~あらすじ~
ある晴れた日。人気作家チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。
自殺志願のファンによる、小説を模倣した大量殺人。
事件を境に筆を折ったチヨダ・コーキだったが、ある新聞記事をきっかけに見事復活を遂げる。
闇の底にいた彼を救ったもの、それは『コーキの天使』と名付けられた少女からの128通にも及ぶ手紙だった。
事件から10年――。売れっ子脚本家・赤羽環と、その友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせたコーキ。
しかし『スロウハイツ』の日々は、謎めいた少女の出現により、思わぬ方向へゆっくりと変化を始める……。
~感想~
めんどくせー人間ばっかりだ。だがそれがいい。
正直言って特に興味の湧かない、ものすごくどうでもいい話なのだが、それを飽きさせずに上・下巻読ませる腕が素晴らしい。
登場人物たちはそれぞれに厄介なトラウマや過去を抱え、うじうじしたり衝突したり和解したり恋したり別れたりと忙しい。僕はドラマを全く見ないが、非常にドラマ向きの物語であるように思える。
しかしただの青春小説に終わらないのが氏のうまさ。そつなくさりげなく張られた伏線が最終章でまとめて回収され、真相が明かされるたびに「言ってた! 言ってた!」と久々に興奮した。
余分に思えるエピローグが存在する理由にも、事前に伏線を張ってある周到ぶり。恐れ入った。
年初にして早くも年間ベスト級の傑作。創作に取り組む方にはぜひ読んで欲しい。
思い入れ込みで10点満点。ちょっと泣いたし。
上巻 07.1.20
下巻 07.1.22
評価:★★★★★ 10
ある晴れた日。人気作家チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。
自殺志願のファンによる、小説を模倣した大量殺人。
事件を境に筆を折ったチヨダ・コーキだったが、ある新聞記事をきっかけに見事復活を遂げる。
闇の底にいた彼を救ったもの、それは『コーキの天使』と名付けられた少女からの128通にも及ぶ手紙だった。
事件から10年――。売れっ子脚本家・赤羽環と、その友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせたコーキ。
しかし『スロウハイツ』の日々は、謎めいた少女の出現により、思わぬ方向へゆっくりと変化を始める……。
~感想~
めんどくせー人間ばっかりだ。だがそれがいい。
正直言って特に興味の湧かない、ものすごくどうでもいい話なのだが、それを飽きさせずに上・下巻読ませる腕が素晴らしい。
登場人物たちはそれぞれに厄介なトラウマや過去を抱え、うじうじしたり衝突したり和解したり恋したり別れたりと忙しい。僕はドラマを全く見ないが、非常にドラマ向きの物語であるように思える。
しかしただの青春小説に終わらないのが氏のうまさ。そつなくさりげなく張られた伏線が最終章でまとめて回収され、真相が明かされるたびに「言ってた! 言ってた!」と久々に興奮した。
余分に思えるエピローグが存在する理由にも、事前に伏線を張ってある周到ぶり。恐れ入った。
年初にして早くも年間ベスト級の傑作。創作に取り組む方にはぜひ読んで欲しい。
思い入れ込みで10点満点。ちょっと泣いたし。
上巻 07.1.20
下巻 07.1.22
評価:★★★★★ 10