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ミステリ感想-『幽霊列車』赤川次郎

2015年07月03日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
始発駅から乗り込んだ8人の乗客が次の駅で忽然と姿を消した……幽霊列車
大企業の娘が誘拐されたとの手紙が届くが、それは家の中から投じられていた……裏切られた誘拐
真夏のホテルのバルコニーで、ゆすり屋の男は凍死していた……凍りついた太陽
転落死した男は晴天だというのに長靴を履きレインコートを着ていた。第二、第三の被害者もまた晴れの日にレインコートをまとっていて……ところにより、雨
度を越して親切な村人ばかりの通称・善人村。善意の裏には何かが隠されているのか?……善人村の村祭

やもめの四十路警部と自称探偵の女子大生が巻き込まれた数々の不可解な事件に挑む。

78年文春8位、東西ベスト(85年版)85位、本格ベスト65位


~感想~
説明不要の国民的作家のデビュー作にして、23作(!)にわたり現在もなお続く名物シリーズ第一弾。
あらすじを見てもらえばわかる通り、これぞ奇想と言いたくなるような実に魅力的な謎が目白押し。
真相・解決も一捻り加えられて、謎に負けず劣らずの鋭さで、ただの量産作家ではない作者の力量がかいま見られる。というかこれだけの粒揃いの短編集はなかなか無い。
主役のバカップルが会って数日であっさりねんごろになり、毎回のようにベッドインする展開は正直言って古いが、赤川次郎という名前だけで敬遠するのは厳禁な「珠玉の」と言って差し支えない作品群である。


15.6.22
評価:★★★★ 8
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