~あらすじ~
隣の家に住む千歳お姉ちゃんは美人で優しくてそのうえ名探偵。
小学生の時の幽霊団地の消失、中学の時の拾った怪しいスマホ、高校の密室事件。そして大学の……。
憧れ恋心を抱く女性が名探偵だった時に、僕が彼女にできることは何があるだろうか?
~感想~
本ミス大賞候補に上がった「彼女の色に届くまで」と同じく、前半は伊神さん(市立)シリーズの一編でも別に構わないような内容が続くが、シリーズではできない大幅な時間の経過を活かした物語の構成が光る。
だが「彼女の色に届くまで」と比べればミステリとしての出来は格段に下がった。
個々の短編を取り出せば悪くないのだが肝心の最後の事件が、話の展開自体は面白いものの、ただ状況に沿うためだけに考えられたような味気ないトリックで最もつまらなく、巨悪に対抗する策謀もそれでいいんだと拍子抜けするほど捻りのない安直な代物でがっかり。
主人公の成長を描いた甘くほろ苦い青春譚としては読ませるが、もう少しミステリとしても頑張って欲しかったところである。
なおあとがきはいつも通り面白いのだが「ミステリをたくさん読んでいると大抵真相がわかるようになる」とこともなげに言っており「屋上へ行こうぜ…」と言いたくなった。
18.9.20
評価:★★☆ 5
隣の家に住む千歳お姉ちゃんは美人で優しくてそのうえ名探偵。
小学生の時の幽霊団地の消失、中学の時の拾った怪しいスマホ、高校の密室事件。そして大学の……。
憧れ恋心を抱く女性が名探偵だった時に、僕が彼女にできることは何があるだろうか?
~感想~
本ミス大賞候補に上がった「彼女の色に届くまで」と同じく、前半は伊神さん(市立)シリーズの一編でも別に構わないような内容が続くが、シリーズではできない大幅な時間の経過を活かした物語の構成が光る。
だが「彼女の色に届くまで」と比べればミステリとしての出来は格段に下がった。
個々の短編を取り出せば悪くないのだが肝心の最後の事件が、話の展開自体は面白いものの、ただ状況に沿うためだけに考えられたような味気ないトリックで最もつまらなく、巨悪に対抗する策謀もそれでいいんだと拍子抜けするほど捻りのない安直な代物でがっかり。
主人公の成長を描いた甘くほろ苦い青春譚としては読ませるが、もう少しミステリとしても頑張って欲しかったところである。
なおあとがきはいつも通り面白いのだが「ミステリをたくさん読んでいると大抵真相がわかるようになる」とこともなげに言っており「屋上へ行こうぜ…」と言いたくなった。
18.9.20
評価:★★☆ 5