東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

シリア、考えられる変数2

2013-08-29 09:03:11 | 国際・政治
長くなったから稿を改める。

アメリカはじめ主要国は化学兵器を保有していることを認めているが、シリアはどうだったかな。自身では認めていなかったと記憶する。持っていると云っただけで空爆されるからね。

で、アメリカの云うように持っていると仮定しよう。前回書いた通り化学兵器の生産は容易である。

今回欧米系メディアによって報道される犠牲者が意図的な攻撃の目標であったかどうかは議論されるべき別問題である。

これがシリア政府の保有する化学兵器であったとしよう。その場合、首都近郊で意図的に攻撃に使うことは考えられないと前回述べた。

とすると、保有中、あるいは輸送中の事故である可能性が一つ。もう一つは反体制派が化学兵器のあることを知らずに攻撃して化学兵器が流出した場合なら可能性としては考えられる。

アメリカ諜報機関が『傍受』したという『緊迫したシリア政府の無線交信』というのも、それなら理解可能だ。ぜひ傍受内容は全面的に公開してもらいたい。正直に全面的に公開するなら、意図的な攻撃で使われたか、事故などによる流出か、判断する材料がある筈である。アメリカはメークアップしたりはしょったりしないで全面的に公開してほしい。

アメリカはミサイルで攻撃するというが、当然その際にも破壊された兵器から毒ガスが流出する。それが及ぼす二次的被害はどうやって防ぐのだろうか。

ありもしない『証拠』でイラクを攻撃した前例もある。今回マスコミは密に事件をフォローする義務がある。まさか巡航ミサイルにまたがっていけ、とまでは云わないがね。






シリア、考えられる変数

2013-08-29 06:42:46 | 国際・政治
化学兵器は貧者の核兵器と云われる。ようするに誰でも作れる。日本でもオームが作り使用した。ノウハウは化学を学んだものには容易に手に入るらしい。そして原材料はありふれた物質である。ここが重要。核兵器は材料の入手、精製がとても素人には出来ない。

シリアでの化学兵器使用問題だが、素人でも分かる、はっきりさせなければならない問題が複数ある。

使用者: シリア政府か、反体制派か、第三国の謀略まで考えないといけない。

使用場所: シリアの首都の近郊というが、政府側が首都近くでこんなものを使用するだろうか、非常に奇異に感じる(下注)。

証拠:アメリカはシリア政府側の通信を傍受して「緊迫したやり取りから化学兵器の使用はほぼ間違いない」と断定したそうだ。こんなもので断定出来るとは素人には驚きだ。

通信傍受はアメリカ謀略機関お手の物である。例のCIA元職員の暴露したように。同様に通信傍受記録などいくらでももっともらしく、自作出来る。

そうだ、と云っているのではない。その辺を素人にも納得出来るようにしろ、と申しておる。安倍首相も材料も詳細な米国からのブリーフィング(そして日本政府によるその精査)もなしに出先の外国で軽々しくものを云うべきではない。

それより、アメリカは尖閣にそろそろ空母を出動させろ。横須賀に間借りさせてやっているのは何のためだ。

化学兵器の使用者には断固とした膺懲を加えることは当然必要だ。化学兵器とは比較にならない大量殺人兵器である原爆の使用者に膺懲を加えなくていいのかな。少なくとも、これから大人になる青少年には説明出来ない。教育上大問題である。

注:例えばアメリカが切羽詰まってワシントン近郊に化学兵器を撒くようなものだ。風向き次第ですぐにホワイトハウスにガスは到達する。使うならオハイオやアイオワのインデアン居留地のような首都からはるかに遠く、白人人口の過疎地に打ち込むだろう。

日本で云えば、蒲田や川崎で使用するようなものだ。すぐに風に乗って霞ヶ関を襲う。これをもってしても「首都近郊」というのは理解出来ない。

ニュースでも首都近郊と云って地名を特定しないのも不可解だ。これから調査するというのだろうが、被害者の映像はバンバン流れているのだから場所ぐらいいっても良さそうなものだ。首都からどちらの方角に何キロとかね。

まさか被害者の映像がでっちあげということはなかろうがね。

かって、イラクが化学兵器を使用したと云われるが、場所は首都から遠く離れた国境地帯で異民族であるクルド族が対象であったと記憶している。

つまり「首都近郊で使用された」というのは使用者特定の重要な鍵になるということだ。

被害者の映像に場所を特定出来る建物とかの映像がないのも気にかかる。かってイラク侵略の時に、アメリカは破壊された油田の油にまみれて動けなくなった鳥の映像を繰り返しながしたが、あれがでっち上げ映像だったことが、あとで分かった。そんなことも思い出してしまう。

とにかく、重要な問題だ。あやまりのない真実を特定するようにジャーナリスト諸君の努力を求めたい。