小金沢ライブラリー

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1.「金田一少年の事件簿は好きだよ」層へのミステリガイド-4

2016年03月24日 | 初心者ミステリガイド
STEP 4 麻耶雄嵩を読もう

綾辻行人、島田荘司、新本格派と来たら、次は満を持してこの人を推すしかない。麻耶雄嵩だ。

寡作で年に1冊出ればいいほうだが、新作を出すたびに本格ミステリに新たな地平を切り拓いているといって過言ではなく、舞台や設定はわりと直球なのに、終わってみればとんでもない変化球という、魔球のような作品の数々で熱狂的なファンを多く抱えている。

翼ある闇
夏と冬の奏鳴曲

あいにくの雨で
木製の王子

の「メルカトル鮎シリーズ」は本格ファン必読。ただし必ずデビュー作の「翼ある闇」を最初に読んでいただきたい。



短編の名手でもあり「メルカトルと美袋のための殺人」や、スピンオフの「名探偵木更津悠也」も切れ味鋭い傑作揃い。
ただ最新作の「メルカトルかく語りき」はとんでもない趣向を凝らした異色短編集なので取り扱いに注意が必要かも。

その他、ノンシリーズ単発長編の「鴉」や「螢」、「隻眼の少女」も各種ランキングを賑わせており、使用人が推理し貴族が解決する「貴族探偵シリーズ」は強化版「謎解きはディナーのあとで」といった趣。
絶対に間違わない神様が探偵役を務め、一行目からズバリ犯人の名前を明らかにしてしまうのにミステリとして成立する「さよなら神様」など、コア過ぎて初心者向けではないと思われるかもしれないが、彼を読んだのを機にミステリにハマった人も多いと聞く。
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