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ミステリ感想-『マリアビートル』伊坂幸太郎

2021年05月04日 | ミステリ感想
~あらすじ~
裏稼業の元締めの息子を、誘拐犯から奪回した蜜柑と檸檬。
その身代金の奪取を依頼された七尾。
息子に重傷を負わせた中学生への復讐を狙う木村。
東北新幹線に乗り合わせた殺し屋たちの意志と目的が交錯する。

2010年このミス6位、文春3位


~感想~
「グラスホッパー」の続編と銘打たれるが、どちらかというと後日談。だが前作を読んでいればより楽しめる趣向なので、できれば先に「グラスホッパー」に当たっていただきたい。

一癖も二癖もある殺し屋たちの立場や目的が次第に明らかになっていき、延々とトラブルが起こり続け、作者らしい伏線回収の手練手管が凝らされる。こんなの面白いに決まっている。
登場人物はいずれも漫画的に個性豊かだが、特に良い味出してるのが●●●で、その正体が明かされるとともに始まる逆転劇は痛快の一言。読者全員好きでしょあの●●●。
「伊坂幸太郎が描く殺し屋だらけの密室劇」から想像する全てが期待通りに詰まった快作であり、他に説明はいらないだろう。

余談だが途中であるキャラが「僕はただみんなに絶望して欲しいだけなんだ」とかモノクマみたいなことを言い出したため、大山のぶ代の声に変換されて困った。
あとネタバレ要注意だが「グラスホッパー」のwikiのあらすじが、中学生が夏休みの宿題で書いたのかと疑うくらい低クオリティで笑ったので、既読の方にはぜひ見てもらいたい。


21.4.24
評価:★★★★ 8
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