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ミステリ感想-『名探偵は千秋楽に謎を解く』戸松淳矩

2007年06月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
弱小相撲部屋に打ち込まれた大砲、牛乳に混入された石見銀山、将軍家拝領の弓に付く鮮血。
下町で次々と起こる奇怪な事件。しかもこの事件が、町内に住む老作家の連載小説の中で描かれていた。
高校生の俺たちが幕下力士の北ノ波とともに解決に乗り出した矢先、親方の一人娘が誘拐された。
犯人の要求は800万……を使い切ること!?


~感想~
古きよき下町情緒にあふれた……というかマンガっぽい下町情緒にあふれたコメディータッチのミステリ。
軽快な筆致ですいすい読めるが、事件は謎が謎を呼びつづけラスト20ページほどになってもまだ手つかずのまま取り残され、最後の最後に全てが砕け散る。明かされてみれば当然の真相をユーモアと展開の巧さで覆い隠す手腕は、とても30年近く前の作品だとは思わせない。
再刊行も納得の佳作。これはお手軽でおすすめ。


07.5.31
評価:★★★ 6
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