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ミステリ感想-『人形幻戯』西澤保彦

2002年09月17日 | ミステリ感想
~収録作品~
不測の死体
墜落する思慕
おもいでの行方
彼女が輪廻を止める理由
人形幻戯
怨の駆動体


~感想~
『不測の死体』
伏線・逆転ともにうまい。珍しく動機よりもトリックに傾いてくれた佳作。

『墜落する思慕』
伏線は見え見えだが、真相の逆転がうまい。動機は例によって…。

『おもいでの行方』
終局の逆転と描写が秀逸――なだけ。

『彼女が輪廻を止める理由』
これは完全に動機だけの一編。(ネタバレ→)主題とはいえ傘をひっぱりすぎ。

『人形幻戯』
(ネタバレ→)ただ一点。なぜ能力を同時に発現できたかの説明を「偶然」で片づけているのが片手落ち。

『怨の駆動体』
短く鋭い本書中の白眉。タイトルといい、なにか伏線が張られたのだろうか。


~総括~
キャラたちの日常がさして描かれず寂しい。しぜん、ストーリーに進展もなく物足りない。
トリックも動機がメインで、いつもの緻密さはない。
マンネリを避けたのだろうが、逆に西澤臭・西澤味が濃くなりすぎて空回りした感も。


02.9.17
評価:★★☆ 5
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