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ミステリ感想-『OUT』桐野夏生

2009年04月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
深夜の弁当工場で働く主婦たちは、なぜパート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?


~感想~
簡単に言うと
↓超ネタバレ↓
動機のないままバラバラ殺人に加担した主婦が、動機のない殺人鬼に動機もなく調教され、動機のないまま自分探しの旅に出る。
という「……だから?」としか感想を言えない物語なのだが、主題となっているはずのそれを除いた部分は、一級の読み物になっているという不思議な小説である。
そういえば事件に関わるありとあらゆることが一つも決着しておらず、投げっぱなしもいいところなのだが、物語としてはきちんと「OUT」というタイトルに収斂して結末を迎えるので、納得がいってしまうのだ。
この雰囲気だけでゴリ押しして、雰囲気だけで腑に落ちさせる手腕はただごとではない。このミス1位・文春2位を獲得したのはなにかの間違いであろう、すこしもミステリじゃない純文学だが、普通に面白い小説である。


上巻 09.3.27
下巻 09.4.2
評価:★★☆ 5
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