農業強化の方針の一つに、輸出産業としての方向性を政府は打ち出している。例えば、中国の富裕層へ、日本のコメを売り込もうというのである。この方針は15年前に打ち出されたものであるが、やっと5億円になった程度である。日本が購入する穀物が1兆7千万円であるから、僅か0.05%程度しかなっていない。そもそもこうした特殊な食糧を売り込むのは、農業の在り方や食糧問題とは無縁のものでしかない。
本ブログでも何度も指摘している内容とかなり重複する。「小国のFTAから」から「帝国のFTA」への豹変と指摘するのは、田代洋一氏である。2国間協議であったシンガポールとニュージーランドのFTAにチリとブルネイが加わったのが、TPPである。これの突如としてオバマが参加表明した。
日本のGDPに占める農産物の割合は、1.5%であり98.5%が犠牲になると前原外相が発言した。同じくアメリカは1.1%でありイギリス、ドイツは0.8%である。これらの国々は、農業農産物の保護に躍起になっている。
アメリカの対アジア戦略であると、服部信司氏は指摘する。WTOの基本理念となったウルグアイランド以降、東側の社会所議国家の崩壊、人口が10億も増え62億となっている、環境問題・温暖化の深刻な進行、食料問題の深刻化・飢餓問題、そして中国の台頭、ロシアの復活、インドやブラジルの台頭など、めまぐるしい変化が起きている。しかしながら、自由貿易絶対信仰は変えようとはしないのである。
むしろこれらのより一層特化する、無関税へとするのがTPPである。将来に禍根を残す愚策である。