クリミアでロシアに厳しく対応しないと尖閣でチャイナに付け入るすきを与えるという議論がある。これはよく考えてみなければならない。考えることもないんだが。チャイナは自分の都合でどんな屁理屈でもわめきたてるから、あまりこういう心配をしてもしょうがないということもある。
また、北方領土問題で日本の主張の根拠が侵食されるというしたり顔の「評論家」のおじさんたちがいる。これも論拠を精査する必要がある。
クリミアについては一世紀近くロシアの領土だったという事実がある。もっともその前はオスマントルコの領土だったし、その前はタタール人というかモンゴル帝国の一つに所属していたわけでそこまでさかのぼればクリミアはモンゴルのものということになる。
北方領土は、千島を含めて無主の地であったが、江戸末期には南千島は日本の影響圏にあった。ロシアもそれを認めて江戸末期に徳川幕府と条約を結んだわけである。さらに明治になって千島列島全体を日本の領土として認めた。
だからクリミアとおなじ状況にある。ただ諸般の事情からクリミア方式がとれない。日本人の住民も島を追い出されているから住民投票という手も使えない。不在投票という隠し技があるかな。
クリミア方式をプーチンがとったということは、理屈としては、同じ理屈で日本に返しなさいという議論はむしろ通りやすくなった。ここでロシアと経済的な利害関係のないアメリカ原理主義につきあう必要はないかもしれない。
いずれにせよ、ここでアメリカ原理主義のお先棒をかつぐことはない。本当の
Statesmanshipが安倍首相に求められる所以である。ちょっと心もとない気もするが。