今回のジャカルタ訪問は、個人的な仕事の都合上、昨年に引き続きラマダーン (断食月) 中に敢行せざるを得ず、しかもこの8月のジャカルタは過去3回の訪問時と比べてひときわ暑かったことから (雨が一滴も降りませんでした)、炎天下での撮影中に人前で水分補給出来ない辛さは格段のものがありました……。勿論、高級なデパートなど外国人が多いところに逃げ込めば、そこは断食とは一切無縁の別世界で、真っ昼間から美食を楽しむ人々が群れているのですが、それはそれ。撮り鉄するならば異教徒であっても表向き断食には従わなければならないのです (汗)。
しかしラマダーンは、非ムスリム撮り鉄にとって辛い話ばかりでもありません。断食明け (レバラン、またはアラビア語でイード・アル・フィトル) は自ずと盆と正月が一度にやって来たような嬉しい節目であることから、多くの人が故郷へと帰省し、その凄まじい人波をさばくために多くの臨時列車が運行されます。それらの臨時列車は基本的に客車列車ですが、今年のレバラン輸送には注目の路線・車両が参入しました! 何と……2008年の末に、長らくの自然災害による運休から復活したボゴール~スカブミ間 (以下スカブミ線と略称。本来は西廻りでジャカルタ~バンドゥン間を結ぶ路線の一部。勿論、ジャカルタ~ボゴール間は日本製冷房車が闊歩する大幹線ですが、スカブミ~チアンジュール間が未だ運休となっています) において、断食明けを挟んで前後約10日間、日中に臨時列車が1往復することに!!
このスカブミ線は単にボゴールから南の極めて風光明媚な山岳・田園地帯を走るのみならず、1980年前後に日本から経済援助で輸出されたDC (まさにキハ40系列のインドネシア版という雰囲気!) が走り、しかもこのDCは毎週2~3回タナ・アバン機関区での検査のためラッシュアワーのジャカルタに堂々と顔を出すことから、かねてからジャカルタを訪れる日本人鉄の間でも静かな注目を集めていました。しかし如何せん、運行時間が悪すぎ……毎日夕方5時にボゴール発、翌朝5時にスカブミ発 (所要各2時間) という、ジャカルタ滞在者にとっては乗るのも撮るのも非常にハードルが高い存在でした。しかし、そんなスカブミ線のDC「ブミグリス」(「麗しの大地」の意) が、ボゴール発10時、スカブミ発13時という最高に乗り鉄しやすい時間に運行されるとしたら、これはもう乗りに行くしかありません! しかも運行期間がレバラン前後約10日と比較的長く、今回の滞在期間中の平日であれば、レバラン当日から1週間以上離れていることから、多分かなり空いているのではなかろうか……という期待も大いに抱けます♪
そこで撮り鉄2日目となる9日、朝ラッシュのマンガライ駅での撮影ののち、東急8608Fのサウンドを満喫しながら一路ボゴールへ! 一旦改札外に出てスカブミまで8000ルピアの切符を購入し、再び構内で撮り鉄することしばし……。いよいよ9時40分頃「ブミグリス」が電車区から出庫して来まして、案の定スカスカな車内で眺めの良いシートをゲット! そして10時、運転を知って乗った僅かばかりの地元客 (まだ帰省客という風情ではない) と、数人のインドネシア人鉄ヲタ、そして私を乗せて (平均1両あたり10人程度?)、「ブミグリス」は魅惑のローカル線の旅へと踏み出して行ったのでした……。ジャワの田舎旅の魅力が凝縮された道程の素晴らしさは語り尽くしようがないのですが、とりあえず↓の画像でお楽しみ下さい♪
ボックスシート車に2等用転クロを装備したため、窓と椅子は不一致。
ボゴール発車! 昼間にここから列車に乗って南へ向かう機会がついに♪
ボゴール近郊の最初の停車駅・バトゥトゥリスにて。山の街らしい雰囲気。
ドア上の路線図。昼間の増発列車は青印の停留所を通過します。
マセン駅。通常1日1往復であるのが実にもったいないほど小綺麗な空間。
チゴンボン駅周辺から眺めるサラク山の絶景! ジャワの田舎の旅は最高!
チチュルグ駅にて。沿線の子供たちは昼間走る列車にみんな超大はしゃぎ (笑)。
パルンクダ駅にて。駅ナカネットカフェ前で男女がデート。商標使用無許可? (^^;
チバダック駅にて。最後部車両は踏切上に停車し、バイクとのコラボも (汗)。
夢のような棚田の風景が続きます……。
スカブミ駅付近にて。街の踏切は市場になるのが宿命? (列車通過時に撤去)