小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『匣の中』乾くるみ

2002年09月21日 | ミステリ感想
~あらすじ~
探偵小説愛好家グループの中心人物・伍黄零無が奇妙な言葉を残して密室から消えた。
メンバーの仁行寺馬美が書く小説通りに、仲間たちも次々と密室で殺される。
死者を愚弄するような装飾と暗号。めくるめく推理また推理。
すべてを裏切って全宇宙を揺るがす真相とは。


~感想~
竹本健治著『匣の中の失楽』に捧げられたオマージュ作品。
メタでありメタでない。アンチでありアンチでない。オマージュでありオマージュでない。
そもそもミステリでありミステリでない……なんだこれは。
おぼろにたゆとう異形のモノ。あの『匣の中の失楽』さえもある面では上回るだろう。
読了後、めまいを覚えるようなこの幻惑感。幻と現の間に浮かぶ光景を、幻視者は静かにすくい上げた。


02.9.21
評価:★★★★ 8
コメント