そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPP反対の大義を読む

2011-01-26 | マスコミ報道

「TPP反対の大義」農文協刊を読んだ。農業や関連事業に詳しい、各界の識者の小論文を集めたものである。些か寄せ集めの感はあるいが、26名もとなるとそれなりの姿が見えてくる。山下惣一氏は、かつて国会でコメ一粒たりとも輸入させないと、3回も国会決議したことをあげているが、農家の問題ではなく、国民の問題だと指摘する。

農業強化の方針の一つに、輸出産業としての方向性を政府は打ち出している。例えば、中国の富裕層へ、日本のコメを売り込もうというのである。この方針は15年前に打ち出されたものであるが、やっと5億円になった程度である。日本が購入する穀物が1兆7千万円であるから、僅か0.05%程度しかなっていない。そもそもこうした特殊な食糧を売り込むのは、農業の在り方や食糧問題とは無縁のものでしかない。

本ブログでも何度も指摘している内容とかなり重複する。「小国のFTAから」から「帝国のFTA」への豹変と指摘するのは、田代洋一氏である。2国間協議であったシンガポールとニュージーランドのFTAにチリとブルネイが加わったのが、TPPである。これの突如としてオバマが参加表明した。

日本のGDPに占める農産物の割合は、1.5%であり98.5%が犠牲になると前原外相が発言した。同じくアメリカは1.1%でありイギリス、ドイツは0.8%である。これらの国々は、農業農産物の保護に躍起になっている。

アメリカの対アジア戦略であると、服部信司氏は指摘する。WTOの基本理念となったウルグアイランド以降、東側の社会所議国家の崩壊、人口が10億も増え62億となっている、環境問題・温暖化の深刻な進行、食料問題の深刻化・飢餓問題、そして中国の台頭、ロシアの復活、インドやブラジルの台頭など、めまぐるしい変化が起きている。しかしながら、自由貿易絶対信仰は変えようとはしないのである。

むしろこれらのより一層特化する、無関税へとするのがTPPである。将来に禍根を残す愚策である。

TPP反対の大義 (農文協ブックレット)

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