東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

多国籍軍の分類

2008-10-19 16:44:47 | 安全保障

1029号==>諸君にまず知ってもらいたいのは多国籍軍には、関ヶ原型とシナ事変型があることである。

世界の大国家が二大陣営に分かれて世界(あるいは日本)の覇権を争うのが関ヶ原、天下分け目の大合戦である。関ヶ原である。第一次世界大戦である。第二次世界大戦である。戦国時代の末期に徳川側の東軍と石田光成、豊臣側の西軍とに全大名が二分して争うかたちである。

シナ事変型はテロ分子や不逞の輩を取り締まるためのものである。シナ事変は多国籍軍ではなかったが、その根っこはアフガニスタンやイランにアメリカが攻め込んだのと同じメカニズムであり、大義名分である。だから宣戦布告も行わない。一種の警察行動であり懲罰行為としての戦闘である。

だから日中戦争とは言わなかった。シナ事変である。

北清事変がこれに相当する。日本がイラン、イラクの多国籍軍に参加するのもシナ事変の多国籍バージョンである。

シベリア出兵はどうか。これは諸君に歴史を勉強してもらわなければならない。第一次世界大戦の末期にとられた作戦として始まったから関ヶ原型ともいえる。

しかし、世界大戦終了後も長期間日本がシベリアの奥深くに攻め込んで撤退しなかったという点からみるとこれはシナ事変型に変容している。

やんぬるかな(已んぬるかな)。戦闘の推移をみているとアメリカは日本がかって泥沼の長期戦(いまは15年戦争とか言うらしい)に引き込まれたようにアフガニスタン、イランの戦闘にはまって消耗性熱病が体力を奪っていくように衰弱しつつある。

あれだけ国力、軍事力が違ったのだ。どんなに長くても半年でかたをつける能力のない国は手を出すべきではない。北清事変はたしか二月あまりできれいに料理した。

したがって、日米同盟のよしみで助っ人するのはどんなに長くても半年を超えてはならない。半年も協力して助太刀をすればアリガトウと言われることがあっても、苦情を言われる筋合いはない。いくら同盟国といってもだ。7年も8年も付き合うのは沙汰の限りだ。シナ事変の苦い教訓を忘れたのか。北清事変の成功体験を忘れたのか。歴史を鑑として未来志向でいく、なんていいことを言うね。

アメリカ映画でリチャード・ウイドマークが主演したのかな、「北京の70日」という映画があった。もっとも、最後には日本軍が主力になったんだけどね。


多国籍軍の勝率

2008-10-19 07:28:51 | 安全保障

1028号==>日本の多国籍軍参加の勝率は以下のとおり。

1・1900年 北清事変 勝

2・1914-1918年 第一次世界大戦 勝

3・1918年ー1925年 シベリア出兵 負け(失敗)

4・2002年ー現在 アフガニスタン 延長戦 失敗といえる。主体をなすアメリカ軍が出来る精一杯のことは「どうにかメンツを保って撤退」することしかない。それも確率は低い。

5・2003年ー2008年 イラク 失敗 アフガニスタンと同じ、民主党のオバマでさえ、せいぜいいえることは「名誉ある撤退」だけである。かって日本軍が言っていた「転進」に他ならない。

なお、上記の勝ち負けは戦争としての勝敗だけではなく、外交の一手段としての軍事作戦の成功失敗(あるいは無意味)というほどの意味である。したがって、会戦上の勝敗のみを指すのではない。

シベリア出兵についても日本軍は負けたわけではない。現地で埒が明かなくなって「名誉を保って撤退」しただけだが、その後の政治的な意味合いからみると成功とはいえないということである。

次号以下詳述