そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

ベトナム戦争からアメリカは何を学んだか

2011-01-27 | マスコミ報道

先日BSで放送された、「ハートアンドマインド、~ベトナム戦争の真実~」を見た。幻のドキュメンタリーと見る機会がなかっただけに、とても良い機会だと思った。この映画は1975年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門を受賞している。後のディアハンターや地獄の黙示録などの映画のもとになったと評価されている作品である。

作品は制作者のコメントがなく、淡々と登場人物に語らせている。時の将軍が、「東洋人は人の命について無関心である。人口も多いのはそうしたことである」と語っていたのは、背筋が寒くなった。アメリカはここを守らなければ共産主義が広がるとする、ドミノ理論を展開して大義を通した。それがベトナム戦争であった。

大義のためにはありもしない事件(トンキン湾事件)を引き起こし、ナパーム弾や枯葉剤など平気で使用した。国家の形や国民の意思などないに等しく、北爆を行った。いくら政権を変えても、いくら爆弾の数を増やしてもけ結局は、ベトナムを変えることができなかった。人々は自らが自らの国を治めることが、なによりも大前提なのである。経済的な困難を覚悟しながらも、独立を望むのは極めて健全な考えなのである。

アメリカはこのことを理解せず、いまだに世界各国に政治介入する。ベトナム以降多くの地域紛争に直接間接的に介入している。その典型がイラク侵攻である。一見アメリカの主張は正しいように見えるが、当事者にとってh極めて迷惑なものである。アメリカが学んだことは、戦場を自由に報道させないことくらいであった。報道管制の元にその後の紛争は置かれ、通常の人々は真実を知らされず判断するだけである。

こうした経過の結果、アメリカは9.11を暴力的に、あるいは政治力学的に理解し対処したに過ぎない。アメリカはベトナム戦争の敗北から、戦争の本質を学んでいないのであり、今日の国家間の係争や後進国の国民の心情を学んでいないのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港