ギリシャは選挙結果による党派間の調整が出来ず、再選挙をすることになった。債務危機に身動きが取れなくなり、ユーロから緊縮政策を前提に支援を受けている。
ギリシャが平身低頭お願いした経過がある。そうした政府の緊縮策は、公務員の給与削減や解雇、それに多くの失業者を生み出している。国民の怒りは路上のデモに限らず留まるところがない。政府の杜撰さを国民が被る道理がないというのである。
しかし債務の半額は、ドイツとフランスによる戦車や戦闘機それに哨戒艇の購入によるものとされ、それぞれが発注元の国家に還元される不良債務といわれている。前政権による、粉飾による誤魔化しも国民の多くは納得はしていない。20%を超す失業率。議会前の年金生活者の銃自殺。不満は拡大するばかりである。
選挙による第2党にまで進出した、急進左派連合は緊縮策を否定し、ユーロ圏からの離脱を掲げている。国民の不条理感覚を反映しているが、ことはそれほど簡単ではない。
国民の7割以上がユーロ圏の残留を希望しているのである。来月半ばに行われるであろう選挙で、ギリシャ国民の選択は悩ましいものがある。
ギリシャのユーロ圏からの離脱は、世界を一気に金融危機に陥れることになる。13兆ドルの経済圏の危機は、それでなくても不安定な現状を悪化せることは明らかである。
EU構想は何をおいても通貨統合から始まった。各国家の経済力や財政事情などどこで調整されたのだろうか? それでい通貨だけは同じにしたのである。人が作ったシステムである。それでいて予測も統制もできないのである。
国家やシステムが優先される、国家資本主義の中国などこうした事態の対応はお手の物である。銀行(金)もメディア(民意)も思いのままである。こうした危機が続けば、非民主独裁国家が生き残ることになる。おかしくないか。
人が作ったシステムでありながら何も出来ず、ギリシャの選挙動向に恐れながらその結果を待つのは滑稽である。
金融システムそのものがおかしいのである。投機によって収益が高ければ、食糧でも軍用品でもエネルギーでも同等に扱われ、質が問われることはないからである。
債務危機は不条理な金融システムの最初の事件に過ぎない。金が支配する世界、金を求めて動く政治や国家そして軍事態勢。人の生活とは直結しないシステムとして、それでいて巨大資本や国家ばかりが残ることになるのである。ギリシャはその犠牲国家といえる。