菅内閣はAPECで盛んにTPP参加を言っていた。参加の検討と国民や、反対勢力に配慮した国内向けの発言とは異なっている。菅内閣は、国内の検討などたな晒しにしたままで、関税撤廃へと突き進むようである。都合の良いことに、TPP参加を巡っては民主党だけでなく、野党も意見が割れている。積極的に反対する政党がいないのである。そうした意味でチャンスである。
TPPなどの自由貿易は法制度が同じ国内の動きとは全く異なる。賞品を価格だけで評価すると、その裏に隠れている、あるいは商品生産について支えていることが見えなくなってします。
私は、乳牛専門の獣医師である。産業動物の獣医師といっても良い。他のことは詳しくは解らにが、畜産に係わることなら詳細を知っている。下記のpdfは農水省のサイトから引き出した。中国やモンゴルなどで発生している。口蹄疫に関する記事である。
日本で宮崎で発生した時には、多くの畜産農家が涙を流しながら、心を引き裂かれながらも家畜を殺処分したものである。処分に関して、それなりのお金ばかりか、細かい消毒や検査それに処分地の確保などなされたものである。http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_fmd/pdf/20101109asiafmd.pdf
このpdfをご覧になれば、大陸での汚染の広がりが解るというものである。韓国を除きこれらの国で日本厳密に口蹄疫対策をやっている国はない。とりわけモンゴルは、広大な土地である。家畜の接触頻度も低く、狭いところにひしめくように飼育されている、宮崎のように急速に伝搬するわけではない。検査体制も十分ではない。
中国奥地での発生が少ないのは、本当に少ないのか検査がなされていないのかは定かではない。発生地にあっても、全頭検査と保菌畜の処分など大々的にやられているわけでもない。周辺の検査も十分ではない。検査よりもワクチン投与で凌いでいる現状である。ワクチンが多様な株のウイルスに十分対応してくれる保証もない。
宮崎の口蹄疫は大陸旅行者が持ち込んだ可能性も否定されてはいない。つまり大陸では、口蹄疫の対策などに湯水のごとくカネをつぎ込むことなどなく、口蹄疫ウイルスの常在財地帯となっているのである。もちろんのこうした汚染国からは、日本に牛肉などは入ってはこない。それは、ほかの体制についてもあまり変わることがない。
農薬の使用方法や許認可それに残留濃度なども国によってかなり異なる。農家をサポートする機関や法律なども、それぞれの国が長い歴史の中で決めてきたことである。農産物が安価なのはそれなりに理由があるのである。食糧を価格だけで評価して自由貿易を望むのは、商工業それに金融で稼いでいる連中の戯言でしかない。