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非ミステリ感想-『ZOO』乙一

2015年01月03日 | ミステリ感想
  

~あらすじ~
姉だけが母から虐待される双子の姉妹。7つの部屋に監禁された姉弟。目覚めたら何者かに刺されていた無痛症の資産家。ハイジャックされ墜落寸前の機内で安楽死できる薬を売ろうとするセールスマン。
何なんだこれは! ジャンル分け不能の短編集。

03年このミス20位、文春8位、山本周五郎賞候補


~感想~
「何なんだこれは!」と「ジャンル分け不能」は単行本版の帯に書かれていたそうだが、この作品を一言で表すちょうどいい言葉を知っているから教えてあげよう。「世にも奇妙な物語」だ。
「世に奇も」は原作に著名作家の短編をよく用いているし、放送すれば欠かさず観ているから別にけなしているつもりはない。だが「世に奇も」にもままあるように口に合わない短編はあった。
ベストを挙げるならやはり収録作の中でもミステリに分類でき、映像化も難しそうな「Closet」だろう。やりすぎてファンタジーの範疇に入っている「カザリとヨーコ」や導入部は好みの「ZOO」、ホラーに分類できる「神の言葉」と文庫版で追加された掌編「むかし夕日の公園で」も良かった。
逆にワーストはどこにもオチが見当たらない(自分の感性ではこれにオチは見当たらない)「SEVEN ROOMS」と「落ちる飛行機の中で」になる。余談ながら某書評サイトで僕のワーストを揃ってベストに挙げられていてさすがに吹いた。
あと僕の知っている限り本当に「何なんだこれは!」と「ジャンル分け不能」が似合うのは森博嗣の短編だと思うよ。

おそらく「GOTH」が例外でこれが本来の乙一の作品なのだろう。それなのに「GOTH」が本格ミステリ大賞を射止めるなどミステリとしても高評価されたのを幸い、ミステリファンならぬ単なる乙一ファンが調子に乗って「GOTHが行けるならZOOも行けるはずや!」とこのミスその他で投票したがために各種ランキングに滑り込ませてしまったことは、大いに反省していただきたい。これをミステリ扱いされて一番困るのはきっと作者本人である。

ともあれミステリ、ホラー、SF、コメディとジャンルは多岐にわたるが(やっぱりジャンル分けできるじゃねえか)きわめて平易なおそろしいほど読みやすい文体で、何を書かせても一定水準を保っており、ファンならもちろんのこと、一般的な本読みならば普通に面白く読めることだろう。
僕のような頭の固いミステリ馬鹿の感想などガン無視してよし。


15.1.2
評価:★★☆ 5
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1月の新刊情報 ※2/4更新

2015年01月01日 | ミステリ界隈
5日 小学館文庫
東川篤哉 謎解きはディナーのあとで 3

5日 文春文庫
京極夏彦 定本 百鬼夜行 陰
京極夏彦 定本 百鬼夜行 陽
愛川晶 神楽坂謎ばなし

7日 講談社ノベルス
井上真偽 恋と禁忌の述語論理
※メフィスト賞

8日 光文社文庫
法月綸太郎 犯罪ホロスコープⅡ 三人の女神の問題
石持浅海 第一話
※刊行済み連作短編集の第一話だけを集めたとか。oh...crazy...

10日 東京創元社
鳥飼否宇 死と砂時計

15日 双葉文庫
天祢涼 葬式組曲

15日 講談社文庫
歌野晶午 密室殺人ゲーム・マニアックス
三津田信三 シェルター 終末の殺人
高田崇史 カンナ 京都の霊前
大沢在昌 やぶへび

17日 角川書店
柳広司 ラスト・ワルツ

20日 講談社
下村敦史 叛徒

23日 双葉社
貫井徳郎 我が心の底の光

29日 創元推理文庫
相沢沙呼 ロートケプシェン、こっちにおいで
芦辺拓 殺人喜劇の13人
※大幅改稿とはいえ1,080円!?

30日 角川書店
麻見和史 警視庁文書捜査官
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