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ミステリ感想-『今昔百鬼拾遺 鬼』京極夏彦

2019年12月10日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「絡新婦の理」の事件後、転校した呉美由紀はまたも友人を殺された。
友人は「自分の血筋の女は斬り殺される」と言っており、事件に不審さを感じた美由紀は京極堂を訪ねるが、不在のため中禅寺敦子を紹介される。


~感想~
十数年ぶりに百鬼夜行シリーズを読んで驚いたのだが、脳内イメージが完全に志水アキの漫画版に塗り替えられていて、しかも全く違和感なかった。やはりあれ以上完璧なコミカライズを自分は他に知らない。
シリーズ未読の方は、レンガ本と呼ばれる分厚い本編に手を出しづらければ、ぜひあの完璧な漫画版を読んでいただきたい。

…あ、本作の内容は普通。すげえ普通。
この限られた登場人物数で意外性を演出するのはほとんど無理ゲーで、真相は予想の範疇を出ない。しかし見どころは拝み屋の憑き物落としも、探偵の妖怪退治も不在で期待できない中、ある意外な人物がブチギレて全て丸く収めてしまうところ。そのキレ芸だけでも一見の価値があるだろう。
薄いながらに百鬼夜行シリーズの雰囲気が十分に楽しめるし、なにより作者にまだこのシリーズを書く意欲があったことが何よりの朗報で、ファンは必読である。


19.12.4
評価:★★★ 6
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