アメリカの「航行の自由」作戦は出来レースである。シナとアメリカの談合である。あるいは「阿吽の呼吸」があったということだ。
ウクライナ問題でアメリカはロシアに躊躇すること無く経済制裁を行った。ロシアは苦境に陥っている。なぜ南シナ海でのシナの国際法を踏みにじる態度や侵略略奪を膨張させる行動に対して経済制裁を科さないのか。
アメリカの「グローバル企業」がシナに人質を取られているからである。国際政治というのは四半期ごとに辻褄を合わせるものではない。四半期ベースでは経済制裁はロス・ロス関係である。経済制裁は長期的観点でアメリカあるいは自由社会のビッグ・ウィンになる。そこを理解しないような政治家は無能である。
自由世界はかって東西冷戦という長い戦いの末にビッグ・ウィンを獲得したではないか。「航行の自由」はアメリカにとっては自由世界のリーダーであるということを示す(ふりをする)偽りに満ちたパーフォーマンスである。アリバイ作りに過ぎない。シナも抗議した振りをしているが、全然脅威も痛痒も感じていない。
圧力や挑発は本来摩擦を生じさせるはずである。またそうでなければ効果がない。実際は「航行の自由」作戦は南シナ海での「シナの平和」を裏書きしているという皮肉な逆効果を生んでいるにすぎない。トランプがどう出るか、まずこれで彼の評価が定まるであろう。
経済制裁以外にも有効な方法はある。中国が為替の自由化をしない限りアメリカへの輸入を認めないとすればいい。あるいはトランプが得意とする高率関税を課す政策をとれば、彼の主張によれば中国経済は三日で崩壊する。三日は無理としても半年でシナはなくなる。これくらいならトランプでも出来るだろう。