大きいでしょう @_@)、折からの蒸し暑さもあって超ヘロヘロになりましたが (^^;)、いや~これほど昔気質な釣掛式電車を満喫したのは久しぶりです♪ 公式HPによりますと、参加者は何と延べ1000人とのことですが (@o@)、運営自体は良く練られてスムーズで、気持ちの良いイベントだったと思います。ご尽力下さった関係者の皆様に、一参加者としてこの場ながら心よりお礼申し上げます m(_ _)m



 さてさて、今回スポットライトが当てられた十和田の旧型電車&ELのうち、個人的に超!楽しみにしていたのは、もと東急デハ3655を両運転台化したモハ3603が動く!ということ (*^O^*)。
 東急3650形は、戦時合併によって大東急が誕生してから最初にクハとして新造され、のちに電装化された戦時型車両ですが (相棒のデハ3550形として構想された車両は結局井の頭線に投入され1700形に)、製造された昭和17年はまだまだ資材面で余裕があった (?) ためか基本的なつくりはしっかりとしたものがあり、それ故に張り上げ屋根化(俗にいう海坊主化)や腰ライト化・室内アコモ大幅改良などをうけて昭和60年代までしっかりと池上線の主力の一端を担ってきたという歴史があります。しかし、名車の誉れ高くタマ数も多い3450形や3500形と比べれば、数の少なさゆえ圧倒的に地味な存在であることは否めなかったような (汗)。とはいえ……時代はさらに流れて、恩田のヌシであったデワ3043 (もとデハ3498) も解体されてしまった今となっては、モハ3603は現役で稼働できる最後の東急3000系列車両となっています。しかし、4年前に七百車庫を訪れた際には、3603はボロボロに塗装が剥げ落ち、車内も物置的な雰囲気となっており……いくら動態保存車とはいえ地方の小私鉄が老朽化著しい戦時製車両を維持するのは難しいことなのだろうかと痛感し、それまで来なかったことを激しく後悔したのでした。
 ところがどっこい!今回のイベントに合わせて3603が化粧直しを受けているシーンを公式HPで眼にしまして、もういてもたってもいられない気分に……♪♪ そして、本当に動いているシーンを乗って撮って楽しんで、もう心の底から感激したことは言うまでもありません……!! 車内の雰囲気は80年代の目蒲・池上線そのままでしたし、走行音もひときわデカい!! かつては3450形が来ると喜び、3500形や3650形が来ると「ちぇっ、海坊主かよ」と思ったものでしたが、そんな不明を心の底から恥じつつ (^^;)、「最後の東急3000系列」となった3603が放つあらゆる魅力に心酔したのでした……。
 もっとも、懸念材料もないわけではありません。まず何と言っても……車体の満身創痍ぶりは既に言語に絶するレベルに達しており、もし今後も保存するとすれば単に塗り直すだけでは済まないでしょう。そして何よりも……十鉄自体の経営状態が心配されるところです。やはり、この電車の少しでも永い保存を願うならば、個人でフォトランをお願いして浄財を供出する必要があるのかも知れません。

ことでん開業100周年 (5) 仏生山の旧型電車

2011-07-13 00:00:00 | 地方民鉄 (琴電)


 半鋼製車つながりでもう一発……約2ヶ月前の琴電訪問の続きです (^^;)。
 周知の通り琴電では、貴重な産業遺産として4両の半鋼製釣掛式電車を動態保存しており、最近は毎月下旬の日曜日を選んで高松築港と琴電琴平を1往復する保存運転が定着しているほか、「電車まつり」等の特別企画で長尾線を含め一日数往復することもあります。しかし思い出してもみれば……なかなかそのような特別運転日と自分の予定が合わず、旧型が走るシーンを楽しんだのは27+28が引退した2007年の夏以来御無沙汰……(滝汗)。300号が茶色1色になったのも、500号や23号が茶色ツートンになったのも全く撮っていない……という、余りにも遺憾過ぎて自己嫌悪にすら陥りそうな状況でありました (@_@)。そこで今回は、平日の訪問につき旧型車が動かないのは百も承知ながら、旧型車が昼寝 (いや、終日ごろ寝?) しているシーンでも良いので是非眺めて見たいものだと思いまして仏生山へGo!



 仏生山を訪れる度に思うのは「地方私鉄としては車庫が相当大規模でスゲー!」ということでしょうか。とくに、朝夕のラッシュアワーに出動するべく相当数の元京急・京王車が控えており (しかも一部は4連を組んだ状態)、本線の両側に建屋や側線が広がっていることから、これはもう下手な (?) 大手私鉄の車庫に匹敵する規模なのではないか……とすら思えます。そんな仏生山と他の車庫の最大の違いは、庫内車としてデカが右往左往し (*^^*)、大正ロマンのかほり漂う半鋼製車がそこかしこに鎮座していることでしょう (^O^)。
 しかし問題は……旧型車が留置されている側線が駅から結構遠いこと (汗)。駅前広場のすぐ東側にある「駅前側線」(?) に23号がデンと置かれ、そのまま駅前モニュメント代用となっている (?) というユーモラスな光景は相変わらずですが、駅の北・本線脇の側線は、駅の西側にある細い道をたどって大通りに出て、さらに地元民のみぞ知る細い道へと分け入って行かなければたどり着けません。もっとも、無事踏切に到着できれば、それはもう旧型車を独り占めして撮り放題できる最高のひととき……v(^O^)v というわけで、パンタこそ下がっていますが、とりあえず500号と23号のツートン姿を初めて眼にすることができ満足です♪ 構内西側の側線に置かれていた茶色一色の300号は、残念ながら広告ラッピングの1200形に覆い隠されて全く撮りようがありませんでしたが……。
 それにしても印象に残るのは、23号にせよ500+120号にせよ、如何にも無防備な位置に留置されているなぁ……ということ。もしこれが首都圏であれば、何時○ンキーの落書きの餌食になるか……とヒヤヒヤものですが、それが全くないのは讃岐という土地柄の穏和さによるのでしょうか?

※お知らせ……出張撮り鉄やフツーの撮り鉄遠征を含む多忙のため、とりあえず1週間ほど更新を休止いたします。次回更新は早ければ20日以降となります。

銚子電鉄デハ801・外川に眠る

2011-07-12 00:00:00 | 地方民鉄 (銚子)


 紫陽花の季節の旧型電車つながりで……そういえば、先月甥っ子と銚子電鉄を訪れた際に撮影したデハ801の画像をアップしそびれていました (そういえば2000系の画像もアップしていませんなぁ~^^;)。
 周知の通り、銚子電鉄は奇跡的に (?) 資金を確保して昨年秋に車両置換を実施し、半鋼製釣掛式電車が引退に追い込まれましたが、このうち701と702は解体を前提として (?) 笠上黒生の側線に留置され、最も人気が高いデハ801は保存を視野に入れているためか (?) 外川駅側線の撮りやすい位置に留置されています。
 というわけで、今回銚子電鉄を訪れた最大の目的のひとつは、今のところ解体を免れ、かつ離脱後それほど時間が経たず「まぁまぁキレイな」状態を保っている旧型車を記録することでしたが、そんなタイミングに合わせてくれているかのようにホームの脇には瑞々しい色の紫陽花が♪ 駅外側の駐車場に回り込み、一切の表示を外したデハ801の魅惑の表情と紫陽花を組み合わせるという、何ともほのぼのと贅沢なシーンを満喫したのでした……(*^O^*)。



 いっぽう外川方・貫通側につきましては、どう頑張ってもバックの木製電柱がビミョ~な位置に写り込んでしまいますので、巨大ヘッドライトでなるべく電柱を隠す要領で撮影~。まぁ、これほど撮りやすい位置に、あたかも現役さながらの状態の良さ (?) で置いてありますので、贅沢は禁物というものでしょう (^^;)。
 そんなデハ801の今後ですが……潮風が余りにも強烈に叩きつける外川駅にずっと放置されたままですと、今や笠上黒生の一番奥に押し込まれてしまったユ101 (遊覧車・澪つくし号) と同様に劣化が急速に進んでしまいそうですので、もし本当に保存が実現するのであれば、やはり仲ノ町あたりに移して頂ければ……と思うのですが、そう思うのは私だけでしょうか。そして塗装は……濡れ煎ブームも追い風となった晩年の大注目ですっかり定着した醤油色、銚子入線時のラズベリー+ベージュツートン、そして伊予鉄時代のクリーム+オレンジなど、まさによりどりみどり……(^_^)。もっとも、同じ醤油色でもゴリラーマンHM+金色縁取り帯につきましては、銚電黒歴史を代表する装いにつき無しでしょうね (爆)。




35mmフィルム換算24mmでギリギリ撮影 (汗)。
超広角ズームがあると記録しやすいでしょう……。

箱根登山旧型車・紫陽花の頃2011

2011-07-11 00:00:00 | 地方民鉄 (東海道)


 大震災から今日で4ヶ月。節電の夏に直面した首都圏民を試すかのような酷暑が続き、復興の旗を最前線で振らなければならない政治がこの体たらくということで、正真正銘の国難がまだまだ続くようですが、いろいろなところで沸き起こる自発的な努力の積み重ねを眼にするにつけ、非力でへっぽこな私も何とか頑張って消費に貢献できるところは貢献し、日本経済を下支えしなければいかんなぁ……と思う今日この頃です (以上に関するコメントはご遠慮下さい)。
 震災の影響は周知の通り被災地にとどまらず他の様々なところにも現れ、たとえば小田急グループの金城湯池ともいえる箱根観光は、震災直後の諸々の原因、そしてロマンスカーの全面運休により一時大打撃。4月上旬に箱根湯本駅を訪れた際には、信じ難いほどの人影のなさに心の底から衝撃を受けたものです……。しかし、観光がこのまま沈んでは経済も丸ごと沈んで復興は元も子もないのも事実です。そこで小田急はロマンスカーの運行再開以来、小田急グループ特製の「がんばろう日本」ステッカーをロマンスカーと箱根登山電車に掲出し、今年とりわけ求められる癒しと避暑のために箱根は絶好の選択であることをアピールしています。
 そんな箱根の梅雨時名物といえば「あじさい電車」ですが、今年は節電のため夜間の紫陽花ライトアップは中止。それでも、電車の平均15分間隔運転は無事復活し、咲き乱れる紫陽花と「がんばろう日本」ステッカーの組み合わせは、普段の年とは異なる特別な情景を醸し出しています……。



 とくに、戦後間もない昭和20年代に車体がつくられた半鋼製車であるモハ1・2形に「がんばろう日本」ステッカーが貼り出されたことは、戦後の長い歴史を見届けてきたオールドタイマーが今や時代の大きな分かれ目を超えて新たな時代 (それが果たして明るいものになるのか、もっと暗いものになるのか……) へと踏み出したことを意味するものでしょう。というわけで、幼い頃から箱根登山に親しんでいる私からみまして、ステッカーを貼った2011年バージョンの旧型車と紫陽花の組み合わせは是非歴史のひとこまとして記録しておきたいと思いまして、先日ちょこっと沿線で撮り鉄して参りました。
 今年の梅雨入りと連動して平地での紫陽花の咲き出しは早く、しかも6月末以来の少雨高温気味な天候ゆえに、「ひょっとすると標高300m以上の世界も早々に紫陽花は枯れ気味になっているかしらん……来るのが遅過ぎたかも知れんなぁ」とヒヤヒヤしながら箱根湯本に向かったのですが、そこのところはさすが箱根! 登山電車に乗って塔ノ沢から上に行きますと、先週の時点でもまだまだ紫陽花は見頃でした♪ そして旧型車も、目出度く6運用中2運用に入っておりまして、撮影効率としてはまずまず♪♪ もっとも、唯一の釣掛となったサンナナ編成 (103+107) は運用に入っておらず、入生田でも見かけなかったことから、多分彫刻の森留置……。金太郎108号も箱根湯本の留置線で昼寝していました (苦笑)。サンナナ、行くと走っていないんだよなぁ……(滝汗 -_-;)。まぁ、今やこんな感じで半鋼製の鉄道車両が当たり前のようにやって来ること自体最高に貴重なことですし、モハ1・2形の両方を撮影でき、しかも登山時にモハ2形、下山時にはヨンロクに乗りましたので満足です (*^^*)。
 ちなみに、こんな感じで決め決めなカットを撮影出来ましたのでまぁ良いのですが、とにかく沿線は紫陽花+電車狙いの中高年男女カメヲタ多数……(汗)。一部の踏切には、無茶苦茶な立ち位置での撮影で運転に支障が生じないよう、警備員が立っているという有様……。お気に入りの踏切からのアングルも偶然空いていたという状態で、あと数分来るのが遅れていれば三脚を持った別の中高年に場所を取られるところでした (@o@;)。沿線がそんな感じですので、駅と車内は超!大盛況……。箱根湯本に到着するロマンスカーは平日でも満席で、箱根登山に座りたい客が次発・次々発の列車を待って長蛇の列を作っているという有様でした (爆)。しかし、これで箱根も一時の苦境を脱したかな?ということで、どこか内心ホッとしたのも確かです。それに、C国大陸・K国からの観光客がほとんどいないため (極めて過激な「日本全体=危険」偏見報道ゆえすっかり来なくなった由 ^o^)、賑わいの中にもどこか落ち着きがあり、久しぶりに見た「古き良き観光地の賑わい」という風情でありました。地元・相州人のはしくれとして、今年の箱根訪問はそういう意味でチャンスなのでは?と愚考する次第です。

蒼きクライマー・富士急1000系 (下) 青旧塗装

2011-07-10 00:00:00 | 地方民鉄 (甲信)


 今年の梅雨入りは異様に早かったものですが、梅雨明けもそれに連動して早かったですね~。昨日はスーツ姿で都心上空の怒濤のような青空を眺めながら、「マジかよ……こんなの梅雨じゃねぇ」と呪わしい気分でしたが、やはり梅雨明けだったようで (笑)。一昨日の夕方、雲の切れ間に広がる淡い色の夕焼けと、そのド真ん中にくっきりと屹立する富士山の姿に「嗚呼……日本の夏の夕暮れが近づいて来たなぁ。震災の後もこうして美しく季節が移り変わるとは不思議なものだ」とつぶやいたものですが、これはまさに梅雨明けを告げる合図だったのかも知れません。
 というわけで、鉄な話題は全くなく時候の挨拶めいた内容ばかりになってしまいましたが (^^;)、こうして富士山が遠くからもくっきりと見通せるようになれば夏山シーズンも本番。富士登山ルートの一翼を担っている富士急も、梅雨明け10日の好条件を狙って押し寄せる登山客で賑わうことになるのでしょうか?



 そんな季節の移ろいの早さに、2ヶ月前に富士急で撮影したカットをアップしそびれている私の脳味噌は冷や汗タラタラ。このときは新緑の中1000系を激写しまくりお気に入りのカットを量産したものの、多忙でレタッチするヒマが……(汗)。そこで取り急ぎ青旧塗装をまとった1202Fの画像をレタッチしてみました。
 もと小田急2200系列改め5700系までの歴代車両や5000系が長年まとっていた青系旧塗装は、如何にも富士山麓らしい色彩にあふれ、個人的には非常に好きだったのですが、周知の通り1000系導入や5000系のトーマス化 (鬱) によりしばしお蔵入り……。2009年に開業80周年を記念して復活したこの塗装をネットで眼にした瞬間、余りの麗姿ぶりに思わず惚れ惚れしたことは言うまでもありません (笑)。しかし悲しいかな……この編成の動員が予告されたイベントと個人的な予定が合うことはなく、ふらりと訪ねても入庫しておりフラれる可能性も高く、結局弱気になった私はこれまで撮りそびれていたのでした (滝汗)。
 とはいえ、そんなことでは何時まで経っても撮影出来ないわけで、「もう旧塗装が来るかどうかは関係ない。とにかく『1000系と新緑』というテーマとして、『旧塗装は来ればラッキー』程度に思えば良い……」と開き直って訪れたのでした。ところが、世の中往々にして、期待しなければこそサプライズな事態が起こり、余りのラッキーぶりに腰を抜かすというもの (笑)。何と……平日限定の東桂行もからむ運用に1202Fが入ってくれたではありませんか!!\(^O^)/ ぬをを~旧塗装と東桂行!こういうツウな組み合わせを撮りたかったんですよぉ~~(笑)。
 こんな感じで、他に誰も撮り鉄などいない中、最高の新緑とともに青旧塗装を撮影出来て大満足でしたが、一度に運を使い果たしたためでしょうか、茶ツートン旧塗装の1001Fはこの日全く来ず、マッターホルン塗装の1201Fも朝方後追いで1カット撮ったのみで入庫……。やはり何度も通う必要があるということで (^^;)。